1.筆算が苦手な子どものおウチ学習法…どうしたらいい?
小中学生の不登校が増加しており、お母さんが勉強を教えているおウチも多いのではないでしょうか?
発達障害グレーゾーンで不登校の子どもたちの中には、知能が高いにもかかわらず算数が苦手なケースがあります。
特に、算数の中でも筆算は子ども達が苦手になりやすい単元です。
賢いことを言うのに、算数のテストの点数が30点とか、40点とか他の科目よりも低いと「あれ?」と心配していませんでしたか?
「ちゃんと勉強してないんじゃないの?」
「やる気ないんじゃないの?」
「やればできるんだから、ちゃんと勉強して!」
「頭がいいはずなんだから、勉強すればできるでしょ!」
と、叱りながらなんとか算数ができるようにさせてあげないと、とお母さんも頑張っていた方も多いのでは?
けれど、更に勉強嫌いになって不登校に…
このまま算数ができない大人になってしまうのか…と、凄腕の塾を探してみたり、良いと言われる教材を探してみたりしていませんか?
発達障害の特性のある子どもたちには、学習障害があって、見たり聞いたりした情報の処理の仕方に苦手があったり、注意力の低さなどの問題があったりする場合があります。
そのため、数学の問題文を途中読み飛ばしてしまったり、計算の手順を忘れたり、簡単な計算ミスをすることがあります。
これが原因で、算数が苦手になってしまうのです。手先の不器用さがあり、計算を頭の中でしながら更に手を動かして書くということもとても大変でグチャグチャになってしまうことも。
不登校で引きこもりがちになっていたり、新しい環境になじむことに不安があったりすると、家以外の場所で勉強してくるのも大変です。
お母さんが、我が子の学習のつまずきポイントがわかると、親子で楽に勉強できる教え方を手にすることができますよ!
2.計算できない発達障害キッズのつまずきポイント例
算数の計算が苦手な子は、記憶力に問題があることがあります。
ワーキングメモリーという言葉を知っていますか?
必要な情報を記憶し、頭の中でその記憶を保持しておいて他の情報を記憶したり、作業したりするための機能です。
筆算するとき、分数の通分をするとき、暗算するとき、さまざまな計算問題でこのワーキングメモリーを使うのです。
記憶を保持することが苦手な場合、忘れてしまってもすぐに思い出せるように、書いておくという手段が有効です。
苦手な人でなくても、筆算の繰り上がりなどでは小さく繰り上がりの数字を書いておいたり、引いてゼロになる場合は斜線で消したりします。
ただ、発達凸凹のある子どもは、目と手をうまく連動させて動かすことが苦手な子もいて、書字がうまくできない場合もあります。
すると、繰り上がりを書いても、字が汚くて読めない、繰り上がりを書く場所がズレている…というようなことが起こり自分で見てもわからない計算メモができあがってしまいます。
「ちゃんとキレイに書きなさい!」
「ちゃんと正しい場所に書きなさい!」
と言っても、子どもの頭の中はゴチャゴチャした情報でいっぱいな状況。更にどんなにキレイに書きたいと思っても手が言うことを聞いてくれないのです。
更に自信を失ってしまったり、勉強嫌いに拍車がかかってしまうので、無理にキレイに書かせようとするのは厳禁です。
3.苦手なところを探し出そう!
我が家の息子は現在中学3年生。知能は高いですが凸凹があり、その差が大きいため色々な苦手があります。息子もワーキングメモリーが一番低く、小学3年生頃から算数に苦手意識を持つようになりました。
現在は、公立の中学校へは登校せずオンラインの中学で勉強しています。
不登校になる前から勉強が嫌いで、学校へ行かなくなると一時は一切の勉強を拒否!
少し元気になってきて「ぼく算数の勉強する!」とやる気が出たものの、1学年前(5年生だったので4年生の勉強)からの勉強を始めると…
「お腹が痛い」
「体がかゆい」
「心が重くなる…」
と言って継続して勉強するのが辛くなってしまいました。
息子は、好きなことならとことん覚えて話すことができますが、書くのが苦手で、問題をといても書き出す数字は時々自分でも読めないことがありました。
また、計算が苦手で5年生でも指を使わないとできませんでした。
ある日、元不登校の大学生に不登校時代のお話を聞ける機会があり、息子の算数についても相談すると、「自分もそうでした!計算なんてできなくていいから、難しい問題の方が楽しくできますよ!」とアドバイスを頂き。
「そうか!」と思ってxやyの出てくる中学生の問題をやってみることにしました。
すると、「こういう問題面白い!」と言って楽しくできたのです。
しかし、文字式も、次第に数が多くなってきたり、分数や小数が入ってくると繰り上げたり、通分したりするのに計算間違いが起こり、わからなくなります。
「うーん、やっぱり小学校の算数ができないと難しいよね〜、3年生くらいまでさかのぼって勉強しようか!」と、しっかりやり直しをすることにしました。
4.筆算ができなかった子ができるようになった教え方
まずは、書かずに、筆算もできるようにしよう!と思い、筆算ができるアプリを色々と探しました。
息子に一番良かったのが、appleの出しているModMathというアプリ。
マス目に数字を入力し、四則演算が書字は一切不要で計算ができます。かけ算の筆算、わり算の筆算もできます。アプリで入力すれば、きれいな文字で表示されるので、とても見やすいんです!
視覚的にはっきりすっきり筆算の経過を見て認識できることで、今まで苦戦していた筆算もスムーズにできるようになりました。
最初は、一緒に見てあげながら、
「まず、15✕25と入力して〜」
「5と5をかけたらいくら?」
「25だね、じゃあ2をここの繰り上がりに入力して、5を1の位に入力!」
という具合にひとつひとつの作業を一緒に言葉に出しながら計算していく。これを数回繰り返すだけで筆算のやり方が定着し、計算ミスもしなくなりました。
その様子を見ていて、「この子は、自分のぐちゃぐちゃな文字を見ていたことで、うまく筆算ができなかったんだな」とわかるようになりました。
正しく計算できる経験を積み重ねていくことで、次第にアプリを使わなくても自分で書いて筆算することもできるようになり、現在ではアプリは使用していません。
お子さんによっては、何度も何度もお母さんと一緒にやる時間を積み重ねる必要があるかもしれません。お子さんの様子を観察しながら一人でできるようになるまでサポートしてあげてください。
また、ModMathというアプリが使えない場合は、最初は全てお母さんが書いてあげる。
計算だけ子どもに口で言ってもらう。
という方法でも同じステップで上手にできるようになっていきますよ。
算数、数学は積み上げ式の学習です。つまづいているところがどこか、算数のどの要素が苦手なのかをわかってあげて、そこまで戻ることがとても大事。
土台が固まっていない状態ではいくら難しい問題に興味を持っても先に進んでいけません。
息子は、中学1年生の時に、小学3年生の勉強からやり直しを始めました。そして1年で小学校の算数が終わり、中学2年生で中学校の数学を開始。現在は学年レベルの数学を勉強しています。
「勉強が遅れる!」と焦ってやみくもに問題集を解いてわからない経験を積ませるのではなく、しっかりわかるところまでさかのぼって、つまづくポイントを見極める。
その子に合う教え方が見つかると、短期間でも勉強の遅れは取り戻せます!
我が家のように、書いたら字がぐちゃぐちゃ…というお子さんの算数の勉強で悩んでいたら、ぜひ参考にしてみてくださいね。
執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
ママが学べる脳科学があるからおウチで学習力もアップします!
▼▼▼