発達障害や自閉症スペクトラムの子どもを頭ごなしに怒ってはいけない、と知っているのに、強く叱ってしまい、落ち込んだ経験はありませんか?自分の感情が抑えられず叱りすぎてしまったあと、親子関係を修復するためにお母さんはどのように対応すればよいのでしょうか?私の経験をお伝えします!
発達障害の子どもを強く怒ってはいけないのにやってしまったとき
発達障害の子育てに知識がある方なら、「発達障害の子どもは褒めて育てよう!強く怒ってはいけない!」ということをご存じの方も多いと思います。
しかし、怒ってはいけないと頭では理解していても、怒りが収まらず強く怒ってしまったなんてことはありませんか?。
実は過去の私もそんなことがありました。
発達科学コミュニケーションを学んで、子どもを感情的に怒ってもいいことはないと頭では理解しているはずなのに、思わず子どもを強く怒ってしまうという間違った対応をしてしまいました。
自分の感情がコントロールできないなんて、こんなことでは積み重ねて今までやってきた肯定の声かけとか意味がないじゃないか!と自分の至らなさに腹が立って落ち込む…。
お母さんも発達障害の子どもへの対応を頑張っているだけに辛いですよね。私も辛い思いをしたのでそんな気持ちがよくわかります。
この記事では、私が子どもへ間違った対応をしたあと、どのような対応をとって親子関係を修復したのかについてお伝えします。
発達障害・自閉症スペクトラム傾向の子どもを怒って「大嫌い!」と言われた経験
私の娘(小2)は注意欠陥多動性障害(ADHD)・自閉症スペクトラム(ASD)の傾向があり、とても不安が強いタイプです。
ある日、娘が遊びに行ったまま約束の時間を過ぎても帰ってこないことがありました。
もう外は真っ暗です。待てど暮らせど帰ってきません。
私は家で一人で待つうち、心配でたまらなくなってしまいました。
心配が募り、「大丈夫、大丈夫」と自分の気持ちを落ち着かせるように言い聞かせながら、いつも遊んでいる公園に探しに行ったり、表で待ったりと落ち着かない時間を過ごしました。
帰ると約束した時間からもう2時間近く過ぎています。すると、娘はふらっと帰ってきたのです。
帰ってきた娘を見て私は安心したと同時に思わず強い口調で、
「いったいどこ行ってたのよ!こんな暗くなるまで!何時だと思ってるの!!」と理由も聞かず頭ごなしに叱ってしまいました。
すると娘は真っ赤な顔をして「お母さんなんて大っ嫌い!家出する!」と怒って言いました。
「あー、やってしまった!」と思ってもあとの祭り。
子どもは烈火のごとく怒りだし、私の気持ちは全く伝わらない。
発達凸凹の傾向があるADHD・ASDタイプの子どもはネガティブな記憶を残しやすいため、強く叱られると必要以上に傷ついてしまうことを私は知っていました。
ですから、日ごろからあまり怒らないように人一倍対応には気を付けているつもりでした。
しかし、この場面ではもっと他の言い方をするべきで、感情的になって頭ごなしに叱るのは良くない対応でした。
(子どもに対し、どんな時も叱ってはいけないというわけではなく、子どもの身が危険になる場面や他人に危害を加える可能性がある場面では叱る必要があります。)
怒りの本当の意味とは?
強く叱るという行動は、怒りの感情から生まれたものです。
怒りは「二次感情」と言われています。
一次感情は「不安」「悲しみ」「焦り」「むなしい」などの感情です。これらの感情から怒りが沸き上がってくるのです。
私が怒ってしまった理由は「心配」や「不安」な感情からくるものです。娘を心配して不安になる感情が怒りに変換されてしまい、強く叱ってしまったのです。
このように怒りの感情がどこからくるものなのか、理解できるとその感情に対する対応ができるようになります。
事項では、強く怒ってしまった後、私がとった対応についてお伝えしますね。
娘を強く怒ってしまった後の私の対応
私がどう思ったかを自分を主語にして伝える方法で話しました。
このようにして相手に伝える言い方を「I(アイ)メッセージ」と言います。
私が叱ってしまった後、「お母さん、大嫌い!」と私に怒りをぶつける娘の手を握りながら、娘には私がどんな気持ちだったか話をしました。
まず初めに「大好きなあなたが帰ってきてくれて本当に安心した」という気持ちを伝えました。
その後、私が叱った理由を伝えました。
「なんで叱ったかというと、心配だったからだよ。
大切なあなたが辛い思いをしていないか、事故にあって帰れなくなっていないか、知らない人に連れていかれたのではないかと心配していたんだよ。
無事に帰って顔をみたら安心した気持ちがでて、ホッとして大きな声で叱ってしまったんだ。
でも、帰ってくるなり強く叱ってごめんね。お母さんも強く叱りすぎた。怖かったよね。」
と、言いました。
最初からこの言い方で伝えられたら良かったのですが、その時は感情をコントロールできませんでした。
でも、娘のことを大切に思っているから心配していたという気持ちをわかってもらいたくて娘に話をしました。
その後、娘にどうして遅くなってしまったのか理由を聞いてみました。
娘の帰りが遅くなってしまったのは、「お友達と一緒にいつもの公園じゃない違う公園で遊んでいて、楽しくて夢中になってしまったから」と、話してくれました。
娘が時間に帰ってこなかった理由を聞き、楽しい気持ちはわかると共感したあと、今度からは約束の時間に帰ってほしいことを伝えました。
すると娘は私の怒りの意味を理解したようで「今度から約束の時間に帰る」と言ってくれました。
娘に私の思いが伝わっていると気が付いた出来事とは?
この出来事があってしばらくした後、たまたま家族でアニメのサザエさんを見ていました。
アニメの場面は、お父さんの波平さんがワカメちゃんが夜遅くなっても帰ってこないので、心配して探しに行こうとしているところです。
サザエさんは「大丈夫よ~、そのうち帰るから」なんて言っているけど、お父さんは心配でたまりません。
そこへワカメちゃんが帰ってきて磯野家の家族みんながホッとする、というシーンでした。
娘はこれを見て、
「私が帰るのが遅くなってお母さんに叱られたとき、お母さんはワカメちゃんのお父さんみたいだったの?」と聞いてきました。
「そうだよ、お母さんも波平さんみたいに、心配でたまらなかったんだよ。」
「ワカメちゃんのお父さんは心配してワカメちゃんを外に探しにいこうとしていたね。」と娘がいうので、
「そうだね、お母さんもあなたが帰ってこないとき心配で公園に探しに行ったんだよ。」
そんな会話から、娘が嫌いだから叱ったのではなく、娘が心配だから叱ってしまった私の気持ちをアニメの波平さんの様子に置き換えて理解してくれたことがわかりました。
強く叱られたイメージは、強く娘の記憶に残ってしまったかもしれません。
それでも、「嫌いで叱った」のではなく、「大好きな娘が心配だったから叱った」という親の気持ちを伝わっていたことがわかり、私は安心しました。
親だって完璧な人間ではありません。
頭でわかっていても、いつも100点満点の対応ができるわけではないのです。
ですが、フォローしたり寄り添って少しづつ子どもと一緒に成長すればいいんだな、と私も学びました。
大切なのは子どもと信頼関係を作ること。
この一点がぶれないように、これからも子育てをしていきたいと思っています。私の経験が皆さんの子育てのお役に立てればうれしいです。
執筆者:笹原みらい
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)