春休みや夏休みの長期休み明け、ゴールデンウィークなどの連休明けに「学校に行くのが怖い」「教室に入りたくない」と不登校になる子どもが増えます。発達障害のある子どもはなおさら登校しぶりになりやすい!そんなときにお母さんにできることを紹介します。 |
【目次】
1.「教室に入れない。学校に行けない」気持ちになる理由
2.学校がどうして怖い?発達障害の感覚過敏とは?
3.学校でどんな配慮がしてもらえるか
4.学校に配慮をお願いするときのポイント
5.過敏に配慮して、学校で学ぶことができる状態に
1.「教室に入れない。学校に行けない」気持ちになる理由
冬休みや夏休み、春休みなどの長期の休み明けやゴールデンウィークなどの連休明けに「学校に行きたくない」と感じる子どもは多いのではないでしょうか。
例えば、新学年を迎えたときのことを思い出してください。4月にクラスや環境が変わり、子どもたちは環境の変化に頑張って対応していたのではないかと思います。
子どもが大きく崩れる事なく1ヶ月がたち、環境変化に対応できたとお母さんは感じて4月を終えた方もいらっしゃるでしょう。
しかし、ゴールデンウィークの連休後に、突然教室に入れない、学校に登校できなくなる子どももでてきます。
お母さんは今まで学校に行けていたのに「突然?」と思うかもしれません。学校に行けないわが子をみていると、どんどん不安になりますよね。
パステル総研では、これまでもさまざまな観点で学校に行けないときの対応についてお伝えしてきました。
4月は先生やクラスの友達がかわり、必死でその環境の変化についていこうと頑張っていました。
このように、もともと学校で頑張りすぎていたり、無理をしていて、長期休みや連休をきっかけに学校に行くのが怖くなってしまうということがあります。
原因は色々と考えられますが、本人も気づいていない場合もあり、学校に行きたくない理由はさまざまです。
例えば学校生活で、こんな気持ちを感じていたかもしれません。
「勉強が難しすぎる。授業が分からない。」
「友達と仲良くできない。きついことを言われる。」
「先生が怖い。みんなの前で怒られる。」
「次に何をしたらいいのか、自分だけ分からない。」
「ママと離れたくない。」
そして最も分かりにくいのは、発達障害の子どもにみられる感覚過敏が原因の場合です。
「学校はうるさい、くさい、すごく疲れてしまう。」
その辛さを、長いお休みの自由な生活で充電できる子もいます。一方で、十分にリフレッシュできず、休み明けの登校の日を絶望的な気分で迎えている子もいるかもしれません。

休み明けの登校する日を迎えたとき、色々な理由で「学校に行きたくない」と子どもが言ったら、まずは、子どもの顔と様子をよくみてください。
どんなに出発直前で急いでいても、怒らず、「何かあったの?」と子どもの気持ちを受け止める事を優先してください。
子どものつらい気持ちを聴こうとしてください。気持ちを受け止めてもらえることで充電できて、学校に行って頑張れる子もいます。
それでも学校に行けない場合は、緊急事態で助けが必要なのかもしれません。今回は学校に行けない原因が、感覚過敏の場合についてお話できたらと思います。
2.学校がどうして怖い?発達障害の感覚過敏とは?
発達障害の子どもには、体の感覚が人より敏感な、感覚過敏が多く見られます。
例えば、学校ではこんなケースが見られます。
・聴覚
椅子や机のガタガタした音に耐えられない。
音楽の授業の合唱の不協和音が苦しい。
・嗅覚
給食の臭いに耐えられず、気持ち悪くなる。
・触覚
体操服など化学繊維に痛みを感じている。
夏の日差しに他の子どもよりも肌に痛みを感じている。
・味覚
給食の食感や味に耐えられないでいることを、好き嫌いととらえられ、残さず食べるようにうながされている。
・視覚
問題用紙が白くまぶしくて、見にくい。
窓からの光がまぶしすぎる。
・前庭感覚
体育で回転刺激のある鉄棒やマット運動で、恐怖や気分の悪さを感じる。
まずは、つらい感覚過敏を軽減して、楽にしてあげる必要があります。つらさの程度は本人にしか分かりません。
また、感覚過敏はストレスによって程度が変わることもあります。学校が怖いと感じているなら、そのストレスで一層に過敏はひどくなる可能性があります。
同じ過敏でも、おうちにいるときよりも、学校にいるときの方がしんどさを感じているかもしれません。
我が家の長男が小学校低学年だったときのことです。ゴールデンウィーク明けから、徐々に感覚過敏が強くなり、学校を行き渋るようになりました。
学校に行きたくない理由をたずねると、「給食がくさい」「うるさい」「もう疲れた」と言いました。
発達障害の特性に感覚過敏があることを知らないと、ただ怠けて学校に行きたがらないだけに聞こえるかも知れません。しかし、その辛さは本人にとっては深刻なものでした。

3.学校でどんな配慮がしてもらえるか
感覚過敏でつらいとき、小学生低学年の子どもがどうしたら辛さが楽になるか、自分から言い出すのは難しいでしょう。

子どもが感覚過敏が原因でつらそうなときは、親が担任に相談し、配慮をお願いしましょう!
・聴覚
音楽の時間は、授業に参加できるか本人に聞いてもらい、辛ければ保健室にいけるようにしてもらう。
イヤーマフをお願いしてみる。
・味覚
給食が食べられないものばかりの日は、お弁当の持ち込みを許可してもらう。
・触覚
日差しが耐えられないときは、体操着は長袖、長ズボンにしてもらう。
もしくは、体育は本人に聞いて、見学を許可してもらう。
・視覚
窓側の席を避けてもらう。
カーテンを引いてもらう。
私の息子は、前述の過敏の多くを経験しました。そして、学校では担任の先生や校長先生に相談したところ、このように配慮を受けることができました。
4.学校に配慮をお願いするときのポイント
学校にお願いするときは、伝え方にポイントがあります。
まず、先生方に日頃の配慮への感謝を伝えることが大切です。
感謝がなく、要求ばかりされると、先生方もだんだんその保護者を怖くなってきます。先生と良い関係をつくっていくためにも、日頃の見守りや声かけへの感謝を忘れずに伝えていきましょう。
そして、なんとなく困り感を伝えるより、困っていることへの配慮を具体的に伝えることが必要です。
我が家では過去に校長先生に、給食の配慮をお願いしたことがあります。
最初は、「学校の給食では、偏食が強くてほとんどの物が食べられません。給食でご配慮いただけることは何かあるでしょうか?」というような伝え方をしました。
すると、校長先生に「どういうことでしょう?」と聞き返されました。
そこで、
「味覚の感覚過敏とこだわりが強く(①困っている特性)、
ほとんどの給食を食べることができません(②どんなときに困っているか)。
食物アレルギーでお弁当の持ち込みを許可されているお子さんもいるとお伺いしました。
食べられるものが何もない日だけ、お弁当の持ち込みは可能でしょうか?(③お願いしたい配慮)」
と言い換えてみました。
すると、快くお弁当の持ち込みの許可をいただけました。
①困っている特性
②どんなときに困っているか
③お願いしたい配慮
を具体的に伝えることで、支援の必要性を理解してもらいやすく、受け入れていただきやすくなります。

5.過敏に配慮して、学校で学ぶことができる状態に
登校しぶりの原因は、実際には複合的で、感覚過敏だけではないことが多いでしょう。まずは、何に苦しんでいるか、子どもと話しながら把握していくのがオススメです。
今回は感覚過敏に注目して、我が家で実際に学校にお願いした配慮も含めてご紹介しました。
感覚過敏で学校生活でつらい思いをすると、「またあのつらい思いをしなければいけないのか」と学校生活が不安なものとなっています。
いじめのような特別なエピソードがなくても、毎日学校に行き、そこにいるだけでとても疲労します。
「学校に行くと、とても疲れる」
過敏に苦しみ、その場にいるだけで精一杯な状態が続くと、徐々に登校しぶりになってきます。
「学校に行けない」「教室に入りたくない」と言われると、お母さんは焦って、なんとか学校に行かせようとするかもしれません。
しかし、過敏に苦しむ状態で、支援なく無理に学校に行かせても、疲弊して、その場で学ぶことは難しいですよね。

学校では安心して勉強したり、集団生活からたくさん学んだりして帰ってきてほしいと思います。
無理をさせて教室に戻れない状態にならないように、感覚過敏への配慮をお願いして、少しでも子どもが安心して学べる環境を用意してあげたいですね。
元気に学校へ行けますように。我が家での取り組みが少しでも参考になればと思います。
感覚過敏についてはこちらにも情報があります!ぜひチェックしてくださいね。
執筆者:森富ゆか
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)