ASD・不安が強い不登校の子が「学校行ってみようかな」と言い始めたら、ママは再登校を期待してしまいますよね。ですが焦りは禁物です。回復から行動に移せるまでの必要な関わり方をわかりやすくお伝えします。
【目次】
1.「学校行ってみようかな」は回復のサイン?
不登校でお家にいる子がエネルギーがたまってくると
「ひま〜」
「〇〇に遊びにいきたい」
そして…「学校行ってみようかな」と言い始めます。
そんな言葉を聞くと、親としては嬉しくなって期待をするのですが、実際に行動に移せるまでにはあと一歩という時期です。
不登校には、大きく4つの段階があります。
① 混乱期(心も体もエネルギー不足)
② 安定期(休息で落ち着いてくる)
③ 転換期(小さな意欲が出始める)
④ 回復期(行動につながる時期)
「行ってみようかな」は、③転換期のサインです。
実際に行動に移すようになるのが④の回復期です。

ここで大事なのは、転換期の変化は“意志が芽生えてきた合図”であって、まだ行動と結びつくとは限らないということ。
「行きたくなる日」
「やっぱり怖くなる日」
③転換期から④回復期に移る時は、今日まで③で、明日から④というようにきっちり分けられるものではありません。
少し進んで、また止まって…をくり返しながら、子どもは確実に前に進んでいます。
その時期をスムーズにステップアップするためには、丁寧なコミュニケーションがとっても大切です。
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2.回復期に必要な親の関わり方とは?
この時期に必要なことは、行動に移せたかどうかよりも、挑戦しようとした気持ちに目を向けることです。
「行こうかな」という言葉に、期待してしまうママの気持ちはとってもよくわかります!
ですが、「行こう」という気持ちはあるけれど、実際にその場になったら怖くなってしまったということもあります。
その時に、
「どうして行かなかったの?」
「行くって言ったよね」
と、行動に目を向けてしまうと失敗体験になり、自信をなくしてしまいます。

できなかったことで1番悔しい思いをしているのは子ども本人です。
だからこそ“行けなかったこと”を責めるのではなく、挑戦しようとした事実を記憶に残してあげる関わりが必要なのです。
3.不登校の娘の“挑戦の芽”を育てたわが家のストーリー
では実際に、転換期から回復期へと進んだ子はどんな道のりを歩んでいくのでしょうか。
この章では、私の娘のエピソードを紹介します!
娘は、「同級生には会いたくない」「見られたくない」と言い、フリースクールで過ごしていました。
そんな娘に、小学校から「卒業アルバム撮影に来ない?」とお誘いがありました。
いつもなら即答で「行かない」なのに、その日は「行ってみようかな」と小さな一歩を見せてくれたのです。
ですが結局当日は、「みんなに見られる…」という理由で列に入ることはできず、1人で写真を撮って合成するということになりました。
こんなわが子の様子を見たら、以前の私ならとても心配でした。
なんとかして、「小学校生活最後の写真なんだから一緒に撮ろうよ」と説得していたかもしれません。
ですが、この時の私は子育てにブレない軸があったので、全く心配にはなりませんでした。
「よくここまで来たね!」
「1人でかわいく撮れたね!」
と、頑張ったご褒美にランチを食べて帰りました!

それから2ヶ月後、小学校の卒業式がありました。
卒業式は出ないだろうと思っていたのですが、娘がまた「行ってみようかな」と言ったんです!
今度は友達と教室に入り、最後まで式をやり遂げた娘。
想像もつかない変化でした!
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4.回復期の子の自信を育てる成功体験の声かけ
大切なのは、結果ではなく行動の途中の“意志”を肯定する声かけです。
ママの声かけで挑戦が成功体験に変わると、「また頑張ってみようかな!」と子ども自身の内側からエネルギーが湧いてきます。
たとえば、こんな声かけです。
「行こうと思って起きてきたんだね」
「やろうと思ったことに感動したよ」
できていることや、うまくいかなくても挑戦しようとした“気持ち”に目を向けて肯定の声かけを続けることで、自信の土台が育ちます。

また、この時期の子は心が揺れやすく、「できた」「できなかった」の判断がその日の気持ちを左右しがちです。
だからこそ、ママが一貫して“挑戦の芽”に注目する姿勢を持つことで、子どもは失敗を恐れずに前へ進めるようになります。
どんな時も、「今の声かけは成功体験につながっているかな?」と意識してみてください。
その視点がママ自身の軸となり、子どもの回復をしっかり支えてくれます。
「行ってみようかな」は、できるようになったサインではなく、踏み出す勇気の芽が出てきたサインです。
この芽を、ママの温かい言葉でゆっくり育てていきましょう。
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執筆者:笠井みほ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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