様々な感染症が流行り、手洗いに気をつけている方も多いと思います。ですが、自閉症の子どもの中には手洗いに抵抗があり、苦痛に感じている子どももいると思います。それは感覚過敏が原因かもしれません。そんなときの対応をご紹介します。
【目次】
1.自閉症の子どもが手洗いを嫌がる理由
2.感覚過敏は周囲に理解されにくい
3.感覚過敏を和らげる3つの対応
◆決して強制しない
◆親子のコミュニケーション
◆肯定の声かけ
1.自閉症の子どもが手洗いを嫌がる理由
大人からすれば当たり前と思える手洗いも、自閉症の子どもにはなかなか習慣化しない場合があります。
子どもに手洗いを促したときに嫌がるということはありませんか?嫌がることが続いている場合、なぜだろう?と考えてみてほしいと思います。
そこに隠れているのは特性によるものかもしれません。
自閉症の子どもが手洗いを嫌がる場合に考えられる理由はさまざまです。
・独特な認知の捉え方により「なぜ洗うのか」を理解できない
・水がすごく冷たく感じるなどの感覚過敏がある
・手洗いで怒られたネガティブな記憶があり忘れることができない
・不器用さがあり、うまくできない
などがあります。
この中の感覚過敏について次で詳しく説明したいと思います。
2.感覚過敏は周囲に理解されにくい
感覚過敏とは、「聴覚過敏」「触覚過敏」「視覚過敏」「臭覚過敏」「味覚過敏」があります。 外からの情報をそれぞれの機能で受け取り、「脳」で認識しています。
同じ情報でも、それをどのように感じるかは、その人の脳の刺激の受け取り方で異なります。
そして、進学、進級、行事など子どもにとってストレスに感じることがあるときは不安が強くなり、脳にストレスがかかり、更に感覚が過敏になってしまいます。
水に触れると、すごく冷たく感じることもあります。大人でも氷水に手を入れるのは嫌ですよね。その感覚に近い状態にあると思います。
自閉症の子どもが手洗いを嫌がる理由に感覚過敏があるかもしれません。
子どもがとても苦痛に感じているのに、周囲には手洗いを嫌がることをわがままだと捉えられてしまうこともあります。
幼児や低学年だとそれを言語化して伝えることも難しい為、更に感覚過敏について理解されにくいこともあります。
3.感覚過敏を和らげる3つの対応
自閉症の手洗いを嫌がる子どもに対して行ってほしい対応は3つです。
◆決して強制しない
不安定になっている子どもに手洗いを強制して更に脳にストレスを与えることは苦痛でしかありません。
代わりに除菌シートで拭きましょう。もし、「拭いて」と言われたら嫌がることなく拭いてあげましょう。強制されず安心してできる代わりの方法があることが大事です。
◆親子のコミュニケーション
スキンシップを取り、笑顔で話しかけ、楽しく過ごすようにしましょう。
肌は露出した脳と言われています。たくさんスキンシップを取ることで、脳に安心感を与え、不安感を軽減できます。
笑顔で話しかけ、楽しく過ごすことで、おうちを安心できる環境にし、不安を和らげ、エネルギーが貯められます。そうすると徐々に不安も和らぎます。
◆肯定の声かけ
手を洗ったときには行動し始めたらすぐに肯定します。「手を洗いに行くんだね」と伝えます。
そのあと、「ハンドソープ出せたね」「ゴシゴシできているね」「泡を流せたね」「手を拭けたね」などとこまめに肯定し、最後に「手を洗えたね」と伝えます。
これを繰り返すことで、手洗いを嫌がることが減っていくと思います。
気持ちが不安定なときには自閉症の子どもは感覚過敏が強く出ることがあります。
そんなときには子どもの気持ちに寄り添い対応することで、不安を取り除き、感覚過敏も和らげることができます。
ぜひ試してみてくださいね。
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執筆者:安室ゆう
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)