1.不登校になった我が子はなぜ学校に行かないのだろう?
「お腹が痛い。明日は行くから。今日は休ませて。」
この子どもの発言を聞いて
「しんどそうだから、今日は休ませてあげよう。」
「それで明日から頑張れるならいいよね。」
と思うお母さんは多いのではないでしょうか?
行きしぶりや、不登校になりそうな前段階の時期では、少し休息すれば翌日からは学校へ登校できるということはよくあることです。
しかし、その段階での休息が不十分だったり、学校でさらにエネルギーを消耗したりしてしまうと本格的な不登校へと進む可能性が強まります。
実は子どもが「明日は行く」と言うのは、その場しのぎで言っている場合があります。
そこから何日も学校に行かない日が続くと
「自分で明日行くって言ったじゃない!」
「行きたくないならちゃんと理由を言ってよ。」
とガッカリしたり、イライラしたりして子どもにキツく当たってしまったことはありませんか?
毎日毎日そんなやりとりを繰り返して、疲れてしまっていませんか?
子どもが学校に行けなくなると、たいていのお母さんは「なぜ学校に行けないんだろう?」と原因探しをして、子どもからなんとか理由を聞き出そうとします。
聞き方によっては、子どもを追いつめてしまうことにもなりかねません。
2.子どもの言語能力を理解しましょう
我が家の息子は4年生の秋から学校へ行けなくなりました。
それでも、先生に来週の時間割をもらったときに、
「〇〇の授業は出ます!」
「この教科は好きだから行く!」
と宣言していた時期がありました。
でも、行けないんですよね…。
そんなとき、私は
「行くって先生と約束したじゃない?」
「玄関までとりあえず行ってみない?」
などと言っていました。
「行けない」という息子に対して、
「なんとか少しでも行って慣れていけば次第に行けるようになるんじゃないか」と未練がましく誘っていたのです。
しかし、私がそんな言葉をかけることで余計に息子は疲れ、自信をなくしていきました。
たとえ行けたとしても、登校する前は極度の緊張状態だし、下校後はぐったりしていました。
今考えると、とても学校で落ち着いて学べる状態ではなかったと思います。
我が家で「行く・行かない」駆け引きをしていた頃は、「いつ行けるか」ということにこだわりすぎてしまっていました。
そして、子どもの言葉のうわべだけを受け取り、本心をよく考えてあげていなかったなと思います。
発達の特性を持つ子どもの中には、自分の気持ちをうまく言語化できない子もいるのです。
「なんでかわからないけど、学校が怖い」
「学校は疲れる」
「今はとにかく動けない、休みたい、それだけ」
「みんなと同じように学校に行きたいのに、僕だけ行けない…なんで…」
このように感じている子どもは大人が思う以上に多いということを知ってください。
原因が自分でわかれば、誰かに相談したり、対策を考えたりできますが、子ども自身でもわからない場合が多いのです。
「いつなら学校行けるかな?」
「この授業は楽しいよ。来てみない?」
などと、誘ってくる親や先生に対し、はっきりと断ることができないのです。
「明日は行く」と言えば、あれこれ周りにうるさいことを言われずに、明日までは責められずに休むことができると学習している子どももいます。
自分がこれ以上傷つかないように…
親や先生との言い争いをしたくない…
という繊細な子ども達の自己防衛のうちの一つです。
それも素晴らしい子どもの能力の一つですが、できることなら子どもの本音を聞いて安心させてあげられるような親子関係になりたいですよね。
3.親子のコミュニケーションを見直せば、不登校は問題ではなくなります!
子ども自身がうまく気持ちを言えない場合に大切なことがあります。
まずは、学校に行く・行かないということにとらわれるのをやめること。
次になぜ行けないのかを周囲の大人が考え、原因を取り除いたり、環境を工夫したり変えたりすることです。
親と先生で相談して、子どもの学校での負担を軽減させることで登校できるようになればそれはそれでオッケーです。
しかし、それだけでは足りない場合もあります。
そんなときは、子どもが自分の苦手なこと、辛いことを自ら話せるようになるような、親子のコミュニケーションが必要なのです。
「今日は行けない」と言えば、
「そっか〜」の一言でオッケーです!
時間を置いて、子どもが落ち着いているときにでも、
「今度、楽しそうな授業があるんだって。」とか、
「先生が、放課後にでも会いに来てくれたら嬉しいなって、言ってたよ。」
などと、さらっとお知らせするだけにしてみてください。
子ども自らが「行く!」と言うまでは、「行ってみない?」と誘わなくても大丈夫です。
じっくり待ちましょう。
そのかわり、子どもと一緒に遊んだりご飯を食べたり、テレビを見たりといった日常生活の中で、今の子どもを肯定してあげましょう。
「ご飯たくさん食べてくれたね、お母さん嬉しいな」
「何の番組見ているの?お母さんも一緒に見ようかな」
など、ちょっとしたことでいいのです。
そして、苦手なことは指摘せず、子どもに自信をつけてあげる関わりをしましょう。
自分の欠点ばかり見えてどん底の気分のときに、あれこれ言われたら、どんどん自信をなくしてしまいますよね。
お母さんと過ごす中で、自分のことを認めてもらい、自分の失敗も笑顔で流してもらえると、子どもの自信が少しずつ戻ってきます。
そうして次第に、自分の苦手なことに気づけるようになってきたり、受け入れられるようになってきたりします。
自己理解が進むと、それを言葉にすることもできるようになってくるんです。
「教室がうるさくて嫌なんだ」
「授業がちんぷんかんぷんでわからないんだ」
「僕だけひとりぼっちなんだ」
などと、子どもから何か苦手なことや辛かったことを話してきてくれたときがチャンスです!
発達科学コミュニケーションでは、子どもの気持ちを落ち着かせるホームカウンセリングをお母さんが身に付けることができます。
「そうなんだね、よく教えてくれたね。」
「一緒にどうしたらいいか考えようね。」
と親子で一緒に相談していきます。
大切なのは、今日、明日子どもが学校に登校することではなく、子どもが将来自分の力で生きていけるようにサポートすることではないでしょうか?
今は周りの子ども達よりも、遠回りの道を歩いているように感じるかもしれません。
しかし、悩んだり親子で相談したりする時間は、子どもの問題解決能力を磨き上げている、とても大事な時間です。
我が子の気持ちをいち早く受け止めて、サポートしていけるお母さんになりましょう!
不登校になった子どもの本音を理解して、こだわりの強い小学生の特性をやわらげたお母さんのお話も是非ご覧ください。
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執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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