発達凸凹女子たちが、気持ちを言葉で表現することが上手にできずに、手を出してトラブルになったことはありませんか?実は、この行動が表現力UPのチャンスです!お家で感情の表現力を育てられる対応をお伝えします。 |
【目次】
1.言葉よりも手が先に出てしまう発達凸凹女子
Aちゃんは幼稚園のときから、お友達とのトラブルが絶えない女の子でした。
ある日、学校の移動教室で廊下に並ぶように指示がありました。
Aちゃん:順番なのに割り込んでこないで!
Bちゃん:Aちゃんはみ出してたじゃん。
Aちゃん:はみ出してなんかいないよ!
Bちゃん:Cちゃん、Aちゃんはみ出してたよね!
AちゃんがBちゃんを叩く
Bちゃん:Aちゃんはみ出してたじゃん。
Aちゃん:はみ出してなんかいないよ!
Bちゃん:Cちゃん、Aちゃんはみ出してたよね!
AちゃんがBちゃんを叩く
その日、学校から連絡をもらったお母さんは、Aちゃんに今日の出来事を聞きました。
しかし、Aちゃんは黙って何も言いません。
お母さんは、「もう、お友達に手を出すのはやめて!いけないことでしょ!わかった?」と約束をさせます。
Aちゃんは、「わかった」と約束。
ところが、数日後も同じようにお友達に手を出してしまいました。
お母さんは、また同じように約束しましたが、全くやめることができません。
なぜやめられないのでしょうか?
2.「叩いてはいけない!わかりましたか?」は効果なし
それは、お母さんが『手を出す』という行動にだけ対応しているからです。
昔から、しつけは「行動制御」という、なにか行動をさせないお約束をする傾向があります。
私たちも、「手を出してはダメ!」などと言われてきたと思います。
ところが、「手を出すことはいけない」と教わっても、叩きたくなったときの気持ちをどう対処していくかまでは教わってきていないですよね!
私達は、コミュニケーションを通して、相手の言葉や感情を読みながら、自分の感情を言葉で相手に伝える力を育んできました。
しかし、発達凸凹のお子さんは、感情を言葉にすることが難しい傾向にあるために、つい体で表現できる「手を出す」という行動に出てしまうのです。
その場での「やめなさい」という指導は、知識増やしにはなるかもしれませんが、本当にやめさせるためには自分の感覚や感情を言葉にするトレーニングが必要になります。
そこで、「わかりましたか?」-「わかりました」という約束をさせるよりもまずは、感覚・感情を言葉で伝えるレパートリーを増やしてあげる声かけが効果的です!
3.感情や感覚についての効果的な質問で表現力を育てる
親のちょっとした言葉がけで、子どもの感覚・感情を表現する力・伝える力を育てることができます。
まず
自分の中にある感情・感覚を知る
↓
言葉にする
↓
表現力アップ(言葉のレパートリーを増やす)
↓
実際の場面で相手に手を出さずに伝えられる
このような流れで相手とのコミュニケーションをマスターしていきます。
そのために、お母さんは何をすればいいのでしょうか?
まずは、感情・感覚を知る→言葉にすることが必要になります。
例えば、食事の場面であれば『どんな味がする?』と聞きます。
初めのうちは、感じた感覚を言葉で表現することが難しいので、『わからない』というかもしれません。
そんなときは一緒に考えて、『ふわふわして、ほんのり甘い!おいしいね!』と話しかけてみてください。
すると子どもは、五感を使って感じ始めようとします。
『これが、ふわふわで、甘くておいしいということね』と感覚と新しい表現を組み合わせて理解することができるのです。
どんな場面でも、この感覚・感情を聞くという声掛けは使えます!
ゲーム場面では、『今、どんな感じ?』
ケンカした場面は『今どんな気持ち?』
何か達成したときや感情が動きそうな場面では、ぜひ聞いて感情の表現力を伸ばしてみましょう!
また、感覚・感情を表現するお勧めの遊びもあります。
それは、「実況リポーターごっこ」です。この遊びは親子で楽しみながら表現力を伸ばせます!
例えば、おやつにマドレーヌを食べるとき
お母さん:丸くてふわふわしているマドレーヌですね!
お母さん:ではさっそく食べてみます!口の中にバターがフワァ~って広がってきます。
もう少し硬いと思っていましたが、とても柔らかくしっとりしています!
では、○○ちゃん(子どもの名前)にも食べてもらいましょう!
お味はどうですか?
子ども:おいしいです!
お母さん:どうおいしいですか?甘い?苦い?今の気持ちはどんな感じですか?
など、楽しく感覚や感情や言葉を増やすことができますよね。
他にもお出かけの車の中など、どんな所でも実況リポートをすることができますね!
この表現力UPの声かけの積み重ねでお子さんの表現力・伝える力が育っていきます。
そして、自分の今の感覚・感情を言葉で伝えるレパートリーが増えれば、実際の場面で手を出すことなくコミュニケーションで伝えることができるようになります。
親子で楽しみながら表現力を育てていってくださいね。
子どもの困った行動の対応策をこちらでお伝えしています!
執筆者:雨宮愛
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)