発達障害でアスペルガー傾向の小学1年生の息子は、特に集中しているときに独り言が多いように思います。家の中では家族なのでいいのですが、同じ調子で過ごしていて、もし、学校で周りの子ども達に指摘され、本人が嫌な思いをしてしまわないかが心配です。
6歳・男の子のママ
発達障害でアスペルガー傾向の小学3年生の息子も独り言が多いほう。家ではいつものことなのであまり気にすることはないですが、学校でほかのお子さんから指摘されることを考えると不安ですよね。現在、私が息子と取り組んでいる方法についてお話しします。
発達科学コミュニケーション
リサーチャー 松尾歩
【目次】
1.発達障害でアスペルガー傾向の子どもは独り言が多い
子どもは自分の好きなことに対しては、大人が驚くくらいの集中力がありますよね。
我が家の発達障害でアスペルガー傾向の小学3年生の息子もそう。特に好きな遊びのときは、一人でぶつぶつと独り言を言いながら集中して遊んでいます。
最近の話です。宅配で届いた段ボールの箱を「使いたいから、捨てないで。」と息子が言ってきました。もう使うことはないので、私は「どうぞ。」と言いました。
数日後、「今日はこれをしよう!」と段ボール箱を持ってきて、「これから段ボールの家を作るから。」と工作を始めました。
「ここには窓作ろうかな?」
「大きくしたいからここを広げよう。」
「ここにガムテープ貼った方がいいか?」
「いや、破けそうだから…」
「他の段ボールで扉作ろうかな~。」
などと言いながら、自分の世界にどっぷりつかって、その状態を楽しんでいることがこちらにも伝わります。
毎日、家事などに追われてあっという間に時間がたってしまう私からしたら、時間の使い方がぜいたくでうらやましいくらいです。
しかし、一つ気になるのが「独り言が多い」ということです。家の中では気にならないことでも、学校での集団生活だと異なることってありますね。
本人の気付かないところで周りの人の迷惑になってしまい、それを指摘されることで嫌な気持ちをもってしまうかもしれない、と心配になるかもしれません。
嫌なことは大人も子どもも忘れにくいものですが、発達障害の子はさらに嫌な記憶が残りやすいので、お母さんが心配される気持ちもよく分かります。
そこで今回は、発達障害のアスペルガー傾向で独り言が多い子どもと簡単にできる効果的なトレーニングをお伝えします。
2.独り言が多くなるわけとは?
トレーニングの説明の前に、発達障害でアスペルガー傾向の子どもが独り言が多くなるわけをお話ししますね。
人は何かを伝えたいとき、言葉を使って伝えたり、文字で書いたりします。声を出して思いを伝えることを「外言(がいげん)」といいます。
「外言」と対をなすのが「内言(ないげん)」で、声には出さない自分の言葉です。
脳にはコミュニケーションを目的とした「伝達」を担当する場所があり、その部分が成長していくことで、他の人とコミュニケーションする力がついてきます。
その場所は、年齢が小さいうちは未熟ですが、年齢を重ね経験などを通して成長していきます。
小さいうちは脳も未熟なので、子どもがいろいろなことを外言してしまうことは多くなりますが、心配ないでしょう。
年齢が上がり、脳の成長に伴って余裕が出てくることで、外言から内言に移行していきます。
発達障害でアスペルガー傾向の子どもの独り言も、小学生低学年の時期まではゆっくりと見守っていてもいいと思います。
大人でも、疲れがたまった一日の終わりなどにぶつぶつ独り言が出ることがありますね。疲れて、脳がいっぱいいっぱいになり「外言」となるのです。口に出して言うことで脳への負担が減る効果があるのです。
3.独り言が多い子どもと一緒に実践したい簡単トレーニング
ここでは、発達障害でアスペルガー傾向の子の内言の発達に役に立つトレーニングをこれから紹介したいと思います。
とっても簡単な方法ですよ。
1.お子さんと手とつなぎます。
2.お母さんが1から20まで声に出して数を数えます。
3.その間、お子さんは目を閉じて声に出さずに一緒に数を数えます。
4.慣れてきたらお子さん一人で数えてもらいましょう。
一日一回でいいので、宿題を始める前など行動の切り替えのときに取り入れてみませんか?
この方法、独り言を減らす他にもいい効果が期待できるんですよ。それは、集中力を高めること、落ち着いて物事を考えられるようになること。
一つのトレーニングで、いろいろな効果が期待できるのはうれしいですよね。
我が家は、学校再開後から始めました。
初めて取り入れた日、息子には「宿題をする前におまじないしてみない?集中力が高まるって聞いたから、さっとできるかもよ。」と言って誘いました。
宿題後に感想を聞いてみると、「なんか集中できた気がする!」と言っていました。
それ以来、家で宿題をするときは、「おまじないしようか?」で始めています。数週間過ぎた今は、私と数えるのではなく「自分でできるよ。」と一人で行っています。
母としての感想は、宿題の量にもよるのですが、ドリルなどに関しては以前より時間が短くなっているように思います。
お母さんと一緒にする簡単トレーニングで、発達障害でアスペルガー傾向のお子さんの脳を楽しみながら発達させてあげてくださいね。
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執筆者:松尾歩
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)