自閉症の同じ言葉を繰り返す独り言がうるさい!周囲への配慮が身につく対応法

 

自閉症の子が同じ言葉を繰り返す、または独り言が止まらないことへの対応に悩んでいませんか?就学や将来のことを考えると、周りの迷惑になるようなものは早めに対応したいですね。今回は自閉症児のうるさい独り言を解決する簡単トレーニングをご紹介します!
 

【目次】

1.自閉症児の同じ言葉を繰り返す独り言がうるさい!対応に悩む
2.自閉症児が同じ言葉を繰り返す・独り言を言う理由
3.周りを困らせる独り言を解決する!簡単トレーニング
①場所や声のボリュームを置き換える
②別の行動に置き換える
③外言を内言に置き換える

 
 

1.自閉症児の同じ言葉を繰り返す独り言がうるさい!対応に悩む

 
 
自閉症(ASD)の子は、独り言が多いと言われています。
 
 
 
人に「うるさい!」と思われてしまうような独り言は、自分で適切な形に「置き換え」られるようになると解決することができますよ。
 
 
わが家の6歳年長の息子も自閉傾向があります。
 
 
人との会話は上手ではないのですが、興味のあることについてはたくさんの知識があり、それに関連することを独り言としてよく口にしています。
 
独り言自体は誰でも言うことがありますし、悪いことではありません。
 
 
しかし、場所や場面、声の大きさ等が適切でないと人に迷惑をかけたり不快感を与えたりしてしまいます。
 
 
息子の独り言の内容を聞いていると、2つのパターンがあるようです。
 
 
1つは、図鑑に書いてある説明やYou Tubeで得た知識を発しているパターン。
 
 
息子は車が大好きで、はたらくくるまの種類、メーカー名、車種、特徴など図鑑やYouTubeで見たことを丸暗記しています。
 
 
「○○は△△で、××という特徴があって…」とか、YouTubeの内容をそのまま喋り続けます。
 
 
2つ目は、気に入っているセリフや音を繰り返し言い続けるパターン。
 
 
はたらくくるまの中でも特に救急車が好きなようで、救急車のサイレン音や走行時のアナウンス音をひたすら繰り返します。
 
 
パターン1は内容も色々な種類があり、「そうなんだ!よく知ってるね!」と感心したり会話を広げることもできるのですが、問題はパターン2です。
 
 
「ピーポーピーポー。救急車が通ります、ご注意ください、ピーポーピーポーピーポー…」
 
 
 
 
これを1日に所かまわず5分、10分と近くで続けられると、正直気が狂いそうになります…。
 
 
手持無沙汰になると始まるので頻度も多く、また始まった!と私や家族もしょっちゅうイライラしていました。
 
 
「うるさい!やめて!」と言っても全く聞き入れてくれません。
 
 
自閉症の特性によるものだろうからなるべく穏やかに見守った方が良いとは思いつつ、同じ言葉を繰り返すこの独り言は気分が良いとは言えません。
 
 
保育園でもよくやっていると先生から聞いていたので、このまま何のコントロールもできずに就学したらまずいなと思いました。
 
 
授業中にピーポーが始まったら周りの子は集中できません。
 
 
また将来、乗り物の中など公共の場で独り言が抑えられなくなってしまったら困った人と思われてしまいます。
 
 
子どもには、周りの人のことを考えて行動できる人であってほしいですよね。
 
 
私はこの焦りから、少しずつトレーニングを試して長男の独り言を軽減していきました。
 
 
この記事では、自閉症児の独り言が止まらない理由と、適切な形に”置き換え”することで独り言をコントロールできるようになる対応法をお伝えしていきます。
 
 
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2. 自閉症児が同じ言葉を繰り返す・独り言を言う理由

 
 
そもそも自閉症の傾向がある子どもは、なぜ同じ言葉を繰り返したり独り言を言ったりするのでしょうか。
 
 
その意味や効果は大きく2つあります。
 
 

同じ言葉を繰り返すことで安心感を得ている

 
 
自閉症の主な特徴の1つに「常同行動(同じ行動を繰り返す)」というものがあります。
 
 
見通しが立たないことが苦手なので、本人にとって心地よい感覚を得られる行動を繰り返すことによって安心するのです。
 
 
例えば、いつも同じ道を通りたがる、何かをするのに毎回同じ順番に固執するというようなことです。
 
 
言葉においてはその言葉の響きが心地良い、本人にとって言いやすい等の理由で気に入ったものを繰り返し言います。
 
 
同じ言葉を繰り返しているときは、外部の刺激から解放されて自己モードに入っている時間なのですね。
 
 

頭の中に浮かんだことをそのまま外に出している

 
 
言わなくても良いことも含め、思ったことをなんでも口にしてしまうということです。
 
 
人はある程度成長すると、自分の中で思い浮かんだことの中から
 
 
・声に出して外に発すること
 
・心の中で処理すること
 
の2つを区別するようになります。
 
 
記憶の中から急に思い出したことや、考えごとの内容は自分の頭、もしくは心の中で処理しますよね。
 
 
ところが、自閉症で言葉の発達がゆっくりな子はこれをすべて声に出してしまいます。
 
 
声に出して外に発する言葉を「外言」
 
心の中で処理する言葉を「内言」
 
 
と言います。
 
 
 
 
何でも声に出しているのは内言の発達が未熟ということになります。
 
 
内言は、目安として小学校2年生くらいまでに身につけたい力です。
 
 
内言が未熟のままだと、授業で問題に取り組むとき、問題文や計算の過程などをすべて口にしてしまい他の子の邪魔になってしまうためです。
 
 
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3. 周りを困らせる独り言を解決する!簡単トレーニング

 
 
冒頭でもお伝えした通り、独り言自体は悪いことではありません。無理にやめさせようとすると逆にストレスを溜めてしまいます。
 
 
禁止ではなく、「置き換え」ることで周りに配慮できる力を身につけていきましょう。
 
 
簡単なトレーニング方法として3つの置き換えをご紹介します。
 
 

◆①場所や声のボリュームを置き換える

 
 
所構わず大きな声で言ってしまう場合は、場所を変える、もしくは小さな声に置き変えて言えるようにします。
 
 
子どもとルールを決めて意識づけをしていきます。
 
 
・独り言を言っても良い場所を決めておく
 
 
・子どもにわかりやすい表現で場所・場面ごと適切な声の大きさを伝える
(保育園や療育施設で見かける「声のものさし」という適切な声の大きさをイラストで視覚化したツールを使うと効果的です。)
 
 
例:電車の中はアリさんの声ね
 
  広い公園はライオンでもいいよ
 
 
声のボリュームは身につくまで時間がかかることもあるかもしれません。
 
 
わが家も苦戦しましたが、上手くできたときに褒めることを意識して根気よく続けました。
 
 

◆②別の行動に置き換える

 
 
独り言時間の長さや頻度が気になる場合は、代わりに楽しめる別の行動誘ってみます。
 
 
独り言を言う時間を他の行動に置き換えることで、独り言時間を減らす狙いです。
 
 
お子さんの好きなことから探してみてください。
 
 
・声を使った別の行動
 
 例:お母さんも一緒に歌える歌にしてもらう
 
   (文字が読めれば)絵本を音読してもらう
 
・手や体を使う行動
 
 例:おえかき、折り紙、ダンス等
 
 

◆③外言を内言に置き換える

 
 
心の中で言う練習をします。
 
 
はじめから「心の中で言ってね」というのは難しいので、子どもが落ち着いているときに一緒に数を数えることから始めます。
 
 
「メンタルカウント」といいます。
 
 
「○○くんは数を数えのがとっても上手だから、今度はお口を使わなくてもできるかやってみようか!」などと言って誘ってみましょう。
 
 
◆お勧めのタイミング
 
 
・入浴中、湯船でリラックスしているとき
 
 ・夜寝るときお布団で
 
 
◆手順
 
 
・手をつないで目をつぶり、お母さんが声に出して20数える
 
 
・子どもは目をつぶったまま、お母さんの声に合わせて心の中で20数える
 
 
就学を見据えて6歳頃から始めるのがお勧めです。
 
 
わが家は夜寝る前の習慣として続けています。
 
 
メンタルカウントができるようになってきたら、気になる独り言を心の中で言えるか試してみましょう。
 
 
息子には20数えるのができるようになった後、「救急車のサイレン音は聞いている人を心配な気持ちにさせてしまうから、心の中で言って欲しいな」と理由も含めて伝えました。
 
 
すると、「わかった!ーポーピーポーは心の中でだね?」と納得してくれたようでした。
 
 
 
 
今では、家の中で息子の声によるけたたましい救急車のサイレン音が聞こえることはなくなりました。
 
 
保育園では折り紙にハマってから、かなり頻度が減っているようです。
 
 
疲れているとき等につい言ってしまうこともありますが、声の大きさはしっかり配慮してくれます。
 
 
自閉症児の同じ言葉を繰り返す独り言、お母さんがうるさい‼と感じてしまうようなら外でも周りの人が気にしているかもしれません。
 
 
よかったらぜひ置き換えトレーニングを試してみてくださいね。
 
 
 
 
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執筆者:諸住乃莉子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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