発達障害の思春期男子には気持ちを「ことば」にしてコミュニケーション力をつける~イイトコサガシ代表 冠地情さんインタビュー前編~

発達障害の思春期男子の「何を考えているの?」というトラブルや行動ありませんか?子どもの行動の裏の気持ちを言葉にするサポートをしてあげる事が大切です。自身も発達障害でありコミュニケーションのワークショップを開催している男性にお話を伺いました。

1.発達障害の思春期男子はなにを考えているのか?

発達障害やグレーゾーンの特性がある子どもたちは、衝動的に言ってしまったことや暴力で、お友だちを傷つけてしまったり、お友だちが言ったことを真に受けすぎたり、ゆがんでとらえてしまって誤解からトラブルになるなど。

大人が「なぜそんなことしたの?」「なぜそんなこといったの?」と思うようなトラブルや困ったことをすることがありますよね。

思春期の男子に困った行動を「なぜ?」と聞いてみても、急に怒り出したり、黙ってしまったりして「なにを考えているのだろう?」と困っているお母さん多いのではないでしょうか?

わが家の中2の息子は、注意欠陥多動性障害(ADHD)の傾向が強いグレーゾーンです。

友だちからお金をもらってないのに物を買ってあげてしまうとか、お友だちは軽い気持ちで言ったことで怒りはじめてトラブルになったり「なぜ?」ということが多くありました。

そんなときに私は、子どもの考えていることがわからず、うまく気持ちを聞き出すことができないことで、学校や子どもに関わる人に状況を説明できず困っていました。

そこで、私も子どもとのコミュニケーションをもう一度見直して、楽しくコミュニケーションできるものはないかと探し、こちらの本と出会いました。

冠地 情 さんイイトコサガシ代表 『アイスブレイク&ワークショップ』

著者の冠地さんは、ご自身がADHDと自閉症スペクトラム(ASD)で、学生のころにはいじめ、不登校、引きこもりを経験されています。

このような経験をされても、対人関係を諦めずコミュニケーションのワークショップをしているなんてどんな方なのだろう?と実際にオンラインワークショップにも参加させていただきました。

ご自身が発達障害の特性により苦労したからこそ、コミュニケーションの大切さを追求し、コミュニケーションが苦手という特性により生きづらさを感じている人たちに、コミュニケーション力を伸ばしてなんとか一歩を踏み出してもらいたいという気持ちでワークショップをされている方でした。

今回の記事では、お母さんの悩みの種である、思春期男子「なにを考えてるの?」が解消する気持ちの引き出しかたのヒントを、男性の発達障害である冠地さんに伺いました。

2. 自分のこころの中と大人の考えの違いで悩んだ中学生時代

ーーー冠地さん自身で子どもの頃は、くそ生意気なガキだった(笑)と別のインタビューでおっしゃっていますが、具体的にどのようなお子さんだったのでしょうか?

「自分のことはさておき、相手の弱いところを論理的についちゃうような達者な部分がありましたね。相手からしたら自分のやるべきことはやってないのに、『なに一人前な口を聞いているの⁈』みたいなパターンが多かったです。」

ーーーそれは親に対してもそうだったんですか?

「だと思いますよ。 ただ、僕の場合は負けたくないっていうか、それで自分を乗っ取られたくない、犯されたくないという、防御本能でそうなっていたところもかなりあると思う。あの時の僕が心が折れずに何とか自分を守れていた手段だったとも言えます。」

ーーーそうすることで自分を守っていたのですね。

「そう。中学校に上がったら中間テスト・期末テストもそうですし、偏差値をいかによくするかという状況になりますよね?

体育の授業では、僕のほうが頑張っているのに、能力がある人は手を抜いていても10で僕は1だったりする。他の人との評価基準ができたことで、遊びがなくなって、防御本能が強まってしまった。

それに加えていじめがあったり、発達あるあるですけど興味のないことにはとことんストレスがかかっちゃう。

興味のあることを学校や勉強でやらせてくれるわけではないというストレス、あとは文章を読むことができない学習障害の要素もあったので突っ込みどころ満載な人でした。

ストレスを自分で消化できなかったので、雪だるま式に増えていって、モヤモヤがモンスター化しちゃってました。

モンスターが自分のキャパシティーを軽くオーバーして、自分で諦めちゃっている状態で、思考停止ですよ。どんどん状況は悪化していく一方というのが現実でしたね。

それで、いろんな人に不愉快な思いや、人によってはかなり傷つけてしまったり悪影響を与えてしまった。

僕がこんな気持ちだったことを大人が認識しているか、というと“してない”わけです。

むしろ僕が自己中で、なまけもので、自分のやりかたばっかり言ってくる子という認識を持たれていて…切なかったですね。

そういう難しいバランスに、発達障害や生きづらさを抱えている人たちがいるという認識を大人たちには持ってほしいです。」

ーーー
冠地さんのお話を伺って、息子もこう思っているのかもとハっとしました。

子どもたちはプレ思春期と言われる小学校高学年ころから、だんだんと自分と他人とを客観的に見て比較するようになってきます。

発達障害やグレーゾーンの子どもたちは、得意不得意に差があることが多いので、学校のようにまんべんなくできることを求められたり、テストなどで自分よりもあの子のほうができると評価がはっきりすることで、ストレスを感じたり、自信を失ったりしやすいのです。

特性により友だちとの関わりも苦手という子も多いので、友だちとうまくいかずトラブルになったりすると、さらにストレスを感じてしまいます。

そのストレスを自分でもどう処理をしたらいいかわからないし、モヤモヤをうまく言葉にすることができないので、暴力暴言・不登校などで表してくることがあるのです。

「発達障害の人は、自分が思っていることの30%くらいしか、言語化できない」とも冠地さんはおっしゃっていました。

なので、大人たちから見ると困った「なにを考えているの?」と感じることが、子どものSOSだと思ってあげることが大切なのです。

3.「大人はどうせわかってくれないだろう」と思っていた

ーーー今、中学生の不登校が多いのもこの評価社会が一因となっていると感じます。子どもが反抗するときや無口なときは、実は自分を守っている行為なのですね。

「昔の僕は自分の気持ちをここまで言語化できていなかった。

生意気な言葉ばかり先行していたし、いかに相手と建設的に折り合っていくことよりも、いかに自分を守るかや自分が傷ついた分を、ドラマのように「倍返し」するかに意識が向いているわけですよ。

だから余計こじれるし、協力してくれる人は減るし、自分が孤立していくみたいな循環になっていくわけで…」

ーーー今の発達途中の子どもたちを見ているとストレスで癇癪がひどくなったり、自分の内に秘めて引きこもっちゃったりする子が多いように思います。

「僕のように生意気だけど外に出せるほうがある意味いいんです。外にSOSを発しているということだから。

でもその分、相手との関係性が悪くなるという二次障害ができちゃう。

内にひめているほうが、関係性が悪くなることはないかもしれないけど、こころがねじれるという内面性の二次障害が起きてしまう。

どっちもよくないんですよ。

だから僕は建設的なコミュニケーションが大事だねという話です。

それが成立しているだけで、先に話した2つは予防できます。」

ーーー建設的コミュニケーション⁈ですか…

「建設的コミュニケーションというのは、自分の意志や想いを伝えて、相手の意見も受け止めて、対話をしようという状態です。

そういう建設的コミュニケーションを子どもたちが作れるようにしていきたいんです。

物を投げるとか、人に暴力ふるうとか、例えば犯罪をするという形で表現されても他の人は「なにを考えているかわかならない」からフォローできないじゃないですか。

そんな悲劇になる前に、とりあえず学校行く行かないは別にして、大人たちには子どもたちと関わってほしい。」

ーーー
うまくストレスの発散方法がみつからないと、ADHDの衝動性が強いタイプは、外に攻撃性が強くなり、暴言や暴力となって周りの人と衝突して関係が悪化してしまう。

逆に、ASDタイプは内に秘めやすく、周りとの関りをシャットアウトして、自分の中だけでモヤモヤしてこもってしまいがちになってしまう。

冠地さんのおっしゃる通り、どちらもよくない状態ですよね。

「子どもの時はもっと自暴自棄で、やさぐれていたし、もっと反社会的だった。受け入れてもらえなくていいよ!とおまえらになんてどうせわからないだろうという状態でした」ともお話されていました。

冠地さんが子どもの時に感じたように「大人はわかってくれない」という状態になる前に、子どもがどう感じているか、どう考えているか、どう思っているのかを言語化させてあげることで、自分の行動を客観的に見ることができるようになります。

大人は、気持ちを言葉にするサポートをしてあげる必要があるのです。

4.子どもと会話するときは、気持ちを知りたいというスタンスで

冠地さんは、大人が困ったな~と思う子どもの行動の裏にはSOSが隠れている。

だからその気持ちに早く気が付いて、対応してほしいとおっしゃっていました。

発達障害やグレーゾーンの子どもたちは、自分の気持ちを言葉にする(言語化する)ことが苦手です。

子どもに関わる大人が、子どもの気持ちを知ろうというスタンスで気持ちを言語化するお手伝いをしてあげましょう。

まずは怒らずに、穏やかに気持ちを聞いてあげることが大事です。

気持ちの言語化をサポートすることでより気持ちを話しやすくなり、話すことでストレスも軽くなります。大人もそうですよね。

「なにを考えているのかわからない」子どもの困った行動には「どんな気持ちが隠れているのだろう?」と考えて、聞いてみてください。

男子だから、思春期の反抗期だからと会話することを諦めないでくださいね。

会話することで子どもたちの将来にとってもいいことがあるんですよ。

後編では、大人になった冠地さんが、子どもの頃大人にどのように関わってほしかったかというお話から、子どもの可能性を膨らます大人の対応について伺います。

後編はコチラ!生意気な男子が好きなことを語りはじめる。思春期の可能性のふくらませかたはこれだ!~イイトコサガシ代表 冠地情さんインタビュー後編~

大人がこころを開いて、気持ちを言葉で引き出してあげましょう!

執筆者:渡辺くるり
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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