小学校不登校からの中学校進学は不安要素がたくさんありますね。慣れない環境で不安にならないか、小学校と違う学習の仕組みについていけるのかなど。子どもの特性から感じる苦手さを軽減させるためにお母さんができる対策をインタビューでうかがいました! |
【目次】
1.目指せ中学校!対策は?
2.中学校入学は希望通りに
3.中学でも問題勃発…解決方法は、自分のことを理解すること!
4.不登校だった子どものお母さんに必要なぶれない軸
5.子どもを信頼するために正しい知識を!
2.中学校入学は希望通りに
3.中学でも問題勃発…解決方法は、自分のことを理解すること!
4.不登校だった子どものお母さんに必要なぶれない軸
5.子どもを信頼するために正しい知識を!
1.目指せ中学校!対策は?
中学校進学は、不登校でなくても心配や不安になるものですが、小学校の間不登校であったらなおさらですね。
インタビューPart1、Part2では、小学校6年生の秋に不登校になったTくんが悩んだ先生との関係や、体調不良となり、心が疲れてしまったものの、適切なお母さんの判断で少しずつ元気を取り戻したお話を配信してきました。
今回はいよいよ、どのように中学校進学まで過ごしていったのかをお伝えします!
ーーー冬休みが明けてからはどのように過ごしていたんですか?
「学校に行かず家にいる生活は数ヶ月でしたけどすっかり体力が落ちてしまったので、『中学校へ行くために外へ出て体力を戻そう』と相談しました。
『保健室でいいから学校へ行ってみようか。1時間でも2時間でもいいから行ってみようか。』と声をかけ、登校できる日ができたんです。
3学期も、担任の先生と会うとやっぱり体調が悪くなるので、最後まで教室じゃなく保健室でしたけど。
お兄ちゃんたちが『○○中学校はちゃんとした先生が多いから大丈夫だよ』と言い続けてくれました。」
ーーー
中学校進学を目標に小学校も少しでも登校しようと行動を始めたTくん。家族みんなでTくんのフォローをする中で、お母さんも今まで気づかなかったTくんの特性や気持ちに気づいていきます。
ーーーTくんのご兄弟の関わりが本当に優しいですね。お母さんがお兄ちゃんやお姉ちゃんのことも認めて子育てしているんだなということが伝わってきます。
「本当に上の子がいて助かりました。上の子の担任だった信頼できる先生がまだ学校に居たので、色々お世話になりました。登校してもやることがないと言っていたので、解けるか解けないか位の難しい問題を出して貰えるようにお願いしました。
『答えは合ってるんですけど、どうやって解いているかちょっとわからないんですよね。』と言われて。その頃から『やっぱりちょっと変わってる?』と思うようになったんです。」
ーーーそうなんですね!お母さんもTくんの特別な能力に気付き始めたんですね。そうやって短い時間だけ登校していて、卒業式はどうしたんですか?
「卒業式には出ました。でも呼びかけの中の『先生ありがとう』的なところは嫌だと言っていました」
ーーー先生に感謝を述べるやつですね!嫌がりそうですね…
「ほぼ練習には参加していなくて…でも本番はしっかりやってのけてしまったんです。
そんな状況を見ていて『こういうことなんだろうな』と感じて。先生は表面上のできるところしか見ようとしていないから、苦しんだり悩んだりしていたことを理解できなかったんだろうな。だから『Tなら1人で大丈夫』と言い続けたんだろうなと思いました。
でもTは、他の子と同じように心配して欲しかったし、相談したらみんなと同じように対応して貰いたかったんだろうなと感じました。」
ーーー中学校入学に向けて、どこかへ相談したりしましたか?
「中学校に上の子がいたので、参観の際に担任の先生や部活の顧問の先生に『実は下の子が〜』と現状をお話して、どうしたらいいか相談しました。
『大丈夫ですよ。学校側できちんと対応しますよ』と言っていただき、その時点でできる対応方法を教えて頂きました。
小学校の担任と中学の先生との引き継ぎがあると聞き、引き継ぎ内容を小学校の担任の先生と相談しました。
私からは『仲の良い友達と同じクラスだと安心だ』ということを伝え、担任からは『Tの発言に野次を飛ばす子たちとは一緒にしないように引き継ぐ』と提案があったので、話の内容はお任せしました。」
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2.中学校入学は希望通りに!
ーーー卒業式、引き継ぎも終えて、いよいよ中学校入学ですね。
「中学校入学式、引き継ぎ通りにクラスは仲の良い子を一緒にしてくれたし、苦手な子は離してくれていました‼︎」
ーーー良かったですね!
「小学校でのトラウマもあり、中学校に入ってからも登校を渋ることもありました。そんなときはいつも上の子が『行くよ!』と一緒に連れて出てくれました。
そしてTの不安が減るようにサポートの方法を正しく伝えるようにしています。先生に何を話して、どんな返事だったか、どんな反応だったかは必ず伝えています」
ーーー
中学校は、小学校に比べて発達障害や発達に特性のある子ども達への配慮は少なくなってしまうといわれています。
お母さんのSさんは、入学前には上のきょうだいの先生達を巻き込み、Tくんが学校へ行きやすい環境となるよう配慮をお願いしました。その結果、過ごしやすいクラスにしてもらうことに成功しています。
上のきょうだいがいないお子さんの場合は、しっかりと中学校の先生と相談したり、知り合いから情報をもらって子どもへ伝えるなどの対策が必要ですね。
小学校を卒業した子ども達は、中学校入学へ向けて不登校でなくとも緊張と不安を伴うでしょう。
子どもの進学への気持ちを確認した上で、子どもがどんなことを苦手としているのか、どんな環境なら通いやすいのかを考えて、先生へ伝えてあげると子どもの気持ちは落ち着きますね。
3.中学でも問題勃発…解決方法は、自分のことを理解すること!
ーーー今、中学校で困っていることはありますか?
「ありますよ。同級生と話が合わないことが多いので、一人で小説を読んでいることが多いそうです。一人似た価値観の友達がいるので、その子とは話をすることも多いようです。
『世の中、色んな人がいるんだよ。たくさんの人の中で自分と合わない子もいるよ。』と伝えています。
担任の先生がクラスの問題を解決できないところなどを見て、落胆もしているようです。」
ーーー賢いから、アラが見えてしまうんですね。
「担任の先生は経験が浅い先生なので。とても頑張ってやってくれているんですけど。
とても一生懸命な先生だと思いますが、経験が浅いので仕方ないんですよね。ただ中学校は教科担任制だから、毎時間同じ先生ではないのでちょっと楽みたいです。好きな先生も何人かいますし。その点は、小学校よりいいみたいです。」
ーーー先生以外のことで困ることはありますか?
「同級生との理解力や習得する速さの違いなどで戸惑うことが多いようです。例えば、音楽でもTは何回か聞いたら覚えてしまう。少し勉強したらなんとなく楽譜読めてしまう。
耳もいいので、数人が少しずつ外れた音で歌われると不協和音のように聞こえて辛くなるみたいです。『同じ勉強してるんだから皆も同じくできるはず。できないのはわざとでは?』と思ってしまうようです。
なので『Tにしかない聞こえない音があるのかもしれないね。Tは他の人より少ない回数で何でもできるようになるし、勉強もすぐに覚えちゃうんだけど、普通はそんなに簡単に何でもできるようにはならないんだと思うよ』と伝えてみました。
それから少しずつ自分と周りとの違いを理解できるようになりました。『分からないって言われてきたのは意地悪ではなくて、本当に分からなかったのかもしれない』と理解できるようになりました。
ーーー自己認知は大事ですよね!
「得意なことばかりではなくて苦手なこともあります。分かっているを繰り返す作業はとても苦手です。模試や学力調査などの公式なテストでは高得点がとれるのに、学校の定期テストでは点数を取れない教科もあります。
学校で教えられた解法以外の解き方をしたら答えが合っていてもバツになるし、いくつかの意味にとれる言い回しが使われている問題では、深く考えすぎて間違えることがあります。
『答えが合ってるのになんで正解じゃないの?』『その数式の定義は何?』と理解に苦しんでいたこともあります。」
――中学校はやっぱりそこで評価が落ちてしまうんですね?
「点数がとれなければ内申点にひびきますからね。
『内申がとれなくてもていいんじゃない?当日点重視枠で受験したらいいし、Tにはそれができると思う。今はいろんな学校が選べるし。だから内申のために無理する必要も我慢する必要もないから。自分の思った通りに言いたいこと言って良いよ』
と話しています。」
――子どもが難しいと感じることをお母さんが突っついて責めたり、直そうとしたりしてこなかったんですよね!そこがとても素敵だなー、Sさんすごいなと思います!
「子どもたち3人ともそれぞれ違うし、『得意なことと不得意なことが違って当たり前』って思っているので、単純に気になってなかっただけだと思います。
これから検査を受ける予定でいるので、専門家からの意見でTのことをより理解できるようになるといいなと思います。」
ーーー
Tくんは、『自分の得意は何か?』を理解することで、今まで傷ついてきた友達の言い方や振る舞いを受け止めることができるようになりました。
何か嫌なことが起きたとしても、相手を許してあげる気持ちをもつことができれば子ども自身とても楽に過ごすことができますよね。
4.不登校だった中学生を支えるお母さんに必要なぶれない軸
ーーーSさんは常にポジティブに考えていますけど、お医者さん以外に誰か相談する相手いました?
「いえいえ。あのときちゃんと対応してくれていたら、こんなことにならなかったかもしれないのに…って最初はずっと思っていましたよ。
私も多分HSP(Highlly Sensitive Person)だと思います。不安になって考え込んでしまうこともあるけど、子どもにそれを悟られて不安にさせてはいけないと思うんです。
Tのために行っているカウンセリングが自分のためになっていたりしますね。ギフテッドの親の会でママたちと話したりすることで、溜め込まずに済んでいるのかなー?身近な、理解してくれそうな人にだけ話すようにしています。」
ーーー最後に、不登校で悩んでいるお母さんたちが、世の中にはたくさんいると思うんですけど、Sさんからアドバイスできることはありますか?
「私も、Tがいつまた不登校になるかわからないから、不登校の人のツイッターとか見ているし、色んな情報を集めて過ごしていて、『なんとかなる!』って思っています。
不登校になっても、普通に結婚したり、就職したりしている人たちもたくさんいるってわかったし、高校だって、全日制の高校だけじゃないし、定時制や通信制もありますよね。
ただ、お母さんと子どもがうまくいかなくなっちゃうと、きっと辛いだろうなって思うから、それだけは気をつけるようにしています。」
――ありがとうございました!とてもたくさんのお母さんがポジティブに不登校のお子さんと向き合えるきっかけになるようなお話しだったと思います。
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5.子どもを信頼するために正しい知識を!
後日、Sさんはこうおっしゃっていました。
「子ども本人が頑張って学校へ行きたいと言ううちは、できる限りのサポートをしてあげたい。けれど、行きたくないと言ったら、それはそれでいいと思っていますよ。」と。
子どものことを、心から信頼しているからこそ出てくる言葉だなと思いました。
私たち母親は、子どもの将来を考えるからこそ不登校になると不安になったり焦ったりしてしまいます。
しかし、重要なポイントは、正しい知識と、子どもを信頼する気持ちです。
筆者の私も、今まで知らなかった学校へ行かない人達の過ごし方をたくさん知ることで、『なんだ!そんなに悲観することもないんだ』と意識を変えることができました。
今回のSさんのインタビューを読んだ方が、少しでも明るい気持ちになり、子どもの可能性を信じてあげられるようになりますように。
我が子の発達の特性を理解し、子ども達を生き生きと成長していけるような環境を作ってあげられる、『ポジティブなお母さん』に変わっていきましょう。
お母さんがポジティブに子どもを信じられるようになる秘訣をメール講座でお伝えしています!ぜひご登録ください。
執筆者:すずき 真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)