集団生活は刺激がいっぱい!その刺激に過剰に反応してしまい、集団生活に苦手意識をもっている子はいませんか?HSCや発達障害の子の感覚過敏の原因と対応のコツについてお伝えします。 |
【目次】
1.集団生活は刺激がいっぱい
私は現在、小学校でスクールカウンセラーをしています。家で家族だけで過ごす場合とは違い、保育園や幼稚園、小学校などでの集団生活は、何かと刺激が多いもの。そんな中で子どもたちから、
「お友達と合唱するの大嫌い」
「周りの人と目を合わせられない」
「ペアになって手をつなぐの苦手」
などの訴えを耳にすることがあります。
もしかしたら、これらの反応は感覚過敏が原因で起きていることかもしれません。感覚過敏は、刺激に過剰に反応しすぎてしまうことです。反応しすぎる刺激の種類によって、聴覚過敏や視覚過敏、触覚過敏などに分けられます。
ひといちばい敏感な子(HSC)や発達障害・グレーゾーン(パステル)の子たちの中には、この感覚過敏のために、集団生活に苦手意識をもってしまう子がいます。 次の章では、対応策を考えるためのヒントになる感覚過敏が起こる理由をお伝えします。
2.なぜ感覚過敏が起こるのか?
感覚過敏がそもそもなぜ起きるかというと、その感覚を受け取る脳のエリアがまだ未熟だからだといわれています。
例えば、音に対して敏感に過剰に反応しすぎるときは、脳の音を聞くエリアがどちらかと言えば未熟だということです。体を触られるのを嫌がるのは、皮膚接触を処理する脳のエリアが未熟だということ。
余談ですが、刺激に鈍感すぎるのも脳が未熟なことが原因です。鈍感な場合は、脳が刺激をうまくキャッチできていないのです。刺激を「ちょうどよく」脳が受け取れないことで、過剰に反応したり、鈍感すぎたりしてしまうということです。
感覚過敏は小さい子によく見られます。大人になると、刺激に少しずつ少しずつ慣れていき、脳が鍛えられていくので、感覚過敏は薄れていきます。
つまり、その過剰に反応しすぎてしまう脳のエリアが発達してくれば、その刺激をうまく受け取れるようになるということ。感覚過敏は、脳の発達に伴って取れていくということです。
3.苦手な感覚に対応するコツ
先ほど、感覚過敏が起こる理由は脳が未熟だからだとお伝えしました。「それじゃあ、その未熟な部分を鍛えてあげればいいのね!」と思った方、ちょっと待ってください!
刺激にわざわざ晒されるということは、子どもにとっては大きなストレスです。HSCやグレーゾーン(パステル)の子の中には、分かりやすく刺激に反応していなくても、その刺激がストレスとなっていることもあります。我慢できてしまうのです。
ですから、よく観察して、どのくらいの刺激なら、その子にとって大きなストレスにならないかを、まず見極めてあげてください。
可能であれば、刺激を避けてあげるのが、感覚過敏の対応としてはまず第一。どうしても嫌な刺激に晒されないといけないときは、嫌な刺激と子どもの好きなものとをセットにしてあげるのがオススメです。
例えば、手をつなぐのが苦手な子の場合。好きなお友達となら、手をつなぎやすいかもしれません。また、お友達と手をつなぐ手とは反対の手に、好きなお人形やハンカチなどを持たせてあげるのもよいかもしれません。
子どもを観察しながら、どのように対応するのがその子にとって、よりストレスが小さくできるのか考えてみてくださいね。
執筆者:渡辺カナ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー、臨床心理士)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー、臨床心理士)