「また壊した!」発達障害・ADHDの子が物を壊す心理と親の対応4選

 

物をよく壊すADHDの子どもは、脳の特性「不注意」が原因です。発達障害の子供心理を理解すると、怒らずに対応できるようになります。すぐ物を壊す行動が落ち着いた親の対応4選を紹介します。
 

【目次】

1.「また壊したの!?」物をよく壊すADHD小学生の『やっちゃった事件簿』
2.発達障害・ADHDの子どもがすぐ物を壊す心理とは?
3.物を大事にしない発達障害の子どもへの事前対策2つ
①壊されたくない物は隠しておく
②周囲を気にしているときに褒める
4.すぐ物を壊してしまったときの親の対応4選
①一緒に現場検証
②自分で言語化
③自分で対処
④褒める

 
 

監修者:吉野加容子

発達科学コミュニケーション創始者/パステル総研主宰/発達科学ラボ代表

 

脳科学をベースに、発達障害・発達グレーゾーンの子どもの発達支援を専門とする。広島大学教育学部卒業後、東京学芸大学大学院修士課程、慶應義塾大学大学院博士課程で学び、民間企業での脳科学研究、医療機関での発達支援、大学での教育に従事。

 

15年以上にわたり発達に悩む親子と向き合う中で、「子どもの発達を本当に伸ばすのは、家庭での365日の関わりである」という結論にたどり着く。

 

病院や学校だけでは支援が届きにくい発達グレーゾーンの子どもたちに対して、家庭で再現できる支援を確立するため、脳科学・教育学・心理学を融合した独自メソッド「発達科学コミュニケーション」を開発。

 

これまでに数多くの親子の変化を生み出し、“ママが変われば子どもが変わる”という発達支援の新しい当たり前を広げている。

著書に『発達障害とグレーゾーン 子どもの未来を変えるお母さんの教室』『脳を育てる親の話し方』『脳が喜ぶ子育て』など。

 
 

1.「また壊したの!?」物をよく壊すADHD小学生の『やっちゃった事件簿』

 
「また壊したの!?」「大事に使いなさいって言ったでしょ!」物をよく壊すADHDの子どもを持つお母さんなら、こんな言葉を何度も口にしたことがあるのではないでしょうか。正直、この頃は毎日怒ってばかりでした。
 
発達障害・注意欠陥多動症(ADHD)傾向の子どもは、落ち着きがなく不注意で、すぐ物を壊してしまいますよね。我が家の息子も小学生低学年の頃、こんなことが日常茶飯事でした。
 
・おもちゃを床に置きっぱなしにして、気づかず踏んで部品が取れる
・おもちゃを持って走り回り、障子や襖にぶつかって穴を開ける
・他のことに気を取られてお皿を落として割る
 
 
おもちゃだらけの棚。この頃は毎日のように「また壊れた!」が続いていました。
 
 
そのたびに私はとっさに怒っていました。
 
私:「なんで壊すの!?」
息子:「ごめんなさい…」
私:「次からちゃんと見てね」
息子:「はい」
 
でも何度注意しても、また同じことが繰り返される。それどころか、壊さないどころかむしろエスカレートしていくのです。
 
そんな悩みがあるときに、私は発達科学コミュニケーションに出会いました。そこで学んだ対処法を行ってみると、私のイライラが減り、息子に怒らずに対応することができたのです。今回は私が実際に行った対処法についてご紹介しますね。
 
 
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2.発達障害・ADHDの子どもがすぐ物を壊す心理とは?

 
発達障害・ADHD傾向の子どもが物をよく壊すのは、脳の特性「不注意」が原因です。故意でも、育て方のせいでもありません。私もそれを知るまで、「なんでうちの子だけ…」と自分を責めていました。
 
発達科学コミュニケーションでは、ADHDの脳は前頭前野の発達がゆっくりで、衝動を抑制したり注意を持続させたりする機能が育ちにくいと考えられています。だからこそ、叱って行動を変えようとしても、脳の特性上すぐには変わらないのです。
 
物を壊す子供心理として、次の3つの状態のときに特に不注意が出やすくなります。
 
・好きなことに夢中になっているとき →周囲が見えなくなる
・楽しくてテンションが上がっているとき →力加減がわからなくなる
・好奇心で衝動的に動いたとき →今持っているものを忘れて落とす
 
 
好きなことに夢中になると周りが見えなくなる。それがADHDの脳の特性です。
 
 
そして実は、怒ることで行動がエスカレートするという落とし穴があります。子どもはお母さんが大好きで、注目してもらいたいと思っています。お母さんが怒るという行動は、子どもにとって「注目してもらえた」という嬉しい出来事になってしまうのです。「あれだけ言ったのに」「またやった」と怒れば怒るほど、発達障害・ADHDの子どもはやめられなくなる。これが仕組みです。
 
だからこそ、怒らない適切な対応が必要なのです。
 
 

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3.物を大事にしない発達障害の子どもへの事前対策2つ

 
壊される前にできる事前対策を2つお伝えします。「怒らずに済む環境をつくる」という発想に変えるだけで、お母さんのストレスがぐっと減ります。
 
 

◆①壊されたくない物は隠しておく

 
発達障害・ADHDの子どもは不注意という特性のために、うっかり壊したり、自分の周囲にあるものにぶつかってしまいます。親の大切な物や高価な物は、できるだけ子どもの目につかない場所に隠しておくのが一番の対策です。環境を整えることは、子どもを責めることなく、お母さんのストレスも減らす最善策です。
 
 

◆②丁寧に扱えているときにすぐ褒める

 
発達障害の子どもが「いつも不注意」というわけではありません。周りを見て、壊すことを回避できることもあります。そのときを見逃さずに「注意できたね」「周りをよく見れたね」とすぐ褒めましょう。
 
褒めることで、周囲に注意を向ける行動が脳に定着していきます。できているときに十分に褒めることがポイントです。
 
 

4.すぐ物を壊してしまったときの親の対応4選

 
壊してしまった後は、「ダメでしょ」「ちゃんと見なさい」という抽象的な言い方では発達障害・ADHD傾向の子どもには伝わりません。ここでは「楽しく遊んでいたらテンションが上がり、おもちゃを力いっぱい投げて壊してしまった」場面を例に、具体的な対応4選を紹介します。
 
 

◆①一緒に現場検証

 
まず、すぐに怒らず静かに現場を眺めます。子どもも一緒に見ることで、自分が何をしたかを状況として把握させます。責めずに「見る」だけでいい。これが最初のステップです。
 
 

◆②自分で言語化

 
次に、優しく「このおもちゃ、どうなった?」と声をかけます。ポイントは優しく聞くこと。子どもが「壊れてる…」と自分で言葉にすることで、やってしまったことを自分ごととして認識できます。
 
 

◆③自分で対処

 
「そうだね、壊れたね。どうすればよかったと思う?」と質問します。「投げなければよかった」などと自分で対応方法を考えさせることが大切です。「そうだね、一緒に直そうか」と寄り添いながら実行します。
 
 

◆④褒める

 
最後に「自分で考えて直せたね」と褒めて終わります。自分で対応できたという達成感が自信につながります。頭ごなしに注意するだけでは、発達障害・ADHDの子どもはエスカレートするだけでやめられません。この4選を繰り返すことで、子どもは脳で学習し、少しずつ変わっていきます。
 
 
声かけを変えてから、息子は壊してしまっても自分から片付けるように。物を壊す回数も少しずつ減ってきました。
 

声かけBefore/After記録

状況 Before After 子どもの反応
おもちゃを投げて壊した 「なんで壊すの!またやった!」 「どうなった?」と静かに聞く 「壊れてる…」と自分で言えた
物を踏んで壊した 「ちゃんと見てないから!」 「どうすればよかったと思う?」 「置きっぱなしにしなければよかった」と自分で考えた
 
この対応を続けるようになってから、私自身の変化が先に起きました。怒ることが減り、冷静に対応できるようになったのです。息子が物を壊すこと自体は、すぐにゼロにはなりませんでした。でも、壊してしまったとき、息子が自分から片付けをするようになりました。そして少しずつ、物を壊す回数も減ってきています。
 
お母さんが対応を変えることで、子どもは自分で考えて行動する力を育てていけるのです。
 
 
 
 
物をよく壊す発達障害・ADHDの子どもへの対応を動画でもご紹介しています!
 

 
 

物をよく壊す発達障害・ADHDの子についてよくある質問(FAQ)

 

Q1:発達障害・ADHDの子どもはなぜすぐ物を壊すのですか?

 
A1:脳の特性「不注意」が原因です。故意ではなく、好きなことへの集中や衝動性により周囲が見えなくなるためです。我が家の息子も、楽しくなるとテンションが上がり力加減がわからなくなって壊してしまうことが繰り返されていました。怒っても改善しないため、事前対策と事後の対応を組み合わせることが大切です。
 
 
 

Q2:物をよく壊すADHDの子どもについ怒ってしまいます。どうすればいいですか?

 
A2:怒ることで逆効果になる場合があります。子どもはお母さんの注目を求めているため、怒られることで行動がエスカレートしやすいのです。我が家では「どうなった?」と静かに聞くだけで、息子が自分から「壊れてる…」と言えるようになりました。「現場検証→言語化→自分で対処→褒める」の4ステップで対応しましょう。
 
 

Q3:発達障害の子どもが物を大事にしないのはなぜですか?

 
A3:今の興味・関心が物への注意より優先される脳の特性があります。我が家では大切なものを子どもの目につかない場所に隠すだけで、トラブルがぐっと減りました。叱るより環境を整えることと、丁寧に扱えたときにすぐ褒めることを続けると少しずつ変化が出てきます。
 

執筆者:石井花保里
発達科学コミュニケーションアンバサダー

 
長男は幼い頃からよく動き、衝動的で、学校では怒られることが多い子でした。小学校4・5年生になると「学校に行きたくない」と言うようになり、相談機関に通っても解決せず、「この子の将来はどうなるんだろう…」と不安な毎日を過ごしていました。
 
発達科学コミュニケーションに出会い、「困りごとを減らす」より「好きなことを伸ばす」関わりに変えたことで、息子は少しずつ変化。現在、中学2年生の息子は、ロードバイクや釣りに夢中になり、友達に囲まれながら毎日を楽しんでいます。
 
幼児期に「落ち着きがない」「育てにくい」と悩むお母さんに、”やんちゃな男の子も好きから伸びる”という希望を届けたいと思い、発信しています。
 
 

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