1.大切な学校からの手紙を忘れてしまう発達グレーさん
小学校に入ると毎日たくさんのプリントが配られるようになり、プリントの中には「集金のお知らせ」や「事前に用意が必要なもの」など大切なお手紙もありますよね。
大事な学校からのお手紙をめぐり、こんな経験はありませんか?
・ママ友との会話で、「そのお知らせって、いつ連絡あった?把握してなかった!(汗)」と焦る
・子どもからプリントを受け取ったときには、既に期日が過ぎてしまっていた
・「先生に提出してね」とお願いした提出物をそのまま持ち帰ってきてしまう
…などなど、学校のプリント整理ができないことで引き起こる問題に「プリントを持ち帰る(渡す)だけなんだからできるでしょ?」とイライラしてしまうことはありませんか?
「プリントが配られたら持って帰ってきて」と何度お願いしてもできるようにはならず、高学年になればできるようになるかな…と思っていたけど、全然変わらない!
いつになったらプリントを忘れずに渡してくれるようになるの?と心配になっているママへ、3年間改善できなかった発達グレーの子でも毎日プリント提出ができるようになった今すぐできる解決法をご紹介します。
プリント管理のつまずきの原因を見つけて整えてあげるだけで、たった1日でできるようになるかもしれません。
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2.学校からの手紙を忘れてしまうのはどうして?発達グレーさんの忘れっぽい理由とは
発達グレーゾーンの子の忘れやすい特性には、大きく分けて2つのタイプが考えられます。
1つ目は、「短期記憶:ワーキングメモリが弱い」ことが原因で忘れてしまうタイプです。
ワーキングメモリは、必要な情報を一時的に保持して処理する能力のことで、行動の段取りや見通しを立てるときにも必要な機能となります。
片付けるときもワーキングメモリが働き、どこに何を仕舞うか?などを考えて、頭の中で整理しながら行動します。
このワーキングメモリが弱いと整理整頓が苦手で、プリントをどこに仕舞うかなど難しくなる場合があります。
2つ目は、「ADHDの特性:1つのことに集中し続けることができない」ことにより、途中で違う行動を始めてしまい忘れてしまうタイプです。
先生がプリントを配ってから「プリントを仕舞いましょう」と声かけをしても違うことに注意が向いてしまっていて聞いていない…
プリントを仕舞おうと思っていたのに、友達の話が面白そうで気になってしまい忘れてしまった…
など、他に気になることがあると最後まで行動できずに忘れてしまい、プリントを失くすこともあります。
このように、脳の特性により、忘れ物が多いなどの困りごとが目立つようになります。
3.入学してからずっと続いた学校からの手紙忘れ問題に「なぜできないの?」と怒る日々
小学校に入学してから、プリントを渡す・プリントを学校に提出することが全くできなかったADHDグレーゾーンの娘。
忘れ物も多く、ランドセルの中はいつもぐちゃぐちゃになったプリントやお昼休みに書いた絵、折り紙などが奥から化石のように出てくる始末。
娘の連絡袋とランドセルの中身を毎日確認しても、学校の机の中に忘れてきたプリントまでは把握しきれず、困りごとは続きました。
保護者会で娘の机のお道具箱をのぞくと、テストや学校のプリントが次々出てくるのです…
娘に「大事なプリントは持って帰ってこないとお母さんも先生も困っちゃうんだよ。プリントをファイルに入れて持って帰ってきてって、いつも言ってるでしょ!?」と怒ってばかりでした。
提出期限がある申し込み用紙などは、娘から貰う頃には期日が過ぎており、毎回先生に謝罪のお手紙とともに提出していました。
“なぜ、何度言ってもできないままなの?”と娘を理解できず、3年生になっても、プリント管理は成長しませんでした。
いつになったらできるようになるのだろう?とずっと悩んでいました。
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4.できないには理由があった!発達グレーさんの学校からの手紙忘れは、つまずきの原因を解消するとあっという間に解決
プリントを持ち帰れない原因の1つ目は、プリントをしまうファイルが複雑だったことにありました。
娘が使っていたファイルは、クリアファイルと連絡帳袋の2つでした。
クリアファイルは、観音開きになる形で、左右にプリントを入れられる場所があり、「国語と算数で分けられて整理しやすいだろう」と私の勝手な思い込みで使わせていました。
結果として、連絡帳袋・クリアファイル2箇所の合計3箇所もプリントをしまう場所があり、どこに何をしまったらいいか分かりにくい状況でした。
また、クリアファイルに仕舞う場合には、観音開きになっていたことにより、
“開く→どちらかに入れる→閉じる”のように動作が複雑化してしまい難易度が高い状況だったのです。
この問題を解決するために、クリアファイルは、横から差し込む一般的な形状のものに変え、一つの動作でプリントが仕舞えるようにしました。
そして仕舞う場所を1つにして「全てクリアファイルに入れること」とルールを簡単にしました。
原因2つ目は、プリント整理の段取りが分からなくなってしまっていたことでした。
そこで、プリントを整理する上で必要な動作を分解し、分かりやすく伝えることをしました。
①空のクリアファイルを持っていく
②学校でもらったプリントは全てクリアファイルに入れる
③クリアファイルごとお母さんに渡す
の3つのステップに整理しました。
3つのステップにすることで、動作が明確になり、最後まで行動できるようになりました。
上記2つの改善に加えて、できた行動を言葉で伝え、記憶に残すことにトライしました。
具体的には、ファイルを受け取ったときに、娘と一緒にプリントの中身を確認しながら会話をするようにしました。
例えば、
「今日は、テストが返ってきたんだね。見せてくれてありがとう」
「三角定規を買わないといけないんだね。◯日までに準備する必要があるって書いてあるね。事前に準備できるからプリントを持って帰ってきてくれて助かったよ」
など、持って帰って見せてくれたことに対し、感謝などの気持ちを添えて伝えることで、成功体験として記憶に残すことができました。
すると、毎日嬉しそうにクリアファイルを持ってきてくれるようになり、あっという間にクリアファイルでのプリント管理ができるようになりました。
おかげで、学校からの大事なお手紙も、しっかり私が確認できるように!
3年間、怒り続けても改善できなかったプリント管理が、行動を整理するだけで、たった1日で解決することができたのです。
怒って言い聞かせるのではなく、つまずきの原因を解決してあげることが必要だったのだと実感しました。
①分かりやすい行動に整理してあげること
②短い時間で集中してできるくらい単純な動作にすること
③できたことを言葉で伝えること
この3つの実践で、学校からの手紙をめぐり今まで注意される経験しかしていなかったお子さんが「自分はできる」と思える体験にしてあげてみてくださいね。
きっとママもお子さんの急な成長に驚かれると思います!
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執筆者:しろずみほ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)