発達障害・グレーゾーンの女の子は、ADHDであれASDであれ、男の子に比べて特性が目立ちにくいことが多いです。それって特性が弱いの?いいえ、そうではありません。本人の困り感が周りに伝わりにくいだけ。だからこそ今すぐ適切な対応が必要です! |
【目次】
1 発達障害・グレーゾーンの女の子の特徴は?
発達障害・グレーゾーンの女の子は、男の子と比べて、発達特性の目立ちにくい子が多いです。
男の子は、自閉症スペクトラム(ASD)傾向であれば、分りやすい言葉の遅れがあったり、激しいパニックがあったり。
注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向であれば、行動が非常に活発であったり、ケンカっ早かったりと、お母さんはじめ、周りの人が手に負えないことがあります。
もちろん女の子もタイプはいろいろですが、比較的、言葉の遅れが少なく、活発さがあっても元気な子という印象だけだったり、多少癇癪があったとしても、子どもならあるかもしれないな…ぐらいだったりします。
他には、女の子の「なんだか心配」には例えば以下のようなことがあります。
・園や学校への行きしぶり
・園や学校に対する不満が多い
・強い人見知りや場所見知り
・人と視線を合わせようとしない
・傷つきやすい
・特定の友だちにこだわる、友だちに置いていかれる
・行動がゆっくり
・一つの物事にじっくり取り組めない
などです。
私の娘も、「あれ?」と思うことはあったのですが、他の人に迷惑をかけるような、すぐにどこかに相談に行かなければと思えるほどの困りごとがあるわけではありませんでした。
幼児期の検診でも、指摘されたことはありません。
なんだか心配なんだけど、検診で指摘を受けたわけでもないし、自分が心配しすぎなのかなと、やり過ごせてしまうんです。
周りに大きな迷惑をかけないならいいんじゃない?と思われたかもしれませんが、そう簡単な話ではないんです。
なぜなら、特性が目立たないというのは、特性が弱いとか、不適応が軽いということとイコールではないからです。
ADHDタイプであれ、ASDタイプであれ、混合タイプであれ、特性があるのにそれが周りに分りにくいということは、適切な支援が得られにくいということです。
すると、失敗を重ね、自信をなくし、不適応を強めてしまいます。
2 特性の目立たない女の子の対応が必要なワケ
発達障害ADHDタイプを例に取ると、男の子は、多動性や衝動性という周りからみても分りやすい特徴が見られることが比較的多いです。
授業中に立ち歩く、順番を待てない、ケンカっ早いなどです。
それに比べ、女の子はどちらかというと不注意優勢型のことが多いです。注意力や集中力に弱さがあり、忘れ物が多い、授業を集中して聞いていないといったことが起こります。
特性の目立つ子たちは、先生たちも困難を感じるので、なんとかしようと動き出します。
でも、特性の目立たない子たちは、授業中に、指示を聞き逃したり、勘違いしたりしていて、ついていけていないということが起こっていても、目立った行動が少なく、ルールも守れます。ですから、先生たちからは特に問題はないと思われます。
でも本人は、授業や先生の指示についていけないために、孤独や不安を感じていたり、自信をなくしたりしています。
忘れ物は、幼児や小学校低学年ぐらいであれば、お母さんが手伝ってくれるため、大きな問題にならないかもしれません。
でも本人は、度々忘れ物や失くしものをすることに、人知れず自信をなくしています。そのことで先生やお母さんに叱られているのであれば尚更です。
また、発達障害ASDタイプを例に取ると、言葉の発達については、女の子はお母さんとの日常会話を、割と問題なくできています。
でも実は、言語の理解力や語彙力が低く、同級生との会話や学校の授業になると、付いていけていないことがあります。
そこにさらに、感覚の過敏さなど、周りからは非常にわかりづらい特性を持っていると、学校や教室で過ごすことに負担を感じている可能性があります。
このように、特性が目立ちにくいと、家でも学校でも、関わり方に工夫が必要であることに気が付くのが難しく、適切な対応がされないままになりやすいのです。
適切な対応がなされないということは、言い方を変えると、間違った対応をされ続けるということです。
本当は困っているのに、周りに気づいてもらえず、本人も自分が困っているんだと自覚できずにいます。知らず知らずのうちに自己肯定感を下げてしまったり、不安を強く見せるようになってしまったりします。
しかも、そのような子どもの様子を見て、お母さんは、子育てが甘かったのかな、もっと厳しくしないといけないのかもしれないと、逆効果の対応に走ってしまう可能性があります。
すると、家でも学校でも適切な対応がなされなくて、二次的・三次的な問題に発展してしまいます。
実際、私の娘も、幼稚園時代から気になることがありましたが、様子を見ているだけで適切な対応が取れず、小学校入学を機に困り事のオンパレードになってしまいました。
だから、女の子に多い、目立たない発達特性は、周りに迷惑かけないからといって、決して放っておいてはいけないのです。
3 定型もADHDもASDも関係なし!なんだか心配な女の子にはすぐに対応を!
検診でも指摘されない、診断があったとしても、周りには本人の困り感が伝わりにくい。となれば、どうすれば女の子に適切な対応ができるのでしょうか。
それにはお母さんが適切な対応を学ぶことが本当に大切になります。
発達障害の診断がある場合はもちろんのこと、診断がない場合でも、お母さんが子どもに感じる「なんだか心配」を様子見しないことです。
ましてや自分がもっと厳しく躾けなければ!なんて思ってしまうと逆効果です。
むやみに心配して、その不安が子どもに伝わることは避けたいもの。でも、お母さんが感じる心配を見て見ぬふりせず、冷静にそして適切に対応をしましょう。
周りに分りにくいということは、お母さんにとっても分りにくいこともあると思います。でもお母さんが適切な対応を学べば、お子さんを見る目もより養われていきます。
一緒に過ごしてきた(過ごしている)時間が長いからこそ、お母さんにはそれができます。
目立ちにくいけど実は困っている女の子に、今すぐ適切な対応をしてあげてください。
お母さんはあなたの苦労をわかっているよ!
それも含めてあなたのことを愛しているよ!
あなたには素晴らしい個性があるんだよ!
そういうメッセージを伝え続けてあげられたら、可能性はどんどん広がります。
家庭で適切な対応をすることで、言語能力や注意力や記憶力なども、伸ばしていけます。
発達障害もグレーゾーンも定型発達も関係ありません。お子さんに「なんだか心配」と感じたら、すぐに動き出してくださいね!
執筆者:水原沙和子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)