わかってもらえない辛さがある…発達障害・思春期の女子を救いたい!~発コミュトレーナー青島明日香さんインタビュー~

女の子の発達障害は周囲から理解されづらく、思春期に不登校になると、人目を気にして人と会わなくなったり孤立しがちになります。わかってもらえない辛さを抱えている人の力になりたいという思いで活動する発コミュ・トレーナーにインタビューしました。

1.相談してはみたものの…理解されづらい女の子の発達障害

現在、中学3年生の女の子を育てる青島さん。発達科学コミュニケーション(発コミュ)トレーナーとして活動されています。

真面目で優秀、学校では問題のないお子さんだったからこそ、心配なことがあった時に相談してもわかってもらえないという辛さを体験されています。

――子育てされていて、大変だった時のことを教えて頂けますか?

「娘は、繊細なタイプで感覚の過敏さがある子です。

海外の日本人学校に通っていたのですが、娘が小学校3年生の時に、帰国して日本の小学校に転校しました。

海外にいた時は治安上、どこに行くにも車で送り迎えをして、友達と遊ぶ時も親と同伴で遊ぶような環境でした。

日本に帰ってきて、通学が徒歩になり、友達付き合いのスタイルも変わったので、環境の変化に戸惑っていたと思います。

3年生の時にガクッと笑顔が減ったなと感じていたのですが、その時は私も『慣れていないからかな…』と楽観的に考えていました。

4年生になると学校の愚痴が増えてきて、『学校楽しくない』から『学校に行きたくない』に変わっていきました。

様子が大きく変わったのは、4年生の冬休みの時。

塾以外は外出しなくなっていて、外食しようと誘ったら『いやだー』と泣き叫んで。それが、今までにないような激しい癇癪で…。

3学期になってからもイライラした様子が続いていて愚痴を吐き続けていました。」

――その時、学校には相談しましたか?

「学校の先生には相談していましたが、『学校では問題なく、落ち着いて過ごしていますよ』と言われました。

イライラして愚痴を吐き続けているという様子を伝えても『お母さん、気にしすぎ。そんなに子どもの愚痴を真正面から捉えなくていいですから』と言われたり。

愚痴を吐き続ける、外出をいやがるなど、娘の異変を感じながらも原因がわからず、相談してもわかってもらえなかったのでその時はとても辛かったです。」

――学校へは行けていましたか?

「5年生までは行けていましたが、6年生で2度ほど、2週間、1ヶ月半の長い欠席をしました。

そんな中、本人の希望もあり中学受験もしました。意欲的にがんばっていて、希望の学校に合格することができました。」

――

青島さんのお嬢さんは、「行きたくない」と言いながらも学校になんとか通い、中学受験にも努力して合格を勝ち取りました。 しかし、楽しみにしていた中学校生活でもつまずきを経験されます。

2.思春期特有の友達づきあいや先生の対応に傷ついて

―――中学に入学されて、どんな様子でしたか?

「中学に入学する前の春休みは『授業についていけなくなるのが嫌だから』と自分からすすんで勉強していました。入学してからも、しばらくは楽しそうに通っていました。

娘の困り感にずっと気づけず、中学に入って1か月ぐらい経って特性からくる苦手があることがわかりました。

何に困っているのか私もわかっていなかったので、学校側に娘のことを伝えるのも遅れてしまいました。

でも、そうしているうちに、特性から学校でうまく振るまうことができず、自信をなくしていきました。

先生の授業中のあて方が指名していきなりあてるスタイルに変わったことで、緊張してしまったり。

聞くことや板書が苦手という特性が影響しているのか、先生の指示を聞きのがして後から先生に聞きに行ったことがありました。

その時は『ちゃんと説明したでしょ⁉しっかり聞いてなさい!』とキツく言われてしまったようでショックを受けていました。

友達関係では、仲良しグループが3人グループになってしまって、やっぱり女の子の3人って難しいので…。ストレスを感じていたようです。

月1回、2週に1回と、休むことが増え始め、中1の6月から完全に行けなくなってしまいました。」

―――学校に行けなくなってからはどんな様子で過ごしていましたか?

「学校に行けなくなって、中1の時は本が好きだったので図書館には行っていました。その頃は『明日は学校に行こうかな』と学校を気にする様子がまだ見られました。

私としても『背中を押したら行けるかも』という思いでいました。

中2になったら、外出することがほとんどなくなって、家の中でも動けなくなってきて、お風呂に入る頻度も少なくなって…。

いよいよ、学校どころではないという状況になりました。」

――

一人っ子で、育児に専念されてきた青島さん。「子どものことを誰よりもよく見てきたつもりだったけど、それでも娘の特性に気づくことが難しかった」とおっしゃっていました。

特性がわかったのも中1に入ってからで、その時は今まで言っていたことや行動の理由がやっとわかったという思いだったそうです。

女の子の発達障害は、目立った問題行動がみられずに周囲も気づかないことが多いので、サポートが遅れがちになります。

女の子は、男の子よりも「人からどう見られるか」ということを気にする傾向があります。

嫌なことがあっても周りを気にして我慢してしまうことが多く、SOSを出しにくい…。

失敗を恐れる気持ち、他の人と同じようにできない葛藤が、思春期に強い不安となって、学校に行けなくなったり2次障害のような形で現れ、そこではじめて周囲が気づくことも多いのです。

3.孤立しがちな不登校の女の子とお母さんに寄り添っていきたい

――発コミュを始められたのは、いつぐらいですか?

「中2の9月ぐらいです。

発コミュで習った肯定をはじめたら1週間でもっと、褒めて』と言ってきました。

それまでも『スゴイね~』と言ったり自己流で褒めていたことがありましたが、それだとやっぱり効かなくて『また、そうやって私をコントロールしようとして』と反発されていました。

『~しようとしているんだね』という実況中継が、うちの場合は一番効きました。

褒めるようになったら、動かなくなっていたのが散歩に行くようになったり行動量が増えました。」

――お子さんが同じ状況のお母さんと話すことはありますか?

「不登校の親の会で知り合ったお母さんで連絡を取り合っている方はいます。ただ、男の子のお母さんが多いですね。

親の会では延べ100人ぐらいの方に会っていますが、それでも女の子のお母さんは1桁とか。

男の子のお母さんと話しても、やっぱり女子の悩みと男子の悩みは違うので、お互いに『へー、そうなんだー』と言って終わってしまうことが多いです。

なかなか同じ状況の人とは出会えないということが実感としてあります。

講演会などで男の子の不登校の話を聞いても、『男の子はそうなんだ』と第三者的に聞いてしまうところがあります。」

――青島さんの講座に来てくれる人は、お嬢さんと似たタイプのお子さんを持つ方が多いですか?

「そうですね。『うちの子と同じようなタイプの子っているんですね‼』とおっしゃってくださった方もいたり。

あと男の子のお母さんと話していて思うのは、男の子って学校に行ってなくてもゲーム仲間とかで友達とつながっていることが多いなと感じています。学校帰りに友達が寄ってくれたり。

女の子の方が、友達とのつながりも途絶えやすいですね。」

―――たしかに、その傾向はありますよね。女の子の方が学校に行っていないと、母子ともに孤立しやすいかもしれませんね。女の子特有の辛さが親子ともにあると思いますか?

「女の子って問題行動があまりないから『お母さんの接し方がいけないんじゃないないの?』と言われて困りごとがわかってもらえなかったり、『外でできてるんだからいいじゃない?』と言われてしまったり、辛さをわかってもらえないところがあります。

自分と同じような経験をされていて、孤立しがちなお母さんの気持ちに寄り添っていきたいなという思いがあります。」

――今はトレーナーとして活動されていますが、辛かった時をふりかえってみて、その時のことをどのように思いますか?

「私は発コミュの上級講座にすすんで、子どもを観察する目がついたと思います。

娘が愚痴ばっかり言っていた時は言葉の表面だけを聞いていました。娘の言葉の裏側にある気持ちまではわかりませんでした。

もっと、たわいもない会話を大切にしていれば、娘の気持ちをわかってあげることができたかもしれないと思います。

今となっては、娘が自分の気持ちを吐いてくれてよかったと思います。

私は娘が反抗してくれなかったら、彼女の苦しい気持ちにたぶん気づくことができなかったと思います。

『がんばれ、がんばれ』と言い続けてそのまま行ってしまっていたと思います。

今になって思うと反抗してくれたことが、娘の気持ちに気づけるサインでした。」

―――

子どもが親に反抗してくる時、子どもは内側に抱えた自分の葛藤や不安を理解して欲しくてぶつけてきている時があります。

しかし、親はなんとか反抗をやめさせたいと考えて、子どもの本当の気持ちを見落としがちです。

青島さんが「反抗してくれたことが気づけるサインだった」と話せるのは、辛かった時期を乗り越え、良い親子関係が築けているからだと思います。

肯定的なコミュニケーションを重ね、今はお嬢さんも4月からの高校進学に向けて前向きな気持ちになっているようです。

女の子の発達障害は、本を読んでも当てはまらないことが多く、早期に発見することが難しいといわれます。

だからこそ「私から発信しよう!」と発コミュを学び、トレーナーとして活動することを青島さんは決意されました。

女の子の発達障害は、困りごとが親子ともに周囲から理解されづらいところがあります。

青島さんのお話を伺っていて「周囲から理解されない辛さがわかるからこそ、力になりたい!」という強い思いが伝わってきました。

悩んでいる時は「こんな思いをしているのは、自分だけかもしれない…」と考えがちですが、自分と同じような体験をした人に相談できると、気持ちがきっと軽くなるはずです。

青島さんの無料メール講座
怖がり思春期凸凹女子が「好き」を見つけて動き出す!1日1分発達応援メール
★ご登録はコチラ

青島明日香さんfacebookページ:お友達申請はコチラ

執筆者:滝麻里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

親子のたわいもない会話も、子どもの成長につながるコミュニケーションです!子どもの成長が加速する情報をお届けしています。ぜひご登録ください。

タイトルとURLをコピーしました