「0か100か」思考のアスペルガータイプの大人の極端な考え方は、自分だけではなく子どもにも影響を与えます。子育て中にこの思考で悩んだ当事者だからこそ、この思考を手放すべき理由と改善して子育てをラクにする方法をお伝えます。 |
【目次】
1.発達障害・アスペルガータイプの人に見られる「0か100か思考」とは?
2.当事者が実感「0か100か思考」は子育てにも影響する!手放すべき理由とは?
3.「0か100か」思考のアスペルガータイプの大人が自分で改善する方法
ステップ1 自分の0か100か思考に気づく
ステップ2 0と100の間を意識する
ステップ3 新しい価値観にふれる
1.発達障害・アスペルガータイプの人に見られる「0か100か思考」とは?
発達障害・グレーゾーンで自閉症スペクトラム(ASD)・アスペルガータイプの特性として挙げられる「0か100か思考」。「白黒思考」とも呼ばれます。
よくある特徴としては
・他人を、いい人と悪い人の2種類で評価する
・楽天的な時と悲観的な時の差が激しい
・1つでもダメだと、全部ダメだと思ってしまう
・想定外の出来事にパニックにおちいる
・楽天的な時と悲観的な時の差が激しい
・1つでもダメだと、全部ダメだと思ってしまう
・想定外の出来事にパニックにおちいる
といったところです。
実は幼少期は、発達障害かどうか関係なく誰もが「0か100か思考」です。
幼少期の子どもに人気のテレビ番組を思い浮かべてください。正義のヒーローあるいはヒロインがいて、敵やライバルがいる。こんな「敵と味方」「正義と悪」「勝ち負け」といったものが、幼少期の子どもには分かりやすいのです。
そこから成長過程でさまざまな現実を知り、0と100の間があることを理解していきます。しかし発達障害・グレーゾーンの自閉症スペクトラム症・アスペルガータイプの人の中には、0と100の間を十分に理解できないまま大人になる人もいます。
就職や結婚、出産や子育てなどのライフステージの変化の中で、0と100の間の思考をもって柔軟に対応することが必要になります。しかし、「0か100か」のアスペルガータイプの大人にとって柔軟に対応することが難しいのです。
特に子育てでは、あなたの思い通りにならないことの方が圧倒的に多いです。「子育てはこうでなければならない」という思いがあると、自分にも子どもにも精神的な負荷が強くなり、ストレスが溜まってしまいます。
「0か100か思考」を改善すると、精神的な負荷が軽くなり、自分にも他人にもポジティブな思考で柔軟に立ち回れるようになりますよ。
2.当事者が実感「0か100か思考」は子育てにも影響する!手放すべき理由とは?
私もつい最近まで、この「0か100か思考」に囚われていました。なぜなら2つのうちのどちらかを選べば良いので、楽だったからです。物事の選択を、スイッチのONとOFFをパチっと切り替えるだけで済むわけです。
逆に0と100の間が無限にあるわけですから、無限の選択肢というものが私の中で受け入れられず、とても不安でした。
・スイッチのONとOFFの間ってあるの?
・右と左以外の道ってあるの?
・YesとNo以外の答えって何なの?
・右と左以外の道ってあるの?
・YesとNo以外の答えって何なの?
といった感じです。しかし実際には、0と100の間の答えが無限に存在します。
例えば子育ての場面で、お母さん自身はもちろんのこと、お子さんの行動にまで「○才の男の子/女の子はこうあるべき」や「〜しなければならない」と枠に当てはめてしまうとどうなるでしょうか?
少しでも枠からはみ出た状況になると「もうダメだ!」となってしまい、お母さん自身を責めたり、お子さんにも否定的な接し方をしてしまいます。
「こうあるべき」を子どもに押し付けると、子どもも「お母さんが自分を認めてくれない」と不安になり、自信を失ってしまうのです。
また、お母さんの極端な「0か100か思考」が、お子さんにも移ってしまいます。
お母さんとお子さんの両方が「0か100か思考」になると、視野が極端にせまくなり、家庭内での雰囲気もギスギスして、更に悪循環になってしまいます。
あなたのお子さんには、どんな未来を歩ませてあげたいですか?今存在する仕事の約半分は、近い将来にAI(人工知能)に替えられると言われています。あとの半分は、これから現れる未知の仕事です。
つまり「0か100か思考」のままでは、生み出せない未来なのです。
3.「0か100か」思考のアスペルガータイプの大人が自分で改善する方法
頭の中では「0か100か思考」以外の無限の答えが存在する。それは分かっている!でも、どうやって改善すれば良いのでしょうか?
この「0か100か思考」を改善するための方法の1つとして「認知行動療法」があります。
「現実の受け取り方」や「ものの見方」を認知といいますが、認知に働きかけて、こころのストレスを軽くしていく治療法です。
認知行動療法は、うつなどの精神疾患がある場合に用いられますが、ここでは自分で簡単にできる方法を紹介します。
◆ステップ1 自分の0か100か思考に気づく
まずは、自分の「0か100か思考」に気づくこと。これを読まれている段階で、気づかれてる方も多いと思います。そこで、さらに詳しくご自分の使われている言葉に注目します。
「絶対〜だ」「〜に決まってる」「いつも」「常に」などの言葉を使っていたら何か決め付けていることがないか、自分の見方は偏っていないか確認してみてください。
日記をつけるのもオススメです。感情的になっている時の日記は、ご自分の思考パターンを見つけやすいです。
数行程度の短い日記でも、その日の出来事や感情を箇条書きにしてもOKですよ。
◆ステップ2 0と100の間を意識する。
「絶対〜だ」「〜に決まってる」「いつも」「常に」などの言葉を見つけたら、言い方を変えてみます。
・絶対に〜という気がするけど、本当は違うかもしれない
・〜に決まっている気がするけど、まだ分からない
・「いつも」「常に」は「頻繁に」「可能性が高い」など言い変える。
・〜に決まっている気がするけど、まだ分からない
・「いつも」「常に」は「頻繁に」「可能性が高い」など言い変える。
他にも「あの人は嫌い」「あの人の全てが嫌」→「あの人の〜なところは苦手だけど、〜なところはいい」などです。
今までの思考にちょっとスキマを入れてあげる感じですね。 意識的に0と100の間を作っていきましょう。
◆ステップ3 新しい価値観にふれる
人間の脳は、放っておくと年齢と共に硬直化してしまい、新しい物事を受け入れづらくなってしまいます。
現状維持ではなく、新しいものや価値観にふれて思考を柔らかくしてみましょう。慣れてくると少しずつ発想が変わってきますよ。
いかがですか?「0か100か」思考のアスペルガータイプの大人が自分で改善する3つのステップは
①自分の0か100か思考に気づく
②0と100の間を意識する
③新しい価値観にふれる
となります。
今までの考えのクセを治すには時間がかかります。「絶対に白黒思考を改善しなければ!」と構えず、できることから少しずつやってみましょう。
もし、自分ではどうすることもできず、日常生活に支障をきたしている場合は、専門医に相談してくださいね。
0か?100か?の極端な思考にとらわれず、柔軟な思考ができると、ありのままの自分や子どもを受け入れることができます。
家族の未来が、無限に広がりますよ!
執筆者:渡辺みゆき
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)