発達障害の息子のために学ぶ!不登校となった姉が資格勉強にやる気スイッチが入ったわけとは―後編―

非行に走り、高校で不登校となった私の姉。後編では、現在の姉の仕事、エアロビインストラクターとの出会い、資格勉強のやる気を出し仕事とするに至った経緯。姉の経験から、発達障害の息子が好きな仕事に就くために、母ができることを探っていきます。

【目次】

 

1.高校で不登校となった姉が好きな仕事を見つけたきっかけ

 
 
子どもの将来が心配で、あれこれ指示を出し過ぎたり、怒り過ぎてしまって子どもとのコミュニケーションがギクシャクしてしまったということはありませんか?
 
 
前編の姉へのインタビューでは、幼児期に怒られ続け、非行に走り不登校になった姉の気持ちや二次障害への予防策を探りました。
 
 
 
不登校に至るまでの姉の話を聞いて思うことは、決して、私の両親が特別ではなく、将来を心配する親が、子どもの特性や感情に気付かずに取ってしまう対応なのではないかということです。
 
 
「あのときは一生懸命だった」と後から伝えても、時間は取り戻せません。
 
 
大切なのは「今」子どもが「どう感じているか」だと思います。
 
 
このインタビュー記事が、お子さんの気持ちを探るきっかけとなって、姉のような思いを抱く子どもがいなくなったらと思います。
 
 
今回は、親から逃れるように、結婚・出産をした姉が、その後どんないきさつで、好きなエアロビクスを仕事にすることになったのかをズバリ聞いていきます!
 
 
ここからは、姉妹の会話形式でお伝えします。
 
 
私:筆者
ちい姉ちゃん:筆者の2番目の姉
 
 

―――さっそく、エアロビクス(エアロビ)との出会いについて聞こうかな。

 
 
「上の子が2歳のときだから、22歳のときだね。お母さんに『一緒にエアロビ行こう』って誘われたのが出会い。」
 
 

―――お母さんは、ちい姉ちゃんが踊り好きだって分かってたんだね。それで、行ってみてどうだったの?

 
 
「もうめっちゃ楽しい、インストラクターがカッコいいって思った。」
 
 

―――それから、ずっとエアロビを続けていたんだっけ?

 
 
「24歳のときに2人目の子どもができたことが分かって、一旦辞めたんだけどね。面白かったから、もう一回やりたいなぁって思ってて。
 
それで、2人目出産から5年経っても体重が減らないし(笑)、子育てのゆとりも出てきたからジムでも行こうかなって。その行き始めたジムにエアロビがあったんだよね。」
 
 

―――それで、エアロビを再開したら、インストラクターになりたくなったってことかな?

 
 
「最初に見たときから、インストラクターがカッコいいと思ってたしね。
 
小学5年生のときに市のバトントワリングメンバーに選ばれたときや、中学でやってたバトントワリング部で、自分の振り付けを選ばれることが多かったことを思い出して…エアロビを続けるうちに、自分にもインストラクターができるんじゃないかなぁって思ってきたんだよね。」
 
 
 
 

➖➖➖

 
 
高校で不登校になった姉はすでに、小学5年生で「バトントワリングの振り付け」という得意なことを見つけていたようです。
 
 
ただ、当時は習える場所もなく、「人並み」を期待する親の目には、「バトントワリング」はスポーツではなく、遊びの延長のように映っていたのかもかもしれません。
 
 
しかし、「エアロビクス」に出会えたきっかけは、姉が踊り好きだということを母が覚えていたからでした。
 
 
長い時間がかかってしまいましたが、母が姉の本当に好きなことを分かっていたことが、今の姉の仕事につながったのです。
 
 
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2.資格勉強にやる気スイッチが入った理由

 
 

―――じゃあ、それからすぐにインストラクターの勉強をはじめたのかな?

 
 
「いや、ちょうど上の子が受験の年だったし、インストラクターの学校の受講費もかかるし、出費が気になって、なかなか一歩が踏み出せなかったんだよね。」
 
 

―――その一歩が踏み出せたきっかけが気になるね。

 
 
「子どもに受験や受講費のことを話したら、『自分がやりたいと思うならやれば?自分たちのせいで諦めたって言われるのは、嫌なんだけど。』って言われて。」
 
 

―――ちい姉ちゃん家は何でも話すから、子どもも意見をしっかり言えるよね。

 
 
「まぁね。パパもお金は気にするなって言ってくれて。でも極めつけは、子どもに『ほんとは勉強苦手だから、やらないんじゃない⁉︎』ってけしかけられたことかな。
 
この言葉で『やってやろうじゃない!』ってやる気スイッチが入ったからね(笑)それからは資格の勉強のために、家中に覚えるものを張って覚えて。それを見た家族が問題を出してくれたり、振り付けの課題を1日中やっていたりしてね。」
 
 

―――好きなことに対して、「やる気スイッチ」入るとすごいね!

 
 
「本当にね。自分がこんなに一生懸命にやれるなんて思ってもいなかったから、びっくりしたよ。教科書広げて調べながら勉強してる自分に酔いしれたね(笑)」
 
 

―――今まで、自分からやりたいと思ってやったことはなかったってことかな?

 
 
「そうだね。今まで全部決められたものしかやってこなかったね。『きっと○○(ちい姉ちゃん)には、これが合ってるはず』って言われてね。」
 
 

―――自分でやろうと思っていることに対しては、力を出すと。

 
 
「そう。自分がやりたいと思ったことには、こんなに頑張れるんだなって気付けたよ。根本的には頭良くて、出せる力持ってんじゃんって(笑)」
 
 

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なんと、姉は我が子によって「やる気スイッチ」をオンにされたようです。
 
 
 
 
たとえ、姉のように学校の勉強が嫌いだったとしても、勉強そのものが嫌いなわけではなく、好きなことに対しては一生懸命に勉強できるのです。
 
 
発達障害の息子も学校の勉強を嫌いだと言いますが、「知りたいことを知っていく勉強」は嫌いではないのだと思います。
 
 
子どもの本当に好きなことって何だろうと考えさせられました。
 
 
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3.今の両親への想い、姉自身の子育てへの想い

 
 

―――ずばり、今の両親へ、どんな感情を抱いてる?

 
 
親へ仕返しをしきって満足してるから、何かあったときには面倒を見てあげないといけないと思ってるかな。」
 
 

―――衝撃の答えだね。予想では、自分の子育てで親の大変さが分かって…なんて答えが返ってくるかと思ってたんだけどね。

 
 
「自分の子育て?全然大変じゃなかったもん。」
 
 

―――じゃあ、ちい姉ちゃんの子育てはどんな風だったの?

 
 
「とにかく自分とは真逆にしたね。朝は抱っこして2階から降りたし、勉強についてはとやかく言わなかったよ。学校のことを強制することもなかったし。
 
 

―――でも、怒ることもあったんじゃない?

 
 
「そりゃあ、怒ることもあったけど、これ以上言うと親と一緒になると思ってストップしてたよ。」
 
 

―――自分の経験が子育てに活かされてたんだね。

 
 
「そうね。だから、子ども達は、周りの友達が家に帰りたくないっていう時期でも、はやく家に帰りたくて仕方がなかったみたいよ。」
 
 

―――勉強のことも言われないし、居心地が良かったんだろうね。

 
 
「勉強については、上の子のときに、『勉強は小学3年生までしか分からんよ』って言っておいた。でも、下の子のときに、2年生までやったなって(笑)」
 
 

―――子ども達はなんて言ってた?

 
 
「『勉強聞いても分からないけど、うるさく言われなかったから良かった』って。」
 
 

―――でも、子ども達は勉強嫌いではないよね。

 
 
「なんでかね。勉強で分からない問題があっても、親には聞けないから、分かるまで先生に聞いてたみたいね。そこだけは、他の家はお母さんに聞けていいなって言われたけど、ごめんね~って笑っておいたわ(笑)
 
 

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私は、姉の両親に対する今の気持ちを聞いたときに、衝撃が走りました。
 
 
怒られ続けた子どもは、行き場のない感情を「親への仕返し=復讐心」に変えてしまうのです。
 
 
その感情から、非行などの行為に走ってしまうのは、精いっぱいの感情表現なのかもしれません。
 
 
姉と両親は、本当にいろいろなことがありました。
 
 
両親のやり方は姉には合っていなかったようですが、いつも一生懸命、姉に向き合っていたように感じました。
 
 
そして、姉もいろんな感情と戦い、両親へ復讐しきったと復讐心をなくすに至り、現在はお互いを気遣う関係を築けているのだと思います。
 
 
 
 
私自身、息子が発達障害であることを知る前は、担任の先生の指摘や周りの子と比べて、息子の普通にできない所を怒ってばかりいました。
 
 
今も変わらず怒り続けていたら、おそらく息子も姉と同じような感情を抱いていたでしょう。
 
 
もし、読者さんが、お子さんの癇癪に反応して怒ったり、お子さんの行動を否定してしまっているのだとしたら、お子さんの奥にある気持ちを考えて対応していきませんか?
 
 

4.発達障害の子どもの将来に不安を感じるお母さん達へ

 
 

―――子どもの将来に不安を感じるお母さんたちへメッセージを。

 
 
「子どもが嫌な感情を抱くのは、親が、親自身の幼少期・きょうだい・友達と比べたり、世間体を気にして必死になって自分の理想を押し付けたり託したりするときだと思います。
 
 
もし、子どもが道を外れてしまったとしても、よっぽどじゃない限り、どこかで戻ってくるので、優しく見守って、帰る場所を用意しておいてくれることが、子どもは何よりもうれしいものです。
 
 
子どもの将来は、お子さん自身の問題だと思います。
 
 
ただ、いいところを見つけて褒めてあげるだけでいいんじゃないでしょうか?
 
 
そうすれば、子どもが自然と将来について考えだすと思いますよ。」
 
 

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姉のメッセージはいかがでしたか?
 
 
今までの私は、子育てとは、子どもの幸せを願い、豊かに暮らすための答えを、自分の人生経験や多くの情報の中から探し、子どもを導くことだと思っていました。
 
 
しかし、私は、このインタビューを経て、子どもは導くものではないと思えた気付きがありました。
 
 
発達障害の息子が、将来好きなことで輝ける存在になるためのヒントが、今、子どもが夢中になって楽しんでいることの中に隠されているのではないかと思ったのです。
 
 
発達障害の子どもの将来のために、親ができることは、
 
 
・遊びも含め子どもが夢中になっていることを観察すること
 
・子どもの得意なところをたくさん見つけて声掛けすること
 
・子どもを肯定して自信を授け、子どもの心の成長を促すこと
 
・子どもが将来を考えるときに、コミュニケーションがとれる親子関係を築いておくこと
 
 
です。
 
 
 
 
そうすれば、子どもは自分自身で考える力を身に付け、親から巣立ち、自分の力で生きていきたいと思うようになります。
 
 
そして、子どもが自分で将来を決めた暁には、精いっぱい応援していきたいと思います!
 
 
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執筆者:依川晴美
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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