欲しいものは今すぐ欲しい!我慢ができない発達障害の子どもに困っていませんか?子どもが「欲しい」を我慢できない理由は、衝動性が強いという脳の特性が関係しています。衝動性の強い子どもへのダメ出しをなくし、正しい金銭感覚を身に付ける親の対応方法をご紹介します。
【目次】
1.我慢ができない発達障害子どもの要求がどんどんエスカレート!
2.衝動性が強い子どもが我慢できない理由
①衝動性
②気持ちをコントロールすることが苦手
3.「欲しい」がエスカレートしていった我が家の息子
4.発達障害の子の金銭感覚の育て方
① ダメ出しせず「共感」
② ホワイトボードを活用したお金の管理
1.我慢ができない発達障害子どもの要求がどんどんエスカレート!
お正月は何かと財布のヒモもゆるむ時期ですよね。
お正月だからと子どもにおもちゃやゲームを買ってとしつこく言われることはないですか?
どんどんエスカレートする要求は、子どもの行動にダメ出しせず日常生活から金銭感覚を育てる関わりをすることで落ち着きます。
発達障害の子どもの欲求がエスカレートする理由は、金銭感覚の無さによるものです。
最初はお菓子ひとつで満足していた子どももひとつでは満足できなくなり、だんだん「欲しい」という衝動性が抑えきれなくなります。
親はこれに対して小さなお菓子が2つ、3つくらいなら「まぁいいか」と買い与えてしまいがちです。
しかし子どもが成長するにつれて子どもの欲しいと思うものは、お菓子からおもちゃに変わりゲームやソフトといった高額なものに変わっていきます。
親にとっては、お菓子1つとゲームソフト1つでは、同じ「1つ」でもお金の価値は全く違います。
しかし、子どもにとってはお金の価値は関係ありません。
だから子どもは今までと同じように「欲しい」と思ったものを2つ、3つ要求するようになり、買ってもらえないと癇癪を起こす。
結局、親が折れて子どもの要求を受けいれてしまうという衝動性が抑えられない負のループを引き起こしてしまいます。
私には発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向の中学3年生の息子がいます。
小学生の頃は、誕生日やクリスマス、お正月と特別な時に少し高額なレゴやラジコンをプレゼントとして渡していました。
当時はそれで満足していたものの小学6年生頃になるとゲームにはまりだし、課金がしたいと言い出しました。
私はもちろん課金は大反対。
でも今じゃないと課金したいものがなくなるという息子は、どうにも手をつけられない状態にまで暴れまくりました。
その状態を見た私は少しならと課金を許してしまいました。
でもこのダメ出しと少しの課金を許したことが、さらに息子の要求をエスカレートさせてしまう原因になってしまいました。
2.衝動性が強い子どもが我慢できない理由
発達障害の子どもが我慢できない理由は、金銭感覚の未熟さがあるからです。
特に発達障害の子どもは、具体的なモノは理解しやすく、お金の価値という目に見えないものを理解しづらいという傾向があります。
そのため、欲しいものが高いか安いかという価値は考えずに、ただ目の前の報酬が欲しいという衝動性が抑えられないという結果になります。
また親からのダメ出しで「欲しい」ものが手に入らないことでイライラが募り、その感情を爆発させてしまいます。
では、この衝動性と感情のコントロールについてもう少し詳しくお伝えしますね。
◆①衝動性
発達障害の子どもの衝動性の強さや欲しいものが我慢できない理由は、脳の特性によるものです。
例えば、目の前に欲しいものがあっても、「今買ったほうがいいかな?今少し我慢すればあとでもっと良いものが買えるかも?」と考えることで、衝動的に買いたいという欲求は抑えられます。
つまり、欲しいと言う前に一旦考えるというステップを挟んで脳の思考のエリアを使って欲求をコントロールしています。
しかし発達障害のこどもは、思考エリアの発達が未熟なため買うかどうしようかと悩む間もなくすぐに「欲しい!」となってしまいます。
また、発達障害の子どもは目の前の報酬に強く反応する傾向があります。
そのため、将来の大きな報酬よりも目の前の小さな報酬に引き寄せられてしまうんです。
発達障害の子どもは、少し先のことを考えて判断するということが苦手なため「欲しいものが我慢できない」という状況に陥りやすいんです。
◆②気持ちをコントロールすることが苦手
発達障害の子どもは、自分の気持ちを表したり感情をコントロールすることが苦手です。
これは脳の中の思考のエリアと感情のエリアがお互いに影響を及ぼしているという特徴があるためです。
我慢できない発達障害の子が欲しいものが手に入らず、親に叱られたり買ってもらえないことで子どもはイライラして感情を爆発させてしまいます。
このような状態は、脳の感情エリアが暴走してしまうため「もう少し我慢してあとで買うほうがいいものが手に入るかも」と考えることができません。
つまり感情が高ぶっていると、脳の感情エリアも暴走している状況になってしまうのです。
このように発達障害の子どもは、脳の特性により衝動性の強さや感情をコントロールすることの苦手さから「欲しい」ものが我慢できないという状況に陥ってしまいます。
3.「欲しい」がエスカレートしていった我が家の息子
息子の場合も、少しだけ我慢すればもう少しいいものが手に入るよと説明しても、「目の前のものが欲しい!」という気持ちが抑えきれず、私の言葉は息子の頭には全く届いていない様子でした。
まさしく思考が停止している状態でした。
息子はどうにも「欲しい」という欲求がおさまらずしつこく要求してきましたが、お金は無限じゃない。
遊ぶことだけにお金が使えるわけではないことを何度も説明しましたが全く意味がなくどんな手段を使っても手に入れようとする息子の衝動性は強くなる一方でした。
そんな時に息子からさらに「課金がしたい」の言葉。
私は息子の終わりがない課金に限界を感じ、少しだけならと許してきた課金も一切禁止という強行手段にでました。
しかし息子にとっては、今まで少しでも課金できていたのが一切禁止となりイライラが爆発。
そのうえ、理由も聞かずにすべてにダメ出しをしたことで息子の「欲しい」という欲求がさらにエスカレートしてしまいました。
今までは買う前に私に相談をしていましたが、一切相談することなく無断で毎日のように課金をしていくという行動がどんどんエスカレートしていくようになりました。
私のこの強行な対応が息子の「欲しい」という欲求をエスカレートさせてしまうことになりました。
では、どうすれば発達障害の子どもの金銭感覚を育てることができるのでしょうか?
4.発達障害の子の金銭感覚の育て方
我慢ができない発達障害の子どもの金銭感覚を育てる方法は、どんな事にもダメ出しをせずに共感し、お金の流れを目で見て把握できるようにホワイトボードを活用してお金の管理をすることです。
我が家も息子は「欲しい」欲求がエスカレートしてきたことをきっかけに、お小遣い制を導入し金銭感覚を育てていきました。
それでは、その方法について詳しくお伝えしますね。
◆①ダメ出しせず「共感」
発達障害の子どもの金銭感覚を育てるには、親がダメ出しせず共感することが大切です。
その理由は、ダメ出しをすることで子どもは失敗を恐れ、失敗から学ぼうとする意欲が失われてしまうからです。
子どもの行動に「共感」することで、自分のやったことはダメじゃなかったと自信が生まれ失敗から学ぼうとする意欲が生まれます。
また、共感してもらうことで子どもは「自分を受け入れてもらえた」と認識し、高ぶっていた感情も落ち着かせることができます。
つまり「共感」することで、暴れていた感情のエリアの脳を落ち着かせることができます。
◆②ホワイトボードを活用したお金の管理
発達障害の子どもは、目で見た情報を優先的に処理するという特徴があります。
この「目で見た情報を優先的に処理する」という特徴を生かして、我が家で実践したホワイトボードを活用したお金の管理方法をご紹介します。
我が家で実践した方法、ホワイトボードを活用してお小遣いの流れを目で見てわかるようにする方法です。
具体的には、ホワイトボードの真ん中に線を入れ左右2つのエリアにわけます。
金額の書いたマグネットを準備し、お手伝いをしたらホワイトボードの左の枠にマグネットを入れます。
これがお金の貯まった金額です。
そして使ったら左の枠から右の枠へ移動するようにしました。
すると左の枠の貯めたお金から、右の枠の使ったお金にマグネットが移動するので、一目で左の枠に残っているのが今使えるお金という風に判断することができます。
視覚的にもパッとみてわかりやすい工夫をすることで、先の見通しを持ちにくい発達障害の子どもにも無理なくお金を管理することができるようになります。
一時はどうにも手がつけられないほどに荒れていた息子ですが、「欲しい!」となってもホワイトボードのお小遣いの残高をみる習慣がつきました。
また残高が足りない時は「まぁ、まだこれはいいか」と自分の中で折り合いをつけて即買いをすることはなくなりました。
また、今すぐには買えないけど欲しいものがあるから買うために「お手伝いを頑張ってする!」と先を見通して計画的に行動することができるようになりました。
つまり衝動性が強い子どもも思考のエリアを使う工夫をすることで、先を見通した行動をとりその欲求を抑えることができるようになります。
我慢することができない発達障害の子どもでも、親がその特性を理解しその特性にあった対応をとることで、我慢する力が身に付きます。
子どもを頭から否定することなく、心の声にしっかり耳を傾け子どもと一緒に作戦会議をすることでしっかり金銭感覚を身に付けることができるようになりますよ。
是非お子さんにあった方法で正しい金銭感覚を身に付けさせてあげてくださいね。
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執筆者:平野可奈子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)