子ども時代のつらい過去を乗り越えるチャンスをくれたのは、わが子の不登校だった~HSP&場面緘黙症サポーター井上愛子さんインタビュー前編~

子育てをしていると、自分の子ども時代のことを思い出すことがあります。それが辛い記憶である場合、お母さんはどのように自分の気持ちと向き合えば良いのでしょうか?子ども時代にHSC・場面緘黙症だった女性の方にインタビューしました。 

1.子育て中は、お母さんの子ども時代の記憶の扉が開く

子育てをしていて、自分の子ども時代のことを思い出すことはありませんか?

これは、誰かに教わらなくても子育てができるように、自分の経験が思い出されるメカニズムが人間にも備わっているためとも言われます。

楽しい記憶であれば良いのですが、時には幼いときに感じた不安や恐怖など、ネガティブな感情が思い出されることもあります。そんな時、お母さんはどのように自分の気持ちと向き合えば良いのでしょうか?

今回、お話を伺った井上愛子さんは、現在中学1年生のHSC(ひといちばい敏感な子)の不登校の息子さんをサポートされています。
※HSC:Highly Sensitive Child

実は、愛子さんご自身も子ども時代はHSCでした。場面緘黙症もあったため学校では話すことができなかったそうです。
※家庭ではごく普通に話すことができるのに幼稚園、学校などの特定の場所で1ヶ月以上声を出して話すことができない症状。場面緘黙症についてのくわしい情報は、こちらのホームページに記載されています→NHK福祉情報サイト「ハートネット」

愛子さんは、息子さんが不登校になってから、ご自分のつらかった記憶に向き合い、生き方を見つめ直してこられました。

現在は、ご自身の経験をSNSで発信したり、お話会を開催して伝えるなど、HSPや場面緘黙症で悩む人のサポートをする活動をされています。
愛子さんのブログはコチラ

息子さんが不登校になる前よりも不登校になった後の方が生きていくことが楽になったと前向きなメッセージを発信している愛子さんに、どのように自分のつらい過去と向き合ってこられたのか、お話を伺いました。

2.子どもの不登校を受け入れられたきっかけ

まず息子さんのお話をうかがっていきます。

――息子さんが学校に行けなくなった時のことをお聞きしても良いですか?

「息子が学校に行けなくなったのは小学2年生の冬でした。きっかけは、いじめでした。

息子は、色んな子にからかわれたり、ターゲットにされやすかったりする所があって嫌な思いが積み重なっていたんだと思います。『学校に行きたくない』とそれまでにも言うことはありました。

暴力を振るわれたことがきっかけで、学校に行くことができなくなりました。」

――愛子さんはすぐに息子さんの、学校に行かないという選択を受け入れることができましたか?

「はじめは、私も普通のお母さんと一緒の感覚でした。子どもに行きたくないと言われて『え、どうしよう…行かないといけないよね』という感じで。

一週間ぐらいなんとかして行かせようとしたんですが、息子はうずくまって全然こたつから出てこなくて。

主人に『どうしよう…行きたくないって言っているんだけど』と相談したら『そんな事いっても、行かせないといけないだろ?』と言われたんです。

そのとき、フッと自分が過去に感じていた思いが蘇ってきた感じがありました。

『こんなに行きたくないって言ってるんだよ?無理に連れていくのは違うでしょ!』と主人に言いました。

その時は、息子のことではなく自分のことを話しているような感覚だったと思います。

無理に行かせるのは違うという確信が自分の中に芽生えて、『この子は絶対良くなるから見守ろう』と腹をくくりました。」

――愛子さんが早い段階で息子さんの学校に行かないという選択を受け入れられたのは、つらい過去の出来事を思い出されたからなのですね。


3.場面緘黙症だった子ども時代のつらい過去

次に、息子さんの不登校を受け入れられたきっかけであった愛子さんのつらい過去のことをお聞きしました。

――ご自分の子ども時代を思い出し、息子さんをサポートしていく決意をされたんですね。子どもの時にどんな気持ちを自分が感じていたか覚えていますか?

「私は、物心ついた時から場面緘黙症で、学校ではまったく話せなくていじめられることもありました。

敏感な気質だったのでクラスメイトといると、無意識に相手の感情を感じとってしまって、自分を出せなくなるくらい萎縮していたんだと思います。

当時は、ひたすら感情を押し殺して耐えていた感じで、あまりにも辛くて自分で感情を感じないようにしていた時期もありました。」

――愛子さんは、学校で話せなくてつらい思いをしているということを誰かに相談しましたか?

「私の場合は、自分が場面緘黙症だったということを大人になってから知ったんです。ずっと自分が他の人みたいに話せない理由がわからず、自分のことをおかしな人だと思っていて相談できずにいました。

もっと早く知っていたら楽になれたんだと思いますが…。助けて欲しいと誰にも伝えることができませんでした。」

――自分がなぜそうなってしまうのかがわからないのは、苦しいですよね。サポートを受けずに、気持ちを自分の心の中に閉じ込めて、がんばってこられたんですね。


4. 自分を癒やすチャンスを子どもの不登校がくれた

――学校生活につらかった思い出があると、息子さんのサポートをされるのは苦しくなかったですか?

「私は学校にトラウマがあったので、付き添いで学校に行ったとき小学校の門をくぐるだけでしんどくなってしまうこともありました。

でも先生方の、息子をなんとか支えようとしてくださるあたたかい気持ちに触れて、私の気持ちも変化していきました。

担任の先生から家にかかってきた電話で、息子に『何があっても先生が守ってあげるからね、大丈夫だよ!』と言っている先生の言葉が聞こえてきて。私もそれを聞いて『この先生は、本気で言ってくださっているんだな』と感じました。

それまでは、私の中で過去の経験から先生はあてにならないというイメージがあって、息子が不登校になった当初は『誰にも頼らない。息子の居場所は、私が見つける!』ぐらいの気持ちでいました。

息子の居場所もはじめは学校以外の場所を考えていたんです。

でも、たくさん助けていただく中で『先生達を信じてもいいんだ。学校で息子の居場所を見つけていこう。』という気持ちに変わっていきました。

不登校になってからは、学校の中の通常級に在籍する困りごとがある子をサポートする支援教室に通って、クラスには入らないでそこで6年生まで過ごしました。」

――学校と良い関係を築いてこられたのですね。息子さんのサポートをしていく中で、ご自分の子ども時代のつらい気持ちとはどのように向き合ってこられましたか?

「私は場面緘黙症だったけど、何のサポートも受けずにどんなに辛くても耐えて学校へ行き続けるという選択をしてきたので、息子に対して『こんなにしてもらってズルイ…』という嫉妬のような感情が出てきたことがあります。

でも、そのときは自分の傷ついた子ども時代の感情が出てきたんだと思って、自分を癒やす方向に切り替えました

息子のサポートをしていて、自分の過去を見させれられているという感覚に何度もなりました。

不登校になったとき、息子が『誰も自分のことを知らない場所に行きたい』と言っていたんです。それは私も子ども時代にまったく同じことを思っていたので、ハッとさせられました。

息子が話してくれる気持ちは、私が子どものときに感じていた気持ちでもありました。

『そうだね、辛かったね、よく頑張ったね』って息子に言ってあげていましたが、同時に自分の中にいる子ども時代の私にも言ってあげていたんだと思います。

息子の気持ちに寄り添うと同時に、過去の自分が感じていた一つひとつの感情も感じきって、大人になった私が理解して手放してあげるということをずっとしてきました。

その一方で、息子のサポートをしていて、私は子どもの時こう感じていたけれど、息子は違うんだなということに気づかされることもあります。同じHSCでもタイプが色々あって、息子と私は違うタイプなんですよね。」

――愛子さんがご自分の気持ちも無視することなく丁寧に向き合ってこられたからこそ、息子さんの気持ちに寄り添うことができたんですね。

親はつい子どもを自分と重ね合わせてしまいますが、「子どもは親とは違う人格を持った人間」と親がしっかり認識することも大切ですよね。

5.お母さんが自分の気持ちに気づくと、子どものこともありのまま受け入れられる

愛子さんは場面緘黙症だったときに学校でつらい思いをされ、その気持ちに蓋をしてずっとがんばってこられました。しかし、息子さんが不登校になったことで、その気持ちが思い出されます。

子ども時代に感じていたつらい気持ちを出せないまま抱えていると、自分が過去に大人から受けていた誤った対応を連鎖することにもなりかねません。

その状態では、子どもをありのまま受け容れ、気持ちに共感することが難しくなります。

息子さんの学校に行かないという選択を受け入れサポートすると同時に、自分の中の子ども時代の気持ちにも向き合い、癒やしていく作業を自分の力でされてきた愛子さんに強さを感じました。

子ども時代につらい過去があっても、ネガティブな感情が沸き起こってきた時に過去の自分に「つらかったね。がんばってきたんだね。」と言ってあげることで、お母さん自身の心も少しずつ癒やされていくのだと思います。

この作業が一人では難しい場合は、カウンセリングなど誰かにサポートしてもらうのがおすすめです。

後編では、人より敏感な子どもの気持ちを理解しサポートする方法、子どもからのメッセージをキャッチしてお母さんが幸せに生きる方法についてお聞きしていきます。

インタビュー後編「敏感な子どもの気持ちはどうやったらわかるの?不登校のわが子は生き方を教えてくれる先生だった!」で続きをお読みください!

執筆者:滝麻里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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