わが家には外出が苦手な発達障害・グレーゾーンの9歳の娘がいます。不登校になってからというもの、以前はよく遊びに行っていた祖父母の家に行くこともほとんどなくなりました。お正月やお盆を実家でゆっくり過ごしたいママにできる事前準備とは?
【目次】
1.大好きだった祖父母の家にも行きたくない!
2.不登校の子どもの活動量が減るのはなぜ?
3.発達障害・グレーゾーンの娘が外出を嫌がるワケ
4.嫌な記憶は小さな成功体験で上書きする!
5.苦手があっても気にしない、得意を伸ばそう!
1.大好きだった祖父母の家にも行きたくない!
発達障害・グレーゾーンの娘はもともと好奇心が強く、公園やお散歩も大好きでよく出かけていました。
ところが小学校2年生の頃から登校しぶりが始まり、3年生で完全に不登校になると、外に出ることも嫌がるようになりました。
しょっちゅう遊びに行っていた祖父母の家に行くこともほとんどなくなっていました。
こだわりの強い長女を説得して外に連れ出すのは難しく、一日中家でゲームをして過ごすことがほとんど。
家族以外の人と会うことも話すことも極端に減っていました。
また毎年お盆とお正月には、祖父母の家に家族が集まりわいわいと過ごすのですが、去年のお盆は直前まで行けるかどうかわからない状態でした。
たまには実家でゆっくり過ごしたい私は、今年こそ心配せず当日を迎えるため、1か月前から事前準備を始めました。
2.不登校の子どもの活動量が減るのはなぜ?
不登校になると一日の活動量が減ります。家にこもってゲームに没頭する子どもの姿に不安を感じることもあるのではないでしょうか?
実際わが家の娘もそうでした。
朝起きる時間が遅くなり、朝ごはんはひとりで食べ、一日パジャマのままで過ごすことも。
学校に行かなくても、せめて家では活動的に過ごしてくれたらと思ってしまいますよね。
不登校の子どもの心はエネルギーがとても不足している状態。
家の外に出る気力が湧かなかったり、たとえ外出ができても周りの人から「学校は?」と言われる不安を抱えています。
また知らない場所、新しい場所では人一倍エネルギーが必要なため、行くこと自体が不安だったり、行くだけでとても疲れてしまいます。
そして発達障害の子どもは、一度嫌な経験をしてしまうとネガティブな記憶をため込んでしまう特性があり、楽しくなかった記憶がますます活動量を減らしてしまうという悪循環におちいることも。
私たちが考える以上に、発達障害の子どもたちが行動するためにはパワーが必要なのです。
3.発達障害・グレーゾーンの娘が外出を嫌がるワケ
昔はよく遊びに行っていた祖父母の家を嫌がるのにはきっと理由があるはず。
そう考え、娘との会話の中から何が嫌なのか探ってみました。
寒い・虫がいる・面白くないというイメージのほかに、祖母に学校の話題を出されること、ゲームばかりしていると指摘されたことなど、ネガティブな記憶がたくさん‼
また感覚の過敏さが原因となっていることもあります。
夏に祖父母の家に遊びに行ったときに、1時間ほどで「帰りたい!」とグズグズ言いだしたことがありました。
その時は、またわがままを言いだした…と思ったのですが、実は汗で体がかゆくなり、不快感をうまく言葉にできず「今すぐ帰る!」となってしまったのです。
その後家に帰ってシャワーを浴びると、「また行きたい!」と、もう一度出かけることに。
感覚過敏の娘は汗のベタベタ感とかゆさを人一倍不快に感じ、エアコンの調整だけでは対応しきれなかったようです。
体温調節のしやすい服装で出かけたり、タオルでこまめに拭いたり、子どもが気持ちよく過ごせる対処法を知っていれば防げたかもしれない出来事でした。
4.嫌な記憶は、プチリハーサルでぬりかえておく
ネガティブ記憶をため込んだままお正月当日を迎えることはできないと、リハーサルを決行することにしました。
娘の調子のいい日を選んで祖父母の家にちょっとだけ遊びに行ったのです。
人より暑がりな娘は「寒くない!」と薄着で出かけようとしたので、そこは否定せず「OK!寒かった時のために洋服持ってくね」と軽く応じます。
そして祖父母の家では、最近娘が頑張っていることを話し、娘のできていないことへの注目をそらすようにしました。
誰からも否定されず、褒められた娘は、祖父母の家の「柱のぼり」に挑戦し始めました。
大黒柱をどこまでよじ登れるか、いつもは従兄たちが登っている姿を興味がなさそうに見ているだけでしたが、今回は自分から挑戦し始めました。
チャレンジできたことがとてもうれしかったようで、妹とたっぷり遊び、大嫌いなお風呂まで入って帰ることができました。
苦手だった祖父母の家の記憶を「楽しかった!」という成功体験で終わらせることができたのです。
そして肝心のお正月は、親子で楽しむことができました!
5.苦手があっても大丈夫
発達障害・グレーゾーンの子どもは苦手をたくさん抱えています。
大人になって困らないように、何度も注意して直してあげようと思うのが親心。
ですがそれではうまくいかないことが多いのではないでしょうか。
脳は苦手なこと、わからないことをやらせても育たず、楽しいこと、理解できることをしているときに発達が進みます。
「苦手なことを克服させる」のではなく、子どもが「得意の中でぶつかった苦手を克服しよう」としたときに、大きく成長するということをぜひ知っておいてくださいね!
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執筆者:本田ひかり
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)