ADHD嫌なことから逃げる子が動く！“褒めまくり”のススメ？

ADHDの子が嫌なことから逃げるのは甘えじゃない！実は「切り替え力」が育っていないだけ。脳の特性を知り、行動を引き出す関わり方で「やってみよう」が生まれます。切り替える力を育てる親の対応をお伝えします。

【目次】

１．ADHDの子どもが嫌なことから逃げるのは“甘え”なの？
２．嫌なことに取り組めない理由
 ①苦手なことを脳が嫌がる
 ②ドーパミン（やる気ホルモン）をうまく調整できない
 ③ネガティブな記憶が残りやすい
 ３．切り替える力を育てる！親の関わり方

１．ADHDの子どもが嫌なことから逃げるのは“甘え”なの？

「どうしてうちの子は、やらなきゃいけないことになると動けなくなるの？」そんな風に感じたことはありませんか？

実はコレ、脳の仕組みを理解して親がしっかりサポートすることで、自分から前向きに取り組むことができるようになります。

わが家の息子は、ゲームやYouTubeなど“好きなこと”には何時間でも集中できます。

でも、宿題や片付けのような“やらなければならないこと”になると、５分ももちません。

嫌いな教科の授業ではイスに座っていられず、ウロウロ…。

家でも「そろそろ宿題やったら？」と声をかけても、「あとでやる」と言ってそのまま、という毎日です。

「やる気がないの？」「能力はあるのに、どうして…？」とモヤモヤした気持ちになることもしょっちゅう。

でも、この「取りかかれない」の裏には、ただの怠けや甘えではなく、子どもの脳の特性や発達段階が関係していると知ってから、見え方が大きく変わりました。

この記事では、「嫌なことに取り組めない子ども」の気持ちや脳の仕組みをわかりやすく説明しながら、親ができる具体的な関わり方をご紹介します。

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２．嫌なことに取り組めない理由

嫌なことに取りかかれない子どもは、脳の発達や注意欠陥多動性障害（ADHD）の特性が深く関係しています。

脳のスイッチが入りにくく、ネガティブな記憶が強く残る特性があるため、苦手なことに向き合うのがとても難しいのです。

もう少し詳しく説明していきますね。

◆①苦手なことを脳が嫌がる

「苦手なこと」を嫌がる子どもの脳はまだ発達段階にあり、「我慢する」「集中する」「切り替える」といった前頭前野の働きが未熟です。

大人なら「今は我慢してやろう」と思える場面でも、子どもにとっては苦痛でしかありません。

とくにADHD傾向がある場合、この脳の働きがさらに弱いため、「やらないといけない」と頭ではわかっていても、身体が動かないのです。

◆②ドーパミン（やる気ホルモン）をうまく調整できない

ADHDの子どもは、脳内のドーパミン（嬉しい、楽しいを引き出すホルモン）が少なかったり、うまく分泌されなかったりする傾向があります。

このため、「おもしろそう！やってみたい！」という気持ちが起きにくく、特に苦手なことに対しては“やる気スイッチ”が入りにくくなります。

◆③ネガティブな記憶が残りやすい

過去に「怒られた」「うまくできなかった」という体験があると、ADHDの子はその記憶が強く残りやすい傾向があります。

そのため、「どうせまた怒られる」「やってもできない」と感じやすくなります。

その結果、取り組む前から「できない」と決めつけてしまい、チャレンジできなくなるのです。

親がこのような特性を理解しないまま対応していると、「やる気がない」「甘えてる」と誤解され、子どもの自信を奪ってしまうことにもなりかねません。

脳は「行動することで発達する」ということを理解し、できないままにせず、どう関わり脳を成長させるかという視点を持つことが大切です。

そのためには、無理にやらせるのではなく、「行動を引き出す関わり方」にシフトすることが大切です。

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３．切り替える力を育てる！親の関わり方

子どもが苦手なことにも取り組めるようになるには、親が子どもの行動を引き出す関わり方をすることが大切です。

そのカギになるのは、「ご褒美」と「肯定のコミュニケーション」のセットです。

苦手なことに取り組む前に、「これが終わったらYou Tube見れるよ」と先に楽しみを伝えることでやる気スイッチをオンにしやすくします。

子どもの脳に「行動のあとにご褒美がある」という期待が生まれ、これがやる気を引き出す第一歩になります。

やる気スイッチがオンになったら、肯定の声かけで成功体験に結びつけていきます。

ここで大切なのは、やり終えてから褒めようと思うと褒め逃してしまうことになるので、やり始めたら褒める。

途中で褒める。

最後にも褒める。

ほんの少しでも行動したことに対して褒めれば、１つの行動でたくさんの成功体験を積めることになります。

こんな肯定的な声かけをたくさんすることで「自分はできた」という実感が残ります。

これが小さな成功体験となり、自信へとつながっていきます。

このご褒美と肯定のコミュニケーションが、子どもの「またやってみよう」という意欲を育ててくれます。

親のサポート次第で、子どもは“やらない子”から“やってみようとする子”へと、少しずつ変わっていけますよ。

落ち着きがない子への対応方法は、こちらの記事をご覧ください。

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執筆者：山口あけみ
（発達科学コミュニケーショントレーナー）