受け止めたいのに、受け止めきれない苦しさ
我が家には現在16才になる長女がいます。
幼い頃から、外では落ち着いているのに、家では私にだけ強い感情をぶつけてくる子でした。
以前の私は、子どもの感情に巻き込まれて同じように感情をぶつけ返してしまうこともありました。
それではいけないと思い、その場で言葉を投げ返すことはしないようにしてきたつもりでした。
受け止めたい気持ちは確かにありました。
だからこそ、何をどう伝えればいいのか必死に考えていたのです。
けれど、選んだ言葉がかえって子どもの怒りを強くしてしまった瞬間、頭の中が一気に真っ白になりました。
「今の言葉は、言ってはいけなかった?」
「何が正解だったんだろう」
「私が関わると悪化するのかな」
受け止めたいと思っているのに受け止めきれない。
その事実が、いちばん苦しかったのです。
子どもの感情を落ち着けたい。
そう思いながら向き合っていましたが、実は落ち着いていなかったのは私自身の感情でした。
考えれば考えるほど、「私がダメなのではないか」という思考に引きずり込まれていく。
このしんどさは、癇癪そのものよりも そのあとに始まる「自分への問い詰め」だったのだと、あとから気づきました。

受け止めようとするほど深まるこの苦しさには、ちゃんと理由がありました。
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ママにだけ癇癪が向く場面で、脳に起きていること
ママにだけ癇癪が向く場面で起きているのは、「対応が難しい子どもの感情」だけではありません。
実はそのとき、ママの脳の中でも大きな切り替わりが起きています。
強い感情に触れた瞬間、脳はまず「考えて対応する」より先に自分を守るモードに入ります。
これは、愛情が足りないからでも、知識が足りないからでもありません。
ショックや恐怖を感じたときに起こる、人の脳の自然な働きです。

この「守るモード」に入ると、言葉を選びすぎて動けなくなったり、何を言っても間違いな気がしたりしやすくなります。
つまり、受け止めきれなかったのは、強い感情に巻き込まれた私自身が、崩れないように必死だったから。
だから、うまく言葉が出なかったり何もできなかったりしたとしても、それは失敗ではありません。
その瞬間、ママの脳はちゃんと守る役割を果たしていただけなのです。
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感情爆発の最中に「答えを出さない」という選択肢
答えを出さないのは、ママ自身を守るため
これは、子どもへの対応の話ではありません。
守るモードに入っているママ自身の脳を、 無理に動かさないための話です。
今日からできることを一つ挙げるとしたら、 感情爆発の最中に答えを出そうとしないことです。
どう関わればよかったのか。
今の言葉は正解だったのか。
そうした問いは、落ち着いているときにこそ扱えるものです。
感情が高ぶっている最中は、ママの脳も守るモードに入っています。
その状態で答えを出そうとすると、どうしても「できなかった自分」を責める方向に傾きやすくなります。
だからその場では、答えを出さなくていい。
結論を出さなくていい。
どうするべきかを決めなくていい。
無視する、突き放すという意味ではありません。
今は考えて関われる状態ではない自分を、無理に動かさないということです。

まず、気づくことから
まずは、自分の中で起きている反応に 気づいているだけで十分です。
「守るモードに入っているな」そう気づけた瞬間から、自己嫌悪のループは少しずつ変わっていきます。
受け止めきれなかったあの瞬間、ママがダメだったわけではありません。
脳が、守るモードに入っていただけ。
次に同じ場面が来たとき、「またうまくできなかった」と自分を責めそうになったら、この仕組みをほんの一瞬思い出してみてください。
今日からまず一つ、感情が爆発しているその場で 答えを出すことをやめてみてください。
ママも子どもも、脳の反応が落ち着いたときに、話し合える時間がやってきます。

執筆者:森崎こころ
(Nicotto Project 発達科学コミュニケーショントレーナー)


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