発達障害ではないものの、2年近く小学校で不登校だったⅯ子さん。不登校中に将来の目標を見つけ、再登校できただけでなく中学受験を目指し勉強意欲も湧くほどに。そこにはお母さんの気持ちと行動の変化がありました。 |
【目次】
1.発達障害でなくても、小学校で不登校の子どもたちは多い!
2.不登校から再登校に至り、小学校で勉強に打ち込むようになった理由とは?
3.お母さんの言葉やサポートで、子どもは挑戦する勇気を持ちます!
1.発達障害でなくても、小学校で不登校の子どもたちは多い!
私の周りでも、様々な不登校のケースを耳にします。
いじめをきっかけに、2年近く不登校だった。
担任の先生と折り合いが悪く、1年間保健室登校していた。
はっきりした理由は分からないけれど、登校できない状態が続いている。等々
その中で、発達障害と診断を受けている子はほとんどいません。
不登校の子どもを持つお母さんに話を聞いても、ちょっと繊細な子、友達付き合いが苦手な子と、個性の範囲と思われる子どもたちです。
不登校の子どもを持つ親の悩みは、様々です。
・このままいつまで不登校が続くんだろう
・引きこもりになってしまうのでは?
・学校に行かなくても好きなことを見つけて欲しい・・・
見通しがつかず、不安でたまらないけれど、どうしていいか分からない。
不登校だった小学生の女の子Ⅿ子さんのお母さんも、同じような思いを抱いていた1人でした。
小4の頃から登校したり休んだりと不登校傾向だったⅯ子さんは、小6になってから中学受験を目指し登校し始め、勉強に打ち込むようになります。
将来の夢を見つけ、そのために中学受験を決意するまでの変化を遂げたM子さん。なぜ?どうやって?その理由を知るために、お母さんにインタビューしました。
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2.不登校から再登校に至り、小学校で勉強に打ち込むようになった理由とは?
ーーーM子さんが不登校になった経緯を教えてください。
「娘が小4になる春に転勤で、同じ関東圏内に転校しました。多感な時期に、環境の変化によるストレスに加え、新たな交友関係でトラブルがありました。また、担任ではない校内の先生方の怒鳴り声が怖くて嫌だったようです。
元々感受性がとても強く、五感が鋭い子ですが、発達で特に気になることはなかったので、検査も受けていません。
ゴールデンウイーク明けから、体調に異変が表れました。腹痛や頭痛があり、朝起きるとトイレにこもって出れなくなるような状態でした。
『学校に行かなくちゃ』と思いつつも、行けない。
トイレから出ても、うずくまっている様子を見て『体調に出るほど我慢していたんだな』と思っていました。『明日は行く』と、毎日準備をしていましたが、朝になると体調が悪くて行けない状態が続いたんです。」
ーーー学校に行きたくても行けずに苦しむ様子を見ているお母さんもつらかったでしょうね。その後はどうやって対応したのですか?
「担任にもすぐに話し、先生が相手の子と話すことで交友関係のトラブルは一旦解決。校長先生とも話し、校内の先生方の怒鳴り声のことも伝え改善されました。担任の先生は『無理に登校しなくて大丈夫』と言ってくれました。
問題は解決したように見えましたが、登校したりしなかったりという状況でした。夏休み明けはがんばって登校し、運動会が終わるとまた行けなくなる。冬休み明けも同じく…その繰り返しで、結局小4で1/2、小5では1/3くらい欠席しました。
いじめとまではいかなくても、女の子同士のトラブルは別の子とも起こっていたので、原因は色々あったのだと思います。
手のかかる時期の弟2人がいて、姉の方にはしっかり向き合えていなかったことも、今思えば原因のひとつかもしれません。
無理に登校させるようなことはしませんでした。本人も行きたい気持ちはあるのに行けないという状態でしたから。
でも理解に苦しみました。私も夫も「学校に行きたくない経験」がないから、気持ちが分からず共感できなかったのです。
◆ポイント解説
本人の意思を尊重しつつも、登校できない状況は理解に苦しんだというご両親。
気持ちに寄り添えていなかった状況では、そのことも敏感なM子さんに伝わっていたのかもしれません。体調も悪い上に、自分の気持ちを理解してもらえない悲しさが、ますます登校できない状況となっていた可能性もあります。
その後、再登校に至るまでに、お母さんとM子さんの気持ちの変化がありました。
ーーーそんな状況の中で、お母さんの気持ちが変化したきっかけは何だったのですか?
「ご自身が不登校経験者の、ポジティブなお母さんと話したことで、視点が変わったんです!
それまでは『いつ学校に行けるのか?』ばかり考えていたのが『いつかは学校に行けるだろう』と楽観的に考えられるようになり、すごく気が楽になりました。
また、元々あまりべったり母娘ではなかったので、いつも一緒にいることで私の方がストレスになっていました。子育てセミナーなどでも話を聞き、娘が求めていることに目を向けて、一緒にできることを意識してやるようになったら、娘も落ち着いてきたようにみえました。
一緒に手芸をしたり、お買い物に行ったり、お菓子作りをしたり。本人の好きなこと、やりたいこと、興味のあること中心の生活です。
学校に行けなくなってからも『勉強はしたい』と言っていたので、家での過ごし方や勉強方法を一緒に話しました。体調が良いときは、宿題や市販のドリルもやっていました。
カウンセラーの勧めで適応教室に通ったりもしましたが、やりたいことと違ったようで長くは続きませんでした。嫌なことは無理にやらなくてもいいと親としても思ったのです。」
ーーーお母さんに気持ちを受け止めてもらえた満足感があったのですね。お母さんもがんばりましたね!そこからなぜ中学受験に向かうようになったのですか?
「不登校中も、ずっと続けているバレエに通っていました。中高生のお姉さんたちの制服にあこがれを持ち、その中学校に興味を持ち始めたんです。
また、幼稚園のときに、父と子どもキッチンを作った思い出から、建築関係に興味を持っているようでした。小5の後半くらいに、建築士について一緒に情報収集しました。
そして、その冬休みに家族旅行に行ったときに、娘は景色や食べ物などではなく、建築物にとても興味を持ってました。
それらが重なり、『海外に行って建築物を見て建築士になりたい。そのために英語教育に力を入れている中学校に進学したい。』と言うようになりました。
中学受験するにはどうしたらいいかを一緒に調べ、担任にも伝えました。小6の1学期の成績、出席日数、生活態度次第では推薦入試も受けられることが分かりました。
『中学受験をするために勉強を頑張りたいから、登校して出席日数も確保する。』という流れで、再び登校するようになったんです。
情報提供や選択肢は与えたけれど、決めるのは本人。自分で『受験する』と決めていました。」
◆ポイント解説
不登校から再登校に至り、小学校で勉強に打ち込むようになった秘訣。
それは、お母さんの肩の力が抜け、向き合い方が変わったことで、M子さんも安心して興味のあることに没頭できたこと。そして目標を見つけたから、登校するエネルギーも湧いてきたのです。
お母さんは悩んでいるだけではなく、友人と話したり、セミナーに参加することで自ら情報収集もしています。子どもが興味を持っていることを逃さずキャッチして、そこから関心が続くよう継続して情報収集や情報提供しているのもポイントです。
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3.お母さんの言葉やサポートで、子どもは挑戦する勇気を持ちます!
ーーーでは、どんな言葉やサポートが効果的だったと思いますか?
「大学まで行きたいという本人の思いを確認していたので、放置せずに、いま学校に行かないならどうするかを一緒に考えて話し合ってきました。学校に行けないこと、つらいことも、『親として引き受ける』という気持ちでいました。
不登校は、がんばりすぎて心のバランスが調整できなくなっている状態。疲れていたり、がんばりすぎている時に『がんばりすぎていない?』と声をかけてみる。がんばりすぎてくじけるとまた行けなくなる。もう大丈夫!ではなく、継続して声をかけることが大切かなと思います。
娘は登校したり、行けなかったりと気持ちも揺れ動いていたのが分かったので、特に注意して都度安心できるような声かけをしました。その子によりますが、娘には効果的でした。」
ーーーお母さんはM子さんを良く見て、タイミングよく声かけしていたから、M子さんも安心したのですね。最後に、不登校の子どもを持つお母さんに伝えたいことはありますか?
「『いつでもあなたの味方だよ』と愛情が伝わるように意識しています。伝わってこその愛情です。本人が苦しそうなときは特に伝えるようにしています。
本人がプレッシャーになるので『学校に行かせたい』という気持ちは押しつけず、『いつかは行くだろう』のスタンスで、親が目標を決めない方が良いのでは?と思います。」
◆ポイント解説
お母さんはM子さんのありのままを受け止め、気持ちや行動を尊重しています。娘にとって必要な情報を与えつつ、継続してサポートしています。
M子さんもお母さんの愛情をしっかり受けとめ、大きく成長しました。自信と勇気を持って中学受験に挑戦し、未来へ向かって進んでいます。
「失敗しても大丈夫!」という安心感から、挑戦する力も育まれていたのでしょう。その後、志望校に見事合格の嬉しい知らせを聞くことができました!
最後に…
今、子どもが不登校で悩んでいるお母さんは、知らぬ間に自分の価値観だけにとらわれていないか立ち止まって考えてみてください。
その子の個性や環境により、親としての関わり方の選択肢の情報はたくさんあります。今までとは違う見方や考え方を知り、その子に合った方法を実践してみると、親子でもっと幸せな時間が増えるかもしれないですね!
いま悩んでいるお母さんの参考になれば幸いです!
不登校の子どもの気持ちに寄り添う関わり方を配信中
執筆者:Ruriko Yune
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)