通級に通わせているママが語る、発達障害・グレーゾーンの年長さんママへのアドバイス〜通級ってどんなところ?〜

現在年長で、発達障害・グレーゾーンのお子さんをお持ちのお母さんの中には、通級を検討されてる方もおられると思います。そこで、実際に通級に通っている先輩ママにお話をうかがい、入れてみてどうだったのかを詳しくお聞きしました。
 

【目次】

 

1.発達障害・グレーゾーンの子どもを通級に通わせたきっかけとは?

 
 
発達科学ラボのリサーチャー・A.Kさんは、発達障害・注意欠陥多動性障(ADHD)タイプの小学校6年生の男の子のお母さんです。お子さんは現在、通常級(通常学級・普通級)に在籍しながら通級に通われています。
 
 
通級指導教室(通級)とは、通常級に在籍しながら、その子の特性に合った個別の指導を受けるための教室のことです。自治体によっては名称が異なるところもあります。
 
 
A.Kさんは、お子さんの入学当初から通級に通わせるつもりだったのか?それとも何かのきっかけがあって通級に通わせることを決めたのか?詳しいお話をうかがいました。
 
 

ーーお子さんが入学されたときは、うまく学校生活に慣れていけましたか?

 
 
「息子は積極的で、初めての場所や環境への抵抗を感じない子なので、学校生活にはすぐ慣れました。その部分には安心していたので、入学前に親として特別な準備はしていなかったです」
 
 

ーー入学時に通級に入ることを考えてましたか?

 
 
「当時は全く考えていませんでした。通級の必要性を感じていなかったため、通級について調べることもしませんでした。」
 
 

ーーお子さんが小学6年生の現在は、通級に通われていますが、通級に入れようと決めたのはいつ頃ですか?きっかけとなる出来事があったのですか?

 
 
2年生で転校し、校風がガラリと変わったことが最初のきっかけです。特に女の子たちが自分以外の周りを見れるようになってくると、息子が注意を受けることが多くなりました。
 
3年生ごろから、先生や女の子から注意されたりガミガミ言われ何をやってもガミガミ言われる』と落ち込んていました。 息子の学年だけ、女の子の人数がクラスの3分の2という状況だったので、女の子からの注意が特に負担だったようです。
 
この頃から「今後のことを考えると、困りごとがだんだん増えてくるから、通級に入れるべきだ」と思い、通級に入れてもらうよう強く要請しました。
 
この頃からスクールカウンセラーと相談しました。2年生の2学期からの行動観察からはじまり、発達検査(WISC)で発達の凸凹があるとわかり、3年の3学期から通級を開始しました。
 
 
 
 
◆ ポイント解説
 
 
入学前から通級を検討している場合は、就学相談で意向を伝えましょう。A.Kさんのお子さんように、入学後でも通級を利用することもできます。
 
 
その場合は、保護者から通級の希望意向を伝えてから、行動観察や検査などの段階を経て、実際に通級に通えるまで、一定の期間が必要になります。
 
 

2.環境の変化で現れた子どもの困りごと。気付いたときにどう動いたのか

 
 

ーー2年生で転校し、環境が変わってから、お子さんから「楽しくない」というようなことを言ってきたのですか?それともお母さんが気づいたのでしょうか?

 
 
「息子自身は、先生やクラスの女の子から怒られるけど、困っていませんでした。私が息子の様子を見て変化に気づき、このままではよくないと思い、相談することにしました。」
 
 

ーー学校では、最初に誰に相談しましたか?

 
 
「まず担任にスクールカウンセラーがいらっしゃると聞いてますが、どうやってコンタクトとったらいいですか?』と聞きました。
 
担任に直接相談しなかったのは、新しい学校に転入したばかりで、担任との信頼構築ができていなかったのと、担任の先生に発達障害の知識があまりなさそうだと思ったからです。」
 
 

ーー通級に入るまでに1年間以上かかっていますが、その間のお子さんの様子はいかがでしたか?

 
 
「最初の頃は、本人は特に困っていない様子でした。先生にガミガミ言われるけど困ってないし、落ち込んでいませんでした。
 
でも、先生や女の子に注意され続けた結果か、次第に自己肯定感が下がったように見えました。俺はもうダメだ』『何をやってもダメだ』など無気力、無関心な態度が目立ち始めました。
 
しかし息子は、意見を言ったり自分の気持ちを言葉に出すことが苦手でうまく伝えられず、相談することもできていませんでした。学年が上がるごとに、困りごとが少しずつ変化したと感じています。」
 
 

ーーお子さんはどんな特性があったのでしょうか? 先生には理解していただけましたか?

 
 
「行動が遅い、指示が通らない、反応が鈍い。といった特性が気になりました。学年が上がるにつれて、行動のスピードが上がってきましたが、人の気持ちを読む力は弱いと感じました。
 
行動上の目立った特性はなかったので、先生には細かく説明しないと気付いてもらえないことが多かったです。
 
面談のときなど折を見て特性を伝えて、気をつけてみてもらうことによって、子どもの特性を理解してもらいました。
 
特性の部分だけは担任にしっかりと伝え、あとは過度な心配はせず見守る姿勢でいました。」
 
 
 
 
◆ ポイント解説
 
お子さんの入学時には、目立った特性はなく楽しく過ごせていても、環境の変化や子どもの成長の過程で困りごとが目立ってくるなどの変化があります。
 
 
子どもの変化に素早く対応するには「お母さんの気づき」が大切です。そして、お母さんの気づきを学校側に理解してもらうためには、伝える機会を積極的に作ること、保護者と学校との信頼関係を構築することも大切です。
 
 

3.通級に行くことで心配なことが出てくる?でも実際には気にしなくていいことも

 
 

ーー 通級での様子についておうかがいします。どのくらいのペースで通級を利用していますか?

 
 
「通級に通い始めた3年生の3学期では、週1日1時間。4年生からは週2日1時間ずつです。自治区の制度としては週2日が最大でした。」
 
 

ーー通級の通う頻度は調整できましたか?

 
 
「私の住んでる自治区の場合、本部校から通級の先生が来るのが週2回。息子の場合も週2回が最大だと決められました。巡回指導なので、他校に通う必要がないのは嬉しいですが、来ていただく回数が少ないのが気になっていました。」
 
 

ー授業を抜けてくることで、遅れてしまうということはありませんか?

 
 
「公立は丁寧に繰り返し授業をするので、授業の遅れは取り戻せます。国・算・社・理の4教科よりも、音楽や図工など、発表や製作物があるときに当たると息子は焦るようです。
 
また理科の実験や、運動会の練習、特別な授業のときは、通級に行かない選択ができます。その時は自分で決めて先生に言うか先生が決めるときもあります。
 
絵や工作物がある時に、通級に行くことが連続しないように配慮てもらえました。
 
息子も次第に自分で見通しが立てられるようになったので、普通級を抜けた分の遅れを取りもどそうと考えられるようになっていました。」
 
 

ーー通級の利用で、クラスメイトから何か言われましたか?

 
 
「通級をはじめるにあたり、息子はそこを一番心配していました。『なんで通級に行くの?』と言われるのが嫌がっていました。
 
なぜ嫌だったかというと『答えられないから』とのことでした。
 
しかし実際は、周りの子どもたちもその時間に抜けることに慣れてくるし、思ったより気にしていない様子です。
 
また、通級に通う子だけでなく、外国人の児童が日本語教室に行くために抜けることがあったので、息子も抜けることに抵抗がなくなりました。
 
 

ー通級を利用することで、周りからの目を心配される方は多いと思いますが、大人が心配するほどのことではないということですね

 
 
 
 
◆ ポイント解説
 
通級を利用する時に「学習の遅れ」と「周囲の子どもからのからかい」が気になる方も。その点は学校側の配慮もありますので、ぜひ相談しましょう。
 
 
お子さんが在籍している学校に通級がない場合は、通級のある学校に通う「他校通級」を利用します。他校通級を利用する時は、保護者の送迎が必要になる場合もあります。
 
 
その他の制度やしくみも、学校や自治体によって異なります。
 
 

4.通級のメリットとデメリットとは?通級を利用することで一番大切なこと

 
 

ーー通級のプログラムについての詳細を、 メリットやデメリットとあわせて教えてください。

 
 
「児童2~3人に対して先生2人。又は1対1で個別に考えられたプログラムになっています。息子に合わせてプログラムも考えていただき、大いに社会性を学べたと思います。
 
通級用の報告書ファイルがあり、通級で指導した内容や普段の学校生活の様子を記入してくれるので、子どもから聞いてない学校での様子が知れてうれしいです。
 
メリットは、
 
・通級に通うことで、学校と家でのやりとりの機会が増える
 
・担任の先生は毎年変わるが、通級の先生はあまり変わらない
 
・教室で嫌なことがあっても、通級に行けば離れられる
 
・家庭での、子どもへの対応についても相談できる
 
デメリットは、
 
・巡回指導のためか、週2回と決められているが、本当は毎日通いたい
 
・提出物がある授業にあたった場合、後が少し大変
 
というところです。」
 
 

ーー通級に通うことで、普通級でメリットになっている点はありますか?

 
 
「通級で教えられたことを、クラスに戻ってすぐに活かそうとしています。
 
例えば、通級で『人の気持ちが解ることが必要だ』と習うと、普通級で即実践している…といった感じです。」
 
 

ーー通級の先生や普通級の先生との情報共有は意識していますか? 意識しているとしたら、実際にどんなことをしていますか?

 
 
先生間との情報共有はもっとも大事だと思うので、かなり意識しています。
 
通級では、毎学期始めと終わりに面談があります。それ以外も行事などで会うと報告をしてくださいます。
 
毎回の授業で、報告書ファイルを交換しているので、お互いで対応をよく理解しています。また報告書の内容は担任とも共有しています。
 
面談時には、必ず先生と話した内容感謝の気持ちを伝えています。それを先生同士でまた伝え合っているそうです。」
 
 
 
 
◆ ポイント解説
 
A.Kさんのお話をうかがうと、学校側との情報共有を意識して積極的に行動されていると感じます。
 
 
通級を利用するときに報告用のファイルがある、という学校も多いです。情報共有のためにぜひ活用したいですね。
 
 
感謝の気持ちを伝えることも大事です。
 
 

5.年長さんのママへ伝えたい!小学校入学前に一番大切ななこと

 
 

ーーもし通級を利用するのであれば、早い時期のほうがいい、などありますか?

 
 
早ければ早いほど良いと思います。
 
教えることが早くからたくさん吸収できるし、うつや反抗などの二次障害も防げると思います。」
 
 

ーー実際に通級を利用してよかったですか? 通級に通ってからのお子さんの様子はいかがですか?

 
 
利用して本当に良かったと思っています。通級の先生方に大変感謝しています。息子が6年生になった今は学習ではなく、体を動かしたり遊びながら社会性を身につけています。
 
通級では楽しく過ごせるので、優等生スイッチが入って自信をつけられます。
 
通級は自信がつけられる場所、楽しみながら過ごせる場所だと感じます。
 
また、家での子どもの対応につまづいたとき、トラブルがあったときに、通級の先生に相談できて、一緒に対応策を考えてくださるので、安心感があります。」
 
 

ーー来年度に1年生になるお母さんに、アドバイスしたいことはありますか?

 
 
「主に3つあります。
 
① 常に子どもの状態をチェックしておく
「学校は楽しいところ」とイメージさせる
「出来ないことはダメじゃない、学べることがいいこと」と思えるようにする。
 
子どもの状態がわかると、変化にすぐ気が付けます。
 
そうすると外部から報告を受けたときにも、『やっぱりな』とか『きっとあの時だな』と繋がるので、驚かないしケアもしやすいです。
 
入学前は、学校や先生、新しい友達に対して恐怖心を持たせないこと。『学校は楽しいところ』と思ってスタートできるようにしたいですね。
 
できないことがあっても落ち込まず次に繋げるように学んでいこうね。というスタンスが大事です。不安要素を事前に予防するのももちろん大事ですが、不安要素をあげるとキリがありません。
 
6年生の今となっては、つまづいたときにその都度、一生懸命、解決しながら成長を感じるのも大切だと思っています。
 
サポートは大事ですが、あまり先回りをしすぎるのも子どもの成長を妨げるのではないかと思います。
 
子どもの成長を信じて見守る姿勢が大事ですね。」
 
 

ーーありがとうございました!

 
 
 
 
A.Kさんは、常にお子さんの状態を確認しておくことで、転校によって変化した息子さんの様子に気づき、行動されました。
 
 
適切なサポートなのか?先回りしすぎなのか?といった判断の難しさはありますが、入学前の子どもに必要なことは、学校が楽しい場所だとイメージしてもらうこと。
 
 
そのためには、日頃からの親子のコミュニケーションがスムーズにできているかがポイントです。
 
 
お子さんの入学に対する不安はあるかもしれませんが、お子さんは日々成長します。お母さんには、お子さんの成長を信じて笑顔で見守ってあげたいですね。
 
 
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執筆者:渡辺みゆき
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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