発達障害の子どものグズりが治らないのは、親のしつけのせいではありません!

発達障害の子どものグズり、親の「しつけ」のせいだと思っていませんか?実は、子どものグズりがなかなか治らないのは、コミュニケーションに問題があるんです。グズりを減らすコミュニケーションを知って、親子ともストレスなく過ごしましょうね!
 

【目次】

 
 

1.発達障害の子どものグズりは、大人の心をかき乱します

 
 
言葉とも言えない、泣き声とも言えない声。
 
 
「ん〜、あ゛〜もうー」
 
「うぅ〜おかぁさーん、あ゛〜」
 
 
 
 
怒るつもりはないのに、この声を聞くとついイライラしてしまう人も多いはず。
 
 
でも、グズりがなかなか治らないのには、コミュニケーションに理由があるんです。今日はその理由と対応を紹介します。
 
 
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2.発達障害の子どもがグズるのは、親のしつけのせい?

 
 
以前、あるお母さんから「グズりがひどい」と言う理由で相談を受けたことがありました。
 
 
でも、その子は私の前でグズったことがなかったので、その理由を本人(幼児)に聞いてみました。
 
 
そうしたら躊躇なくその子が言ったのです。
 
 
「だって、お母さんがこっちを向くから。」
 
 
はい、その通り!
 
 
叱っても叱っても治らない、子どもの困った行動が減らない理由は、この一言に集約されています。
 
 
理由を説明しますね。この超大切な法則を覚えておいてください。
 
 
=======================
 
子どもがある「行動」を 繰り返してやめないのは、 子どもに 「良いこと・嬉しい事(結果)」が起こっているからです。
 
=======================
 
 
この「行動」と「結果」の関係をよ〜く分析すればグズりはすぐに治せます。
 
 
例えば、
 
 
グズったら(行動)
自分の意図が通った(結果)
 
 
駄々をこねたら(行動)
買ってもらえた(結果)
 
 
物を投げたら(行動)
お母さんが拾って片付けた(結果)
 
 
文句を言ったら(行動)
結局相手が折れてくれた(結果)
 
 
服を濡らして遊ぶのは(行動)
めっちゃ楽しい(結果)
 
 
子どもは「ゴネ得」した経験をすぐに覚えます。
 
 
さっきのお子さんの例も、
 
 
ゴネたら(行動)
お母さんがこっちを向いてくれる(結果)
 
 
 
 
ガミガミ言っているけど、そんなの右耳から左耳にスルーするから平気。
 
 
幼児は、聴覚より視覚や触覚が敏感。
 
 
長々した説教に効果はなく、忙しいお母さんが自分を見てくれる、側に来てくれる。
 
 
大人としては、十分に罰を与えているつもりなのに、子どもにとっては「嬉しい事・ラッキーな事」が起こっているのです。
 
 
子どもにとって何よりのご褒美は、「親からの注目」です。
 
 
好ましくない行動に対して、注目欲求を満たしてあげている間は、その行動は減りません。
 
 
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3.子どものグズりを減らす方法

 
 
では、先ほどのお子さんがなぜ私の前ではグズらないか?
 
 
答えは簡単です。
 
 
私が「注目しない」から。
 
 
私の前でグズっても、注目というご褒美はもらえません。
 
 
無駄だと分かっていれば、子どももむやみに泣きわめいたりしません。
 
 
グズりを少しずつ減らしていくには、「上手に無視する」ことが重要です。
 
 
ここで言う「無視」は、放置とは違います。
 
 
言い換えれば、「見守り、見て見ぬ振り」です。
 
 
この子は、絶対にやれる!と信じて、温かく「待つ」ことです。
 
 
好ましい行動が出るのを待ち、出たらすぐに「褒める(注目する)」ことでグズりを減らします。
 
 

◆①グズりに反応したくなるのはなぜ?

 
 
子どもがグズり出したら、大人は即座に反応します。
 
 
「も〜何〜?ティッシュ?ほら、はい」
 
 
裏を返せば、この反応は優秀な親である証拠。
 
 
お母さんは、まだ子どもが言葉を喋れないとき、泣き声1つで、
 
・お腹が空いたのか
 
・オムツが濡れているのか
 
・呼んでいるのか
 
を区別して対応します。
 
 
これは、言葉の発達を促す大切な親の役目。泣いた声に周りが反応してくれることを覚えるのは、言語発達の第1段階だからです。
 
 
でも、4歳、5歳、6歳になり、言葉で要求を伝えられるようになっても、グズってお母さんを動かそうとする習慣はそろそろ終わりにしたいですね。
 
 

◆②子どもがグズったら、こうしよう!

 
 
お母さんは、子どもの意図が分かってもズりに即座に反応するのをグッとこらえてください。
 
 
「ん〜、あ゛〜もうー」
 
「うぅ〜おかぁさーん、あ゛〜」
 
ちょっと我慢して、別のことをしながら待ちます。ここで注目のご褒美をあげてはいけません。
 
 
子どもがグズりを止めて、別のことを始めたら、すかさず「上手に○○してるね」と声をかけます。
 
 
良いことをしている時に「認めるように注目」するのです。
 
 
または、グズりが一瞬やんだときに、子どもの顔を見ながら、
 
「言葉で言ってごらん?」
 
と発話を促してください。
 
 
子どもが要求を言葉で言えたら、
 
「上手に言えたね〜!そっか〜、○○してほしかったのか〜」
 
笑顔で対応してあげてください。
 
 
「言葉で言えば、お母さんは分かってくれるんだ!」と伝わります。
 
 
以後も対応は一緒。叱るより簡単ですし、効果も高いです。
 
 
言葉で適切に言えたときに注目し、わめいたり、暴れているときには、じっと待ちます。
 
 

◆③やってはいけないNG行為

 
 
「無視」の対応は、少し高度。中途半端にやろうとすると悪化することがあります。
 
 
それがコレ。
 
 
グズりを無視していると、
 
 
「え?僕のグズりが聞こえないの、お母さん?じゃあ、声のボリュームを大きくするね」
 
 
とばかりに、一度エスカレートすることがあります。
 
 
しかし、ここでいつものように反応してはいけません。
 
 
「声のボリュームを大きくしたら、お母さんが反応した」という誤った学習をさせてしまうからです。
 
 
待つと決めたら徹底的に待つ。
 
 
そして、何をすれば注目されるのか、さっと一言で伝える。
 
 
このとき、お子さんが出来ることを指示してください。
 
 
そして、子どもが良い行動をしたら、すかさず褒める。
 
 
子どもは、自分を褒めてくれる人からの指導や忠告にはきちんと耳を傾けます。
 
 
大人だって、褒めてくれる人からの話は聞きたくなりますよね!
 
 
グズりは永遠に続くものではありません。
 
 
子どもも疲れますし、集中力も長くはないので数分もすれば別のことに注意を向け始めます。
 
 
この数分だけ、何か別のことをして待っていればOKです。
 
 
 
 

4.1番良くないグズりへの対応

 
 
1番よくないのは、グズりに「反応したり、しなかったり」すること。
 
 
これはギャンブルと同じで、時々願いが叶うから、ヤメられなくしてしまう効果があります。
 
 
一生当たらない宝くじなら買いません。でも時々、数千円でも当たっちゃうから買ってしまう。
 
 
子どものグズりも一緒。ときどき願いが叶ってしまうから、子どもは、グズりをコミュニケーションの手段だと誤解して用いているだけなのです。
 
 
その思い込みを「無視」の対応で消去できます。
 
 
「言葉で言ったらお母さんが喜んだ」という成功体験を積んで、グズりの回数を少しずつ減らしていきましょう。
 
 
なお、この対応は言葉の発達が遅れてしまうことがありますから、「泣くのが仕事」の赤ちゃんや、まだ自分の意図を言葉で説明できないお子さんには使わないでくださいね!
 
 
 
 
執筆者:吉野加容子
(発達科学コミュニケーション トレーナー
学術博士、臨床発達心理士)

 

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