トランプで発達障害の子のワーキングメモリを鍛える!スモールステップで楽しく遊べる神経衰弱

ワーキングメモリを鍛えるのにぴったりなのがトランプを使ったゲームです。ただし、いきなりやるのは絶対にNG!発達障害・グレーゾーンのお子さんでワーキングメモリに課題がある子、反対にワーキングメモリを武器にできる子で遊び方を変えましょう!
 

【目次】

 

1.脳のToDoリストを使いこなせ!ワーキングメモリとは

 
 
・○○やってきて、と頼んだのに途中で忘れる
・板書が苦手で何度も黒板を見る
・先生が口頭で話したことをメモできない
・うまく会話がかみ合わない
 
 
発達障害・グレーゾーンのお子さんで、こんなお悩みはありませんか?これらのお悩みは、すべて「ワーキングメモリ」が大きくかかわっています。
 
 
ワーキングメモリとは必要な情報や記憶を一時的に留め置いて、情報処理を行う機能のことです。
 
 
といっても分かりにくいので、私はいつも「脳のTODOリスト」とイメージしています。
 
 
例えば、お買い物。夕飯の買い物に行く前、冷蔵庫をチェックして購入する食材を把握してスーパーへ。レジでお金を払う頃には家を出るときに「これを買おう!」と思ったことなどすっかり忘れていますよね。
 
 
このように、長期的な記憶とは違ってずっと覚えておくのではなく、
 
 
・いったん覚えて(冷蔵庫の食材を頭に入れる)
・情報整理して(買い物リストを作る)
・使ったら消す(リストを消す/忘れる)
 
 
という3つの要素があるのがワーキングメモリの特徴です。
 
 
 
 
ワーキングメモリに課題がある子は単純に覚えることが苦手というだけでなく、情報整理が苦手、情報を思い出すのが苦手、使い終わったのに消すのが苦手など、さまざまな要因が考えられます。
 
 
 
 
 
この記事では、「覚えて/消す」に着目したゲームをご紹介します。お母さんとの楽しいゲームの時間でワーキングメモリを鍛えちゃいましょう!
 
 
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2. ワーキングメモリ強化にピッタリ!神経衰弱をする際の注意点

 
 
お母さんとおうちでぜひやっていただきたいのが、トランプを使ったゲームです。
 
 
トランプで記憶のトレーニングになりそうな代表的なゲームと言えば…そう、神経衰弱です。
 
 
神経衰弱は、めくったカードの数字と位置を正確に覚える必要があります。そしてカードが取れたらその記憶は必要なくなるので消去。これを複数枚同時に絶えず行わなければなりません。
 
 
そして、覚える枚数が増えてくると、「アレとアレは右側、アレは左下」など情報整理をすることもあり、脳の負荷は大きくなります。
 
 
 
 
ただし、ワーキングメモリに課題がある子に最初からそこまで求めるのは絶対にNG!まずは確実にできるところからスモールステップでスタートしましょう!
 
 
「できた!とれた!」という達成感が何よりも大切です。
 
 
ワーキングメモリに課題がある子にとって神経衰弱は負荷が大きいですから、やりたがらなくて当たり前。そこを「やってみようかな」と思えるのは、楽しいから。できるから。これにつきます。
 
 
さまざまなキャラクターのトランプが販売されていますので、お子さんの好きなものを使ってあげるとハードルが低くなるかもしれません。はじめのうちは、お菓子を食べながら、など常にご褒美を与えながら進めるのもいいでしょう。
 
 
もちろんカードが取れたら「すごいね!よく覚えてたね!」としっかり褒めてあげてくださいね。
 
 
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3.お母さんの演技力もカギ!初めての神経衰弱の進め方

 
 
ワーキングメモリに課題がある子にとって、神経衰弱は負担が大きいとお話ししました。最初に「なんか難しそう…」というネガティブさをキャッチしていしまうと、子どもはやりたくなくなってしまいます。
 
 
最初から通常の神経衰弱をしようとすると、部屋中に広がったカードを見ただけで、「ヤダ!」と言い出す子は結構多いんじゃないかと思います。
 
 
まず子どもがやってみようかな?と思えるためには、「これぐらいなら楽勝にできる!」という段階まで易しくすることが大切です。
 
 
まずはカードの枚数をぐっと減らします。最初は2組4枚から始めて、少しずつ増やしていけばOKです。
 
 
このように、
・大好きなキャラクターのトランプを使って
・常にご褒美を与えながら(おやつ・褒めなど)
・少ない枚数から神経衰弱をスタート
という3つのポイントを意識してください。
 
 
また、お母さんが当ててしまうと意味がなくなるので、ここは「あれ~どこだったかな?ここかな?」とわざと間違えることもお忘れなく!
 
 
お母さんがわざと間違えることは、カードがどこにあるかヒントを与えるだけでなく、「何度間違えても大丈夫」という安心を与えることができるんですよ!
 
 
 
 

4.ワーキングメモリが得意な子への発展型神経衰弱~発達障害・自閉症スペクトラムの息子に完全敗北!~

 
 
ワーキングメモリが得意な子も、最初は少ない枚数から、スモールステップですすめるのがオススメです。慣れてきたらカードを増やして神経衰弱を楽しみましょう。
 
 
私の息子は比較的ワーキングメモリが得意な方。知能検査の項目ではワーキングメモリが一番高く、普段の生活でも記憶力がすごいなと思う場面がよくあります。
 
 
神経衰弱もやっていたのですが、飽きてきてしまったので、少しずつバージョンアップさせて遊んでいました。記憶力が高い子には、無理のない範囲でレベルアップさせた神経衰弱を試してみてください!
 
 

◆①途中でシャッフル

 
 
文字通り、途中でトランプをシャッフルさせて位置を変えます。これは息子が好きなときにやれるようにしました。「ぐちゃぐちゃ~!」と言いながら大爆笑!一度覚えた位置情報をリセットするので、記憶の消去のトレーニングになります。
 
 
せっかく覚えたのに!と怒ってしまう子もいると思いますので、やるかどうかは子どもの意思を尊重してください。
 
 
最初は枚数が残り6枚程度になった辺りからシャッフルしていましたが、最近は1回のゲームで3回ぐらいシャッフルタイムがあります。母、内心「いま!?また覚え直し!?」 と心中穏やかではありません。
 
 
せっかく覚えていたのに覚え直し、取れると思っていたのに取れないというのは結構ショックが大きいもの。息子の若い記憶力についていけず、あえなく敗北しました…
 
 

◆②ダブル神経衰弱

 
 
単純にトランプを2セットで神経衰弱します。カードの色や柄がヒントになるので、同じトランプを2つ用意するのがオススメです。単純に時間を伸ばせればOKということであれば、別のトランプでもかまわないと思います。
 
 
量が増えると覚える範囲も広がりますから、脳の負荷は大きくなります。途中でシャッフルするなど、ルールのそのものをアレンジするのが難しいお子さんにオススメです。
 
 
時間が倍かかりますし、リビングいっぱいにカードが広がってたまにソファの下に入ってしまうことも。「あれ?カードが足りない!」と毎回大騒ぎです。ご注意ください!
 
 

◆③激ムズ!裏が白紙のカードは最難関

 
 
トランプではなく、乗り物や食べ物などのカードを神経衰弱で使ってみましょう!
 
 
裏が共通の柄になっていているカードはあまり見かけないのですが、お子さんが好きなもので神経衰弱できるなんて最高ですよね!
 
 
裏が真っ白なカードは、神経衰弱の最難関です。
 
 
普通のトランプで神経衰弱する際、私たちは無意識にカードの裏側の模様の向きなどをヒントに記憶しているようです。真っ白だとノーヒント!全然覚えられず、激ムズです。
 
 
初めてやってみたとき、全然覚えられない自分に愕然としたことは今でもよく覚えています。ちなみに私は10枚でも全然できませんでした…息子に完敗!
 
 
 
 
解説した3つのアレンジはかなり難度が高いもの。本当にワーキングメモリが得意で、「最強に難しくしたい!」という子に、枚数を少しずつ増やしながらすすめるのがオススメです。
 
 
一緒に遊ぶ私たちも、全然覚えられなくてショックを受ける可能性があります(笑)家族で楽しく遊びながらワーキングメモリを鍛えていきましょう!
 
 
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執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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