発達障害の子は学校が合わない!そんな親子が笑顔になれる「明るい不登校」のススメ

発達障害の傾向がある子は、学校の集団生活が合わずにストレスを抱えていることがあります。合理的配慮を先生にお願いしても断られることも。そんな子どもには不登校という選択があります。学校だけがすべてじゃない、明るい不登校についてご説明します。

1.どうして発達障害の子は学校生活がストレスになるの?

どんな子どもも、少なからず「学校面倒だな」「勉強嫌だな」という気持ちを持っていることがありますよね。
自分の学生時代を考えても、毎日面倒だな、お休みに早くなってほしいなと思っていました。

だから、発達障害の子どもが学校に対してストレスを抱えていても、そんなのみんな一緒だと思われてしまうことが多いんです。

ですが、発達障害の傾向を持つ子どもは、その脳の特性から、普通の子どもに比べて学校生活が苦痛になる理由があるんです。

◆自閉症スペクトラム障害(ASD)の場合

自閉症スペクトラム障害の子どもは、こだわりが強い傾向があります。綺麗に並んでいないと気が済まないとか、物事の順番を守らないと気が済まないなど、自分の中のマイルールが存在するんです。勝負事での勝ちへのこだわりが強いこともよく見られる特徴です。

学校生活は集団でのルールがあり、みんなが同じ時に同じことをすることを求められます。
すると、ASD傾向の子どもはマイルールとのギャップからストレスが溜まります

また、相手の表情から気持ちを読み取る力も弱い傾向もあるため、すれ違いから友達トラブルになることがあります。

お友達へしつこく話しかけて嫌がられているのに気づかない空気を読めずに発言して嫌がられているのに気づかない、なんていうことが続くと、友達同士の中でも浮いてしまいます。

◆注意欠陥多動性障害(ADHD)の場合

ADHDの子どもは多動性不注意、衝動性を持っています。気になったことがあると衝動的に動いてしまったり、「言いたい」と思ったら順番関係なく発言してしまったりします。

学校では、手を上げて発言する、授業中は席に座っている、順番を守るなど、たくさんのルールがあります。ADHDの子どもたちは、破ろうと思って破っているわけではないけれど、その衝動性のために、学校のルールを守ることが難しいことが多いのです。

また、不注意さから持ち物の管理が苦手です。そのため忘れ物や失くしものもが多く、学習に必要なものがいつも揃っていないということが起きます。

すると、先生や友達から注意されることが増え、学校がつらい場所になってしまいます。

◆学習障害(LD)の場合

学習障害の子は「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要なスキルのうち、苦手な部分があります

学校は学習をする場で、様々なスキルを使います。LDの子どもたちが学校が合わないことは簡単に想像がつくでしょう。
それだけではなく、学習障害の子は全般的な知能の遅れはないために、できることはできます。「なんでやらないの?怠けてるんじゃない?」と勘違いされることも多く、さらに追い打ちをかけられていることが少なくありません。

以上の発達障害の傾向は、どれか一つだけではなく、いくつかの特性を併せ持った子どもたちがほとんどです。

そのため、学校生活でのストレスが様々な形で生じやすいのです。

ストレスが多くかかる状態が続くと、登校しぶりや不登校へとつながっていきます。

2.無理に通わせることで起きる、二次障害の危険性

発達障害の特性で現れる学校での困難さは、子ども自身がどうにかしようとして抑えられるものではありません。
脳の発達の影響なので、「我慢しろ」とか「頑張れ」と言われても根性論ではどうにもならないんです。

このような困難さがある子どもたちが、ストレスを抱えながら学校生活を続けると心配なことがあります。それが二次障害です。

二次障害とは、発達障害を持つ子どもたちに二次的に生じる精神障害のことです。
うつ病、不安障害、暴言・暴力などの反抗性挑戦性障害、引きこもりなどがあります。

発達障害のための困難さを周囲から理解されず、怒られたり、不安な経験を続けていると、自己肯定感が下がっていき、二次障害を発症します。
注意したいのが、お子さんの二次障害は大人と異なり、元気そうに見えて体に現れていることがあることです。

朝起きてきて「おなかが痛い」と言ってくる、最近下痢が続いている
など、おなかに現れる症状はよく見られます。

不登校になることが心配なお母さんたちは、多少子どもが体調不良を訴えても、「頑張っていきなさい」と、無理をさせてしまいがちです。ですが、これがさらに子どもを追い詰めているんです。

うちの息子も、高学年になり、最初に現れたのは下痢症状でした。2、3か月続く下痢に、なんでだろうと、消化器内科に通っていましたが、いろんな検査をしても器質的な原因はわからない状態でした。そのうち学校で暴れたり、先生に暴言を吐いたり、どんどん二次障害を悪化したのです。

3.学校に合理的配慮を断られたらどうする?

ASDとADHDの傾向を併せ持つ息子にとって、自分のやりたいことを我慢して、学校でみんなと同じペースで同じことをすることは、ストレスの多いものでした。また、お友達同士のコミュニケーションの中でも、相手の気持ちを理解する難しさから、度々トラブルになることがありました。

私は学校が大好きな息子のために、どうしたらストレスを減らして学校に通えるか、特性をもとに考えて、学校に合理的配慮をお願いしました。

具体的には、授業中に飽きてほかのことを始めても、授業はちゃんと聞いて理解しているので、机の上でしていることならスルーしてほしい。
友達とのトラブルが起きたら、まず息子の気持ちに共感してから話してほしい。などです。

ですが、うまくいきませんでした。
授業中に工作を始めると、先生たちがスルーしても、ほかの子どもは注意をします。
だからと思って、先生にほかの子どもたちに理解してもらえるように声をかけてほしとお願いしても、「○○君だけずるいとなってしまう」「時間をとって説明する時間がない」とうまくいきません。

友達トラブルについても、結局先生たちも忙しいため、トラブルになった瞬間を見ていないことがほとんどです。

今の日本の学校の人員配置では、先生たちも忙しく、きめ細やかな配慮をお願いすることは難しいということがよくわかりました。ですが、うちの子は支援級に行くことは望んでいません。

そんな息子と私が選択したのが「明るい不登校」でした。

4.学校だけがすべてじゃない!明るい不登校のススメ

学校が合わない発達障害の傾向を持つ子を、そのまま頑張らせても辛いだけ。学校の環境を整えてもらおうと思ってもうまくいかない。

だったら家で発達を加速すればいいんです!

私たちは、学校に行くのが当たり前、不登校なんてなったら大変!と思ってしまいがちです。ですが、学校に行くことがこんなにストレスな子どもたちを無理に通わせることのほうが、将来的な問題が大きいんです。ならいっそ、不登校でいたほうが、お子さんの将来にプラスになっていきます。

家で、ストレスのない環境で、発達を促すためにできることはたくさんあります。
最初に取り組みたいのがお子さんの自己効力感を回復させてあげること。

学校の場で怒られ続けたり、失敗し続けたお子さんは自信を失っています。明るい不登校の最初に取り組んでほしいのは、お子さんの行動をしっかり褒めてあげることです。

具体的には、
できたことを褒めるのではなく、やろうとしていること、やり始めたことを褒める。
お子さんの行動に感謝する
スキンシップをとる

そうすることでお子さんは自分の行動がいいことなんだ、自分もちゃんとできているんだ!という自信を取り戻し、頑張る意欲が出てきます。そしていい行動が増えていくと、脳もしっかり成長することができます。

息子は学校に行くのをやめて不登校になったとたん、下痢が治まりました。
どれだけ学校がストレスだったんだろうと、不登校を選択したことが正解だったんだ!と思えた瞬間です。

そして、学校に通っているときはやらなかった家でのお手伝い(掃除、食器洗い、ご飯を炊く)などに積極的に動くようになりました。

こういう行動を通して、段取りをする力、よく見る力、状況を把握する力につながっていくのです

不登校になっても、家で子どもの成長のためにできることはたくさんあります!
学校に行くことがすべてじゃない、お子さんにとって、今大切なことは何か。

発達障害の子どもの居場所の一つとして、ぜひ考えてみてください!

 

執筆者:やなぎ みほ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

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