コミュニケーションでつまずく自閉症(ASD)の子が友だちと仲良しの関係を続けられたサポートとは?

ASDの子は、せっかく友だちが出来てもすぐ喧嘩になってしまったり、冗談が通じなくて険悪になったり、話が噛み合わなかったり、コミュニケーションがうまく取れないことがありませんか?親が少しサポートすることで、友だち関係がぐんとうまくいきますよ。

1. 自閉症スペクトラム(ASD)の子は、どうして友だちが出来にくいの?

ASDさんは友だち付き合いが苦手ではありませんか?そもそも集団が苦手一人でいる方が気が楽、という子も多いです。

なぜ友だちができにくいのか、の主な理由としては
・ そもそも他者に関心が薄い
・ 自分の興味関心に集中してしまい、周囲に合わせられない
などがあります。

そして、せっかく友だちができても、独自のルール自分のやり方を貫いてしまいわがままなイメージをもたれてしまったり、冗談を理解せず喧嘩になってしまったり、空気を読まないことでバカにされたり怒られてしまったりして、友だち関係が長く続かないことが多いです。

一人でいることが楽で、好き、であればいいのですが、「本当は友だちが欲しい」「友だちと一緒に何かをしたい」と思っているのであれば、親としては心が痛みますよね。

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2. 不登校の息子にもオンラインの友だちができた!はずが…

我が家の中学3年生の息子は、中学1年生の6月頃から不登校になりました。不登校になってすぐの頃は、小学校時代の友だちと遊びにいくこともありましたが、時間がたつにつれて連絡もなくなり誰かと一緒に出かけることは全くなくなりました。

しばらくは一人でゲームをしたり、You Tubeを観たりしていて全く問題なかったのですが、2年生になると、「やっぱり誰かと一緒にゲームしたいなー」と言うようになりました。

そこで、オンラインのフリースクールに入学して、活動に参加するうちに、ある年下の子と一緒に同じゲームをプレイすることになり、そこから連日のように一緒にプレイするようになりました。

毎日、毎日、楽しそうにボイスチャットを使ってゲームを楽しんでいるようだったのですが…ある時に、イライラした、けんか腰の声が聞こえてきました。

話を聞いてみると、

息子:「あいつとは、もう遊ばない!」
母:「どうして?」
息子:「俺は、あいつが好きなゲームで遊んでやっているのに、俺の好きなゲームは全然やろうとしてくれないから!」

と、ASDの特性が出てしまい、怒り心頭でした。「別に友だちなんていなくたっていい。嫌なやつと一緒にゲームやる気はしないから。」と、その後はまた一人でゲームやYou Tubeの毎日になりました。

友だちを作れる環境は用意できたし、実際友だちもできた。でも、相手の思いや気持ちには目を向けず自分の興味にだけ固執して、それに賛同してもらえないと“敵”かのように扱ってしまう。

息子は中学3年生、これから高校へ進学を考えるタイミングです。コミュニケーション力を育てて友だちと楽しい関係を築く成功体験をさせ、進学後の人間関係への不安をなくさせてあげたいと思いました。

3. 友だちとのよい関係維持のために親ができるサポートとは?

私が実際におこなったおうちでのサポートは2つ!

◆ まずは、本人の感情を落ち着かせる

思い通りの展開にならなかったり、ゲームで負けたりすると、カッとなって暴言を吐いてみたり、イライラして正しい状況判断ができず、人やモノのせいにしてしまうことが多かったので、まずは、一旦気持ちを落ち着かせる声かけをしました。

息子:「あ〜もうこのクソゲー、2度とやらない!」
私:「そっかー。ゲームに負けるのは悔しいよね。なんでクソゲーなのかな?」
息子:「だって、あのキャラクター、強化されたおかげで強すぎるんだよ。だからあれが相手だと絶対勝てない…」

こんな風に話をさせることで、落ち着いていくこともあれば、時には、
「今、イライラしているから話しかけないで!」
と言って、子どもが自分のタイミングで落ち着いていくこともあります。

思い入れのあるゲームで負けてしまうなど、うまくいかない展開にイライラしてしまうことはこれからも起こってしまうかもしれません。その時に、なぜイライラするのかを言葉に出して説明することで自分の気持ちを整理することができるようになり、自分なりの対処法を見つけて気持ちを切り替える力がつくと、人とのコミュニケーションが上手にとれるようになる、という大切なスキルを手にすることができます。

◆ 相手がどのように思っているのか、自分の勝手な思い込みでないかを考えさせる

ASDさんは、相手の感情を読み取るのが苦手で、一方的な思い込みを抱きがちです。

息子は
「みんなは、俺のことをクズみたいなヤツだ、って思っている。」
「あいつ不登校なんだから外に出るな、って言ってるに違いない」
といったふうに、勝手に決めつける発言をして自己評価を下げてしまうことがあります。

その際には、私から
「本当にそうかな?」
「みんな、って何人くらい?」
などの言葉をかけて、考えてもらうようにしました。

最初のうちは、
「本当に絶対そう!どうせ俺は…」「みんなはみんな、全員。」
と頑なでしたが、少しすると…

「そう思わないわけないけどな…」「俺だったらそう思うけど…」
と、相手の立場になって考える様子もみられるようになりました。

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4. コミュニケーション力アップは親子の会話から!

オンラインスクールのお友だちと遊ばなくなって数日後、また遊びたい、と連絡がきてもスルーしている息子に、

「Gさん(お友だち)はさー、Y(息子)がやりたいゲームにまだ興味が持ててないんじゃないかなぁ。Yも、自分でやりたい、と思ったゲーム以外のものを“やれ!”って言われたらやる気がなくなるよね? “自分のペースでゆっくりやって”って伝えたら、そのうち楽しくなって、自分からやる気が出るかもしれないよ。」

と伝えてみました。

その後、Gさんと遊ぶ機会があり、またしても思い込みから怒りをぶつけてしまった息子。
その時、
「あー、俺、こうやって友だちをなくすんだな…」
とつぶやいたので、
「お!わかってるねー!Yは、Gさんとゲームを続けたいなら、どうしたらいいと思う?
と聞くと
「うーん。じゃあ日替わりで、俺がやりたいゲームをやる日と、Gがやりたいゲームをやる日と順番にしようかなー。その方が公平だし。」
と、相手の思いもくみながらお互い楽しく遊べるような提案をすることができました。

現在も、小競り合いをすることはありますが、数日に1回はボイスチャットで話しながらゲームを継続しています。時々、自分の得意なゲームを教えながら一緒に進める姿も見られ、年上っぽさも感じられるようになってきました。

コミュニケーション能力はすぐに上達するわけではありません。
うまくいかなかったときは、親子で会話しながら一緒に考え、気づきを与えてあげましょう。
失敗したりうまくいったりを繰り返しながら、少しずつ上手になっていきますよ。

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執筆者:菊池のりか
(発達科学コミュニケーション リサーチャー)

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