お母さんが思い込みを手放すことがガミガミ子育て脱出のカギ~自分を変えようと決意した発コミュトレーナー山南あやさんインタビュー~

子どもには笑顔で接してあげたい!そう思っても、つい叱ることが多くなって悩んでいませんか?以前は子どもをガミガミ叱っていたという発コミュトレーナー山南あやさんに、笑顔で子育てできる秘訣をインタビューしました。

1.子どものできていないことをガミガミ叱っていた日々

山南あやさんの息子さんは現在小学6年生。5年生のときに発達科学コミュニケーション(発コミュ)を学び始めました。

以前はイライラしてしまうことが多く、息子さんを叱ることが多かったという山南さん。現在は、発コミュトレーナーとして活躍されています。

どのように、ご自身がイライラ・ガミガミから解放され、息子さんが成長していったのか、お話を伺いました。

――子育てで、どのようなことに悩まれていましたか?

息子は、幼いころから集団になじめなかったり、こだわりが強いところがありました。

遊び場に行っても友達と遊ばなかったり、砂場で手に砂がつくのを嫌がったり。電車が好きで、踏切を何時間も見ていることもありました。

大人しいタイプなので、学校の方から問題を指摘されることはありませんでしたが、小学校の先生には私の方から息子のことで対応して欲しいことなどを書いたレポートを毎年渡していました。

――お母さんから息子さんのことを先生に伝えられていたのですね。先生にはどのようなことをお願いしていましたか?

たとえば、授業中違うところを見ていることがあるけれどそれは息子が考えている時です、とか、友達とあまり遊ばないけど本人は気にしていないので無理に集団に入れなくて大丈夫です、とか。
あとは不器用なので手先を使った活動が苦手です、など書いて渡していました。

――どのぐらいの時期が一番息子さんの対応に困りましたか?

高学年になってグズグズ言うことが増えてきて、小学校5年生ぐらいの時から「どうせ僕なんて…」というようなネガティブな発言が増えてきました。

私もその様子にイライラして、できないことが余計に目についてガミガミ言うようになっていました。

ある日、息子が学校から帰ってきて見たこともないくらい大泣きしたんです。あとから、学校の先生から叱られた時に傷つく言葉を言われたことが原因ということがわかったのですが…。

息子は学校であったことや自分の気持ちを伝えることが苦手だったので、「何があったの?」と聞いても自分の言葉で説明することはできませんでした。

その様子を見て「このままではマズイかも、今のままだと、これから何かあったときに些細なことでくじけてしまうかもしれない…」と思って、発コミュを学ぶことを考え始めました。

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山南さんは早い段階から、息子さんの特性に気づき、先生と情報を共有するなど対応をされていました。

学校での目立ったトラブルがなくても、お子さんのために自ら行動される誠実な人柄の山南さん。しかし、そんな山南さんでも、自分のイライラする気持ちを抑えたり叱ることをやめるのは難しかったそうです。

なぜ、お母さんは子どもにイライラしてしまうのでしょうか?それは、私たちが強く信じている子育てに対する“思い込み“が原因になっていることがあります。

2.自分の中の子育ての概念をくつがえされた発コミュとの出会い

――発コミュを学んで変化がありましたか?

個別相談を受けて、子どもの成長のためにはお母さんが変わることが大切ということがわかって「変わるのは今しかない!まずは私がゼロからスタートして子どもにおだやかに接していこう!」と受講を決めました。

発コミュでは子どもができていることに注目することを教わるのですが、私は「できていないことは見ないで」とアドバイスされて。それが衝撃でした。

「え?できないことを叱らなくていいの!?」とこれまでの子育ての概念をくつがえされたような思いがしましたね。

――たしかに、叱らないともっと子どもがダメになっちゃうかもと思いますよね。

今まで、私は息子のできていないところだけを見て100%ガミガミ叱っていたんです。

息子はいい所がないから勉強だけでもがんばらせないと、と思い込んでいて、勉強に対してうるさく言っていました。

学校とかで「お子さんのいい所は?」と聞かれて「ありません」と答えちゃうぐらい(笑)

でも、できているところを見るようになって、息子の良いところに気づくことができました

私のイライラ・ガミガミが圧倒的に減って、息子にも変化が出てきました。

「僕なんて…」「どうしたらいいの?」というネガティブな発言が減って、「もっと褒めて」と自分の気持ちを言葉にして伝えてきたんです!

――ガミガミをやめただけで、そんなに変化があったのですね!

息子は元々素直なタイプだったので、私が対応を変えるとすぐに変化していきました。自分の気持ちを言葉で表現できるようになったり、行動力が増してきました

ずっと興味があったけどチャレンジできなかった野球を「やってみたい!」と気持ちを伝えてきて、野球チームにも入ったんです!

――すごく良い変化をされましたね!発コミュに出会っていなかったら、今はどのような親子関係になっていたと思いますか?

発コミュに出会っていなかったら、親子関係はボロボロだったんじゃないでしょうか…。私もきっとイライラして叱り続けていただろうし。

「勉強ができないと、この子はいい所がなくなっちゃう」とまで思い込んでいたのですが、そうではなかったんですよね。息子の良いところ・できているところを見ようとしていなかっただけだと思います。

今は信頼関係もしっかりできていて、親子の会話も楽しめるようになりました。

3.子どもの未来を応援できるお母さんを増やしたい

――発コミュトレーナーとして活動されていますが、これから叶えたい夢があれば教えてください。

夢というか、よくお母さん同士が集まって井戸端会議で「うちの子って本当に○○で~」と愚痴を言い合うような場面があると思いますが、それはなくしていきたいですね。

お母さん達がもっと子どものポジティブなところを見て、良いところを言い合えるようになるといいですよね!

あとは学歴とかにこだわらないで、子どものやりたいことを応援できるお母さんが増えていくといいなと思います。

私も、以前は勉強をかなり重視していましたが、今は子どもがやりたいことがあるのであれば、それを応援していきたいなと思っています。

色々な活躍の仕方があることを知ることで、発達障がいやグレーゾーンに対してのネガティブなイメージも変わってくるのではないでしょうか。

――山南さんは、トレーナーの活動を通してどのようなことを伝えていきたいですか?

私は、思春期の子どもをメインに研究していますが、困りごとがあったり子どもとコミュニケーションがとれない時に「思春期だから」といってそのままにしてしまうお母さんが多いと感じていて。

発達凸凹の子の困りごとは放っておいて解決することばかりではないので、これからの活動を通してそれを伝えていきたいなと思っています。

――――――
以前は、息子さんの良いところが見つけられず、ガミガミ叱っていたという山南さん。

それは「子育ては、子どものできていないことを正すこと」という思い込みがあったからかもしれません。

この思い込みは私たちが根深く持っているもので、真面目なお母さんほど陥ってしまいがちです。

また多くのお母さんは、子どものことを勉強ができる・できないという一つの側面から見てしまいがちなところがあると思います。

子どもに一生懸命に向き合ってきた山南さんも、真面目な人柄だからこそ、この思い込みから抜け出すことが難しかったのかもしれません。

思い込みを手放し、どんなに些細なことであってもできているところを見ていくことで子どもの持つ素晴らしさに気づき、お母さんも子育てのイライラから解放されていきます。

お母さんと子どもは合わせ鏡のようになっていて、お母さんが子どもの良いところを見て笑顔でいることで、子どもも自分の力を信じることができるのではないでしょうか。

そのことを、山南さん親子の変化が教えてくれたような気がします。

子どもに問題が起こると、親はどうしても子どもを変えようとすることに意識がいってしまいがちです。自分自身を変える必要があることを受け入れ、実際に変えていくには強い意思が必要です。

山南さんは、生徒さんから「こんな変化がありました!」と報告してもらえた時が一番うれしくて、「もっと変化する親子を増やしたいです」とおっしゃっていました。

強い意思を持ってご自身を変化させ子どもの成長を加速させた経験があるからこそ、ついイライラして叱ってしまうお母さんの気持ちに寄り添って応援できるのだと思います。

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執筆者:滝麻里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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