一筋縄ではいかない発達障害の子育て、お母さんの常識が通用せずにイライラしませんか?お母さんの許容範囲を子どもの行動に合わせて広げていけば、発達障害の子育てをラクに乗り切ることができます! |
【目次】
1 考え方は人それぞれ~あなたはどう思いますか?~
ゴールデンウィークも残りわずか。長いお休み、どこかへお出かけされましたか?
発達障害の子どもを育てていると、学校生活や園生活でトラブルがないか、お母さんはいつも心配ですよね。友だちとうまくやっているのか、先生のお話はしっかり聞けているのか、授業についていけているのか・・・
お休みに入ると、学校や幼稚園の心配から解放されてほっとしますよね。一方で、子どもと一緒に過ごす時間が長くなると、ついついできていないことが目に付いてイライラしてしまいませんか?
どうしてこんなにイライラするんだろう?もっと穏やかで優しいお母さんになりたいのに…ほかのお母さんならこんなことで怒らないのかもしれない…と思うこともあると思います。
同じ年齢の子どもを育てるお母さんでも、別の人間なのですからいろいろな考え方があって当たり前です。例えば食事。子どもが野菜を残してしまったとしましょう。
あなたなら子どもにどんな声をかけますか?
A「ダメ!全部食べなさい!」
B「1口だけ食べたらおしまいでいいよ」
C「食べてほしいんだけどな…まあいいか」
D「大きくなったら食べてね!今日はいいよ」
B「1口だけ食べたらおしまいでいいよ」
C「食べてほしいんだけどな…まあいいか」
D「大きくなったら食べてね!今日はいいよ」
あなたの考えはどれに近いでしょうか?この4つの選択肢、選ばなかったものも選択肢としては考えられますよね。このように、考え方が異なれば、同じようなできごとが起こったとしてもお母さんで声かけが違ってくるわけです。
好き嫌いなく食べてほしい、野菜は健康のために必要だ!という考えはもっともですし、そのうち食べられるようになるだろうとおおらかに構えるのもいいと思います。
ただ、絶対に食べなきゃダメ!よりも1口だけでいいから!の方が、1口だけでいいから!よりも食べられたら食べてねという気持ちの方がお母さんも子どもも気持ちが楽になりませんか?
「食べられたら食べてね」だと野菜は食べてもいいし食べなくてもいいんです。
絶対に○○しなさい!絶対に○○しちゃだめ!というのは理想に近いかもしれません。でも選択肢が限定されてしまい、お母さんがイライラしてしまうきっかけにもなります。
特に発達障害の子育ては一筋縄にはいきません。脳の凸凹によって得意と苦手の差が大きく、独特の感性を持っていますから、お母さんの辞書にはない行動をよく起こします。
そのたびにイライラしていると、お母さんのネガティブな感情が子どもに伝わってしまい親子の信頼関係が揺らぐことになりかねません。
「絶対に○○しなさい!」ではなく、
「○○できたらしてね」というように、
お母さんの許容範囲を広げることでイライラを手放すことができるのです。
「○○できたらしてね」というように、
お母さんの許容範囲を広げることでイライラを手放すことができるのです。
そして、お母さんがイライラせずにおだやかに過ごすことができれば、親子の信頼関係もスムーズになっていきます。
2 発達障害の子どもへのイライラはどこから来るの?
お母さんは子どもに対して「こうしてほしい」、「こうしないでほしい」、という希望を持っています。子どもがお母さんの希望に反する行動をとったとき、お母さんのイライラは多かれ少なかれ発生します。
イライラが大きければそのままドッカーン!と爆発してしまう可能性が高くなります。イライラが小さければイラっとしてもそのまま流しやすくなります。イライラの大きさは重要なポイントのひとつになります。
さきほどの野菜を食べないときの声かけから、イライラの有無や大きさを紐解いてみましょう。
A「ダメ!全部食べなさい!」
B「1口だけ食べたらおしまいでいいよ」
C「食べてほしいんだけどな…まあいいか」
D「大きくなったら食べてね!今日はいいよ」
B「1口だけ食べたらおしまいでいいよ」
C「食べてほしいんだけどな…まあいいか」
D「大きくなったら食べてね!今日はいいよ」
お母さんが「野菜は食べるべき!」と思っているのはAとBとCの選択肢です。つまり、野菜を食べない子どもに対してイライラしている可能性が高いです。
そしてAとBの選択肢については全部か一口かの程度に差はあれど子どもが食べたくないものを食べさせているわけですから、イライラは大きそうですね。
この4つの選択肢の中で、「野菜を食べない」という子どもの行動を許しているのはDの選択肢だけです。お母さんは子どもの行動にイライラせずにすむのです。
このように、子どもの行動に対してDの選択肢は「OK」、Cの選択肢は「だめだけどしかたない」と「許容」し、A、Bの選択肢は「NG」と言っているのです。
お母さんのなかで「OK」を増やせばイライラを手放すことができますし、「許容」を増やせばイライラが小さくなって子どもの行動を許すことができます。
お母さんの常識が通用しないことが多い発達障害の子育て。子どもをお母さんの理想に近づけるのではなく、お母さんが子どもの行動に合わせて許容範囲を広げていく方がイライラが少なくなるはずです。
3 自閉傾向のある子の場合は許容範囲の広げ方に注意! イライラを減らそうと思って何もかもOKしたり許容する必要はありません。
特に暴力や暴言などの他者の心や体を傷つける行為や公共の場でのルールに関しては「NG」にしておかなければ社会のルールと矛盾することになってしまいます。
発達障害でも、自閉傾向のある子どもは「いつもと同じ」が安心するタイプ。その場その場で対応を変えると混乱してしまいます。最初からしっかりとルールを教えていきましょう!
幼児のうちはお母さんの目が届くことも多いので、何かあればお母さんが間に入ればいいと考えるのもアリだと思います。
例えば、
・友だちと仲良く遊ぶ⇒OK
・集団から抜け出して1人でフラフラ歩く⇒許容、お母さんが対応する
・友達をたたく⇒NG
・道路に飛び出す⇒NG
・集団から抜け出して1人でフラフラ歩く⇒許容、お母さんが対応する
・友達をたたく⇒NG
・道路に飛び出す⇒NG
という風にある程度はお母さんがフォローすることを念頭に、子どもの興味やしたいことを優先させる!と決めれば、
どうして一緒に遊ばないの!?とイライラすることもなくなりますし、おおらかな気持ちで子どもの興味に寄り添うことができます。
お母さんの理想は理想として、自分と他者を傷つけず、社会のルールに反さなければ許容する、と考えたらお母さんのイライラも減るはずです。
一番大切なことは、発達障害の子どももお母さんもが笑顔で元気にのびのびと生活すること。野菜を残さず食べたり、友だちと上手く付き合ったりするのは二の次でいいんです!
お母さんが気持ちにゆとりを持って子どもに接することが何よりも大切です。ぜひ、お母さんの許容範囲を広げてくださいね!
執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)