欲しいものを我慢できない子がゲーム課金トラブルを起こさないか不安ではありませんか? 実は課金は子どもが悪いわけではなく、“考える力”が育っていないだけ。この記事では、欲求をコントロールし課金を防ぐための親の関わり方をご紹介します。
1.欲しいものが我慢できない!子どもが課金に走る本当のワケ
2.ゲーム課金トラブルを起こしやすい子の特徴とその理由
3.欲しいをコントロールし、”自分で考える力”を育てる親の関わり方
① ダメ出しせず「共感」
② ホワイトボードを活用したお金の管理
1.欲しいものが我慢できない!子どもが課金に走る本当のワケ
ゲームで遊ぶ子どもは、ゲームで「今すぐこのキャラ買いたい!」「我慢できない!」と“欲しい衝動”が一気に爆発する場面がありますよね。
しかし、親としては「また課金?!」「この間課金したばっかりなのに…」と困ってしまいますよね。
実は、この“我慢できない”のは しつけ不足でも、親の甘さでもありません。
家庭での関わりを少し変えれば「自分で考えて行動できる力」を育てることができます。
我が家の息子は、ゲームが大好き。
「欲しいと思ったら止まらない」という状態になりやすく、私も何度も頭を抱えてきました。
「少し待てばもっと良いものが買えるよ」
「来週なら買えるかもよ」
と伝えても、息子の耳には届かない様子。
“欲しい”が暴走すると、目の前のこと以外が見えなくなり、 思考がストップしてしまうのです。
一時的に「ダメ!」と強く言えば収まることもありましたが、それは本当に一瞬のこと。
後になって爆発したように暴れたり、こっそり課金してしまったりと、さらに深刻な課金トラブルにつながったこともあります。
「我慢できないのは、しつけが足りないせい?」
「もっと厳しく言えばいいのかな…?」
しかし、そうではありませんでした。
息子が“我慢できない”のには、ちゃんとした理由があったのです。
では、どうすれば子どもが「欲しい!」という気持ちを自分でコントロールできるようになるの?
親はどう関わり、どんな言葉をかければ、自分で考えてお金を使えるようになるの?
このあとの章では、わが家で実際にあった出来事と、効果のあった関わり方をご紹介していきます。
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2.ゲーム課金トラブルを起こしやすい子の特徴とその理由
わが家の息子が「欲しい!」という衝動に毎回流される姿を見て、私は当初こう思っていました。
「わがままなんじゃないの?」
「しつけが甘かったのかな?」と。
だけど実は、それは本人の“性格”や“育て方”のせいではなかったのです。
息子は診断はついていないものの発達障害・注意欠陥多動症(ADHD)の傾向がありました。
課金トラブルを起こしやすい子の特徴として
・新しいものがすぐ欲しくなる
・衝動的に行動しやすい
・少し待つことが苦手
があります。
特にADHD傾向の子どもは、目の前の強い刺激や感情に、敏感に反応しがちです。
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そういった誘惑に直面すると、その瞬間の「欲しい!」という感情が脳の中を占領してしまうのです。
脳科学的にも、ADHDの子は「前頭前野」と呼ばれる自分をコントロールする部分の働きが弱いことがわかっています。
そのため、欲しいという欲求を抑えきれず親に隠れて課金する方法を探し出すのです。
「後でどうなるか」を考える前に、反射的に動いてしまうのです。
さらに、発達障害の子は「先のことをイメージする」のが苦手な傾向があります。
「今買わないで来週まで待とう」
「今は貯めておいて、あとで好きなものを買おう」
といった、将来を見通す力が未熟なため、我慢する理由がピンとこないのです。
これらは、本人の努力不足ではなく、脳の特性によるもの。
つまり、発達障害の子が「欲しいものが我慢できない」のは、根っこに“脳の特性”があるためです。
ここに気づけず、頭ごなしに叱ったり、すべてを禁止してしまうと、「どうせ自分はダメなんだ」と自己否定を強め、ますます衝動的な行動が増えるという悪循環に陥ります。
大切なのは、「なぜ我慢できないのか?」という視点を持つことです。
次の章では、実際にわが家で効果があった「自分で考えてお金を使う力を育てるための関わり方」についてお伝えします。
3.欲しいをコントロールし、”自分で考える力”を育てる親の関わり方
わが家では、「どうすれば息子が自分で判断し、課金を自分でコントロールできるようになるか?」を考え、次の2つの工夫を取り入れました。
◆①ダメ出しせず「共感」する
発達障害の子どもの金課金トラブルを防ぐには、親がダメ出しせず共感することが大切です。
「また課金したの!?」「ダメでしょ!」と叱っていた頃は、息子も反発心ばかり強くなり、話がまったく通じませんでした。
しかし、まずは気持ちを受け止めてみたんです。
「そうか、それ欲しいよね」
「ゲームって楽しいし、つい課金したくなるよね」
ただそれだけで、息子は少し落ち着きを取り戻し、こちらの話にも耳を傾けてくれるようになりました。
「共感」には、感情をつかさどる脳を落ち着かせる効果があります。
共感されることで、「失敗しても大丈夫」「次はこうしてみよう」と前向きな思考が育ちます。
まずは否定せず、「気持ちはわかるよ」と声をかけてみてください。
そこから子どもの思考スイッチが入りはじめます。
◆②ホワイトボードを活用したお金の管理
発達障害の子は、「言葉」より「視覚」の情報を優先して理解する特徴があります。
その特性を活かし、わが家ではホワイトボードを使ってお小遣いと課金の管理を”見えやすく”しました。
やり方はとてもシンプルです。
ボードを中央で線を引き、左側に「貯めたお金」、右側に「使ったお金」と分けます。
金額を書いたマグネットを用意し、お手伝いで得たお小遣いは左へ、課金した分は右へ移動。
これだけで「今いくらあるか」がひと目でわかります。
今では息子も「これはまだ我慢しよう」「お手伝い頑張ってためよう」と、自分で考え、行動するようになりました。
感情で突っ走るのではなく、「考えて判断する力」が少しずつ育ってきています。
最初は「どうせ無理」と思っていた私でも、工夫を重ねることで、息子と一緒に変わることができました。
叱るより、共感してみる。
言葉より、目で見える方法を使ってみる。
その小さな一歩が、やがて大きな成長につながります。
まずは簡単なことから始めてみれば、きっと変化があるはずです。
今日からお子さんと一緒に、「お金を考える力」を育てていきませんか?
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欲しいものが我慢できない子についてよくある質問(FAQ)
Q1:共感した直後にまた「欲しい!」と言い出したら、いつまで共感を続ければいいですか?
A1:落ち着くまで共感しましょう。共感は、子どもが話を聞く体勢に入るための「最初の合図」です。親の顔を見る、泣き叫ぶのが落ち着くなどのサインがあるまで共感していきましょう。
詳しくは 中学生の子へのママの共感対応はコチラ を参照。
Q2:ホワイトボードでのお金管理は、まだ小さい低学年でも効果がありますか?診断がない子でも大丈夫ですか?
A2:はい、年齢・診断問わず有効です。衝動的になりやすい子には特に効果があります。 マグネットやシールを使って工夫することで年齢を問わず始められます。小さい子でも「見て」理解することで”考える力”が育ちます。
年末に向けてお年玉でお金の使い方を身につける方法はこちらにまとまっています。
Q3:子どもが隠れて課金したのを知って、どうしてもカッとなって怒ってしまいます。親が冷静になるための方法は?
A3:まず「5秒ルール」を試して。 怒ってしまうのは自然なことです。まず、叱る前に親自身が時間を作りましょう。
①「5秒深呼吸する」
②「ちょっと落ち着くね」と伝え、10分間だけその場を離れる
③戻ったら、感情ではなく事実と気持ちだけを伝えるようにしましょう(「「なぜやったの?」→「ママは〇〇なところが心配だよ」)。
ママの感情をコントロールする方法は “ママのイライラ育児をラクにする脳の整え方 をどうぞ。
執筆者:平野可奈子
(発達科学コミュニケーションアンバサダー)