思春期で不登校になったわが子。発達障害?と思っても予約は数か月待ち、具体的な助言は受けられず…。学校に行くとか行かないとか、発達障害かどうかよりも大切なのはおうちでの声かけです!苦手が「できる!」に変わったわが子のエピソードをご紹介します。
1.わが子がまさかの不登校!発達障害?でもどうすればいいの?
お子さんが学校に苦手さを感じていたり、必要以上に頑張りすぎてしまう場合、「うちの子は発達障害?」と気になることが多いですよね。
発達障害とわかっても、子どもに合う対応方法がわからないというお母さんがとても多いです。
今回は、不登校になった子どもに、その子の脳の特徴にあった声かけをできるようになったことでグングン成長した我が子のエピソードをお伝えします。
現在中1の我が家の娘は、小さい頃からマイペースでしたが、穏やかで何にでも積極的に取り組むポジティブな子どもでした。
また低学年の頃は気性が激しい同級生が多い中、先生からは「菩薩のような子、でも自己主張もきちんと出来る。」と言われていました。
そんなわが子の行き渋りが始まったのは、小5のゴールデンウィーク明けから。
小5になった時は、中学受験に向けて自ら塾に通いだし、幼稚園の年長からはじめたダンスでは、選抜クラスに抜擢され順風満帆な滑り出しでした。
しかし、ゴールデンウィーク明けぐらいから、不眠や食欲不振、朝の腹痛を訴えたり、電車通学の途中で引き返してきたりするようになりました。
当時のことを本人に聞くと、「なんだかしんどいが熱もないため、休むべきではない。」と思い、がんばって通っていたそうです。
だんだん行き渋りは激しくなりましたが、私も学校まで送っていったり、朝起きられないため前日からホテルに泊まったりしながらなんとか通わせようとしていました。
また、当時の担任からは「とにかく連れてきてください」と言われていました。
行き渋りの初期の頃から、発達障害や起立性調節障害を疑い、専門医院を受診しようとしましたが、どこも受診まで数か月待ちでした。
教育センターで検査(WISC₋Ⅳ)は受けることが出来ましたが、結果の説明は口頭でのみで、話は聞いてもらえましたが、具体的に何をすればよいのかはわかりませんでした。
また、4カ月待って受診できた「起立性調節障害」の専門医院では、娘の様子を診ることもなく教育センターでうけた「WISC₋Ⅳ」の結果を見たのみで、娘もいる前でパンフレットを広げ、「自閉スペクトラム症」の項目に〇を付けられました。
今から考えると、娘が壊れかけている一番肝心な時に、必要な具体的なアドバイスも受けられず、母子ともにさまよっていたように思います。
2学期になり、ほとんど学校へは通えなくなっていましたが、毎朝欠席の連絡だけは自分で電話をし、また寝てしまうという生活になっていました。
その頃になると、娘はまるで赤ちゃんのように、私から一時も離れられなくなっていました。
もともとのポジティブな大らかさは影もなくなり、
「昔は楽しかった。もう生きていたくない、私の人生ここで終わってもいい。」と口走るようになっていました。
ネガティブで被害者意識が強く、何かにつけ私に絡んでくるといった様子でした。
また、一日中スマホを手放さず、夜も私と一緒でないと眠れなくなっていました。
そのため、狭い子ども用ベッドで一緒に寝るようになりましたが、寝つけない娘は私が眠りそうになるとゆすって起こすため、親子ともどもヘトヘトになっていました。
10月になり、娘から「学校の文化祭には頑張って行くから、それが終わったらしばらく休ませてほしい。」と言われました。
最後の力をふり絞り、2日間の文化祭に参加した後、娘は学校に行かなくなりました。
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2.不登校は「行かないんじゃなくて、行けない」
私がいくら機嫌を取って、自分の思い通りに娘を動かそうとしても娘は動かないと思い始めました。
「学校に行かない(行けない)ものは、行かない。」
そう感じ始めたのです。
もともと私は「学校には必ずしも行く必要はない。」と思っていました。
人から不登校の相談を持ちかけられたときにも、必ずそう答えていました。
それなのに、どうしてこんなに学校に行かせようとしているのだろうか?
そこには「連れてきてください」という先生の言葉に応えようとしている自分。
「ある一定の年齢になれば、子どもは、親から離れ自分の自由になる時間がある。」と思っている自分。
そんな自分に気づきました。
娘の状況を考えずに、自分の価値感で娘をコントロールしようとしていることが娘を追いつめているのではないか。
そう思ったです。
3.子どもの視点で考える、でも発達障害って何?
娘の本来の姿を取り戻すために、私はもともと受けていたビジネスコンサルの手法を実践してみました。
「うまくいかない時は視点を動かす。」
自分の感情や価値感はいったん脇に置いて、娘の視点に立ち、フルスイングで娘ファーストに徹することにしました。
とりあえず、娘の言う事を否定しない、娘の要望は出来る限り受け入れるということを心がけました。
また、当時の娘の症状は、発達障害の特性というよりも、自律神経失調症の症状に近いと感じていました。
ビジネスコンサルでは「自律神経失調症は脳の栄養不良」と聞いていました。そこで、食欲不振であまり食べられなくなった娘に、ビタミンBやDHA等のサプリを与え始めました。
そこから娘は徐々に元気をとりもどし、11月末からは地元のNPO法人が主催する「フリースクール」に通い始めました。
そのころになると、担任の先生も「無理して来なくても、来れる時だけ来てね。」と言ってくれるようになり、フリースクールまで娘の様子を見に来てくれたりもしました。
そして娘は「どうしても元の学校は卒業したい」という意思のもと、6年生は学校とフリースクールのWスクールで過ごし、卒業後は自らの意思で地元の中学ではなくN中等部というオルタナティブ教育をしてくれる学校に決めました。
発達科学コミュニケーション(発コミュ)との出会いは、娘が中学校に通い始めてからでした。
実は 、私は娘が生まれる前、保健所に勤務していました。
健診等から発達障害の疑いのある子を見つけ出し、必要に応じて療育を含めたフォローを行う。
そんな仕事で、保健師から毎日上がってくる山のような記録を読み、フォローが必要な親子への処遇を決める会議のメンバーでもありました。
そのため、発達障害についてはある程度の知識は持っていたつもりでしたし、娘が生まれた時から、発達障害の傾向がないかを細かく観察していました。
しかし、乳児期の頃はよく眠り、幼児期になっても癇癪や多動や衝動性もなく、いわゆるチェックリストに当てはまる事象は全くありませんでした。
「発達障害って何?」
「私の知識が古い?」
娘が行き渋りを始めた頃からネットで色々と検索しましたが、答えはわかりませんでした。
「子どもに肯定的な声かけをしましょう。」というお話は世間でよく聞きましたし、自分でもその効果はある程度体感していました。
しかし、現実的には発達障害と診断されないグレーゾーンの子ども達の困りごとが多いということもわかりました。
発コミュの「脳科学」「⼼理学」「教育学」に基づいた科学的な根拠の「声掛け」で子どもを伸ばし、子どもの脳を発達させるという点に惹かれるものを感じました。
娘の能力をもっと伸ばすことができるのではないかと思ったのです。
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4.診断よりも脳の特性、声かけひとつで子どもは変わる
まず声のかけ方にもいろんなパターンがあり、子どもによってそれぞれ響きやすい(効果の高い)ものが異なること知りました。
うちの娘は、時間通りに行動するのが難しいのですが、今までは「何時になったらやる?」と聞いていたものを、「あと何分で出来る?」と聞くことにより行動のスピードが早くなりました。
また、娘はとにかくこちらの都合は関係なしに話しかけてくるので、返事をするのが大変でしたが、「聞いているよ。」のサインはジェスチャーや表情といった非言語でも伝えられることがわかりました。
さらに、発コミュを受講する前は、とにかく子どもの問いかけには必ず答えてやらなければと思っていましたが、その対応が好ましくない行動を助長してしまう場合もあることを知りました。
(好ましくない行動をしてきた時は)距離を置いてもよいと思えることで私の負担が少なくなったと感じました。
しかし、一番大きな変化は、娘から同じ話を聞いても、発コミュを受講する前と後では私の感じ方が変わってきたことだと思います。
娘が、不登校でつらい時期から立ち直ったきっかけは、k-popの歌やダンスでした。
不登校時はスマホにかじりつき、YouTubeばかり見ていた姿が心配でしたが、私が認めてあげられる事で、好きなことをきっかけに娘は色々な苦手が「できる!」に変わっていきました。
整理整頓が苦手で足の踏み場もなかった娘の部屋でしたが、好きなk-popのグッズを美しく飾るために大掃除ができたのです。
細々としたグッズの整理整頓もできるようになりました。
k-popのグッズを買うためにお手伝いのアルバイトを毎日できるようになりました。
計画的にお金を使うことも、お手伝いのアルバイトをするために生活時間の管理も、できるようになったのです!
5.親子で見つめる明るい未来
現在は、週3でN中等部、週2で地元のNPOが主催するフリースクールに通っています。
また、在籍する地元の公立中学では、定期テストは受験しています(将来の進路選択の幅を広げるためだそうです)。
また、不登校時に辞めてしまったダンスも好きなk-popにジャンルを変えて復活させ、韓国語のレッスンにも通い始めました。
最近は、自分でデザインしたグッズ入れや、韓国のアクセサリーやシールも販売するk-popカフェのお店を開きたいという夢を持っています。
改めて子どもへの声かけ次第で、子どもはどんどん伸びると感じています。
ただ、その声かけはやみくもにではなく、脳科学などの科学的根拠に基づき、きちんと子どもの特性や個性に合った形で行うことによって効果があがると実感しています。
さらに、発コミュには、たくさんの生きた事例があります。
子どものことを一番よく知っているのは、親(お母さん)です。
そもそも子どもは個性があり、ひとりひとり違います。
発達凸凹は、タイプによりある程度傾向はありますが、発達障害だから、グレーゾーンだから、というのではなく、「科学的根拠×生きた事例」でわが子にあった声のかけ方を学び、オーダーメイドの子育てができるのが発コミュだと感じています。
子どもに最適な声かけをし、子どもの脳を常に発達させることが出来れば、学校に行く行かないにこだわることなく、わが子に合った明るい未来を親子で見つめることができますよ!
執筆者:西田加奈子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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