もうすぐ梅雨がやってきます。発達障害のお子さんは雨が好きですか?苦手な子にとっては毎日しんどくなってしまうかもしれません。雨の多い台湾から梅雨を乗り切る方法をご紹介します。 |
【目次】
1 発達障害の子どもは梅雨の時期に不安定になる可能性大!
私は台湾で発達障害・自閉症スペクトラムと診断された5歳の息子を育てています。台湾に移り住んでから息子の発達障害が分かったのですが、言語の壁もあり、情報収集はもっぱら日本語で行っています。
発達障害の子どもを台湾で育てる際に大きく影響を受けるもの。それはなんといっても天候です。
1年中暖かい台湾…といえば聞こえはいいのですが、暑すぎる夏が長く、台風が来れば被害が大きくなります。そして1年を通してとにかく雨が多いお国柄です。
発達障害のお子さん、雨が好きですか?
雨の日はいつもと違います。傘をさし、長靴をはき、レインコートを着る。道が混むのでいつもより早い時間に出発することもあるかもしれません。
「いつもと同じ」が安心するタイプの発達障害の子どもにとって、朝のルーティンが変更になるのは一大事!
「どうして今日はこの時間に出発するの?」 「○○やりたかった…」 「いつもと同じ時間に行く!」
と質問攻めだったり、不安定になってしまったり、「いつもと同じがいい!」と言い張ったりするかもしれません。
発達障害で感覚過敏のあるお子さんにとっては雨そのものがつらくなります。気圧が下がって頭痛がしたり、湿気で気分が悪くなったりしてしまうというお子さんもいるのではないでしょうか。
また、レインコートのビニールの感触が苦手だったり、体に当たる雨の感覚がつらかったり、靴下や靴が濡れるのがイヤだったりするお子さんもいますよね。
感覚過敏のお子さんは雨が降るというだけで体調が心配です。
2 雨が続くと一番心配なのは「運動量」が下がること
雨が長く続くと外遊びができません。どうしても室内の遊びになり、ゲームやテレビに依存しがちです。朝の登園・登校もついつい車で…となっていませんか?
雨が降り続くことで心配なのは、運動量が下がってしまうことです。
発達障害のお子さんをお持ちのお母さん、お医者さんや心理士さんから「しっかり運動させてくださいね!」と言われませんでしたか?発達障害の子どもたちがしっかり運動する必要があるのにはワケがあります。
まず発達障害の子どもたちは体幹が弱く、姿勢が悪かったり体がくにゃくにゃしている子がたくさんいます。しっかり運動することで体幹を鍛え、筋肉を育てることが必要です。
脳の発達の観点からみても、大脳で運動機能をつかさどる「運動野」は人間で一番最初に発達する場所で、胎児期から発達していきます。この運動野を土台にして、認知や感覚をつかさどる分野が育っていきます。
ですから、脳の発達を加速させたいときもこの運動野を無視して考えることはできません。運動をしっかり行って運動野に十分な刺激を与え、脳全体の活動量を上げることはとても大切なことなんです!
子どもの発達を加速させたいけれど、何をしていいのか分からない…というお母さんには、まず子どもの運動量を上げることをおすすめするぐらい、運動って大切なんです。
が、雨が降り続くと公園に行けず、走り回れず、どうしても運動量が下がってしまいます。多動傾向のあるお子さんだと、静かにしていることが苦痛でストレスがたまってイライラしがちになるかもしれません。
3 雨の日を少しでも快適に過ごすためのお母さんの対応
発達障害の子どもを育てるお母さんにとって、雨の日は心配なことがたくさんあります。朝起きて雨が降ってるとお母さんの気持ちもどんより…
台湾は1年を通して雨が多いので、雨の日をどう乗り切るかは大きな課題でした。台湾に暮らして3年、試行錯誤の末にたどり着いた方法をいくつかご紹介します。
(1) あえて「いつもと同じ」を心がける
「いつもと同じ」で安心するなら、雨の日だからと言って行動を変えないようにしましょう。長靴や傘についてはイヤなら無理強いしないであげてください。我が家は嫌がったら普通の靴をはいて私と相合傘でいつもの時間に出発!遅刻も大目に見てもらっています。
(2) 濡れる前提で準備は万端に
何とか雨に濡れないようにと頑張るものの、結局濡れてしまうことがほとんど。服や靴が濡れてしまうと不安になるタイプなので、着替えはいつも準備。ハンカチタオルを本人に持たせ、気になったらすぐ拭くように教えると安心できました。
(3) 家のなかで運動できるように工夫する
運動量を少しでも上げるために、とにかく動くようにしましょう。家のなかでもキャッチボールやサッカーはできます。家具が壊れないように、ボールはビーチボールがオススメ!なわとびやラダーを使ったトレーニングもできます。手押し車や動画を見ながらのダンスだとモノを使わずにすぐにできますよ。
もうすぐ日本にも梅雨がやってきます。お母さんの対応で雨の日を少しでも快適に過ごせるようにしましょう!ぜひ参考にしてくださいね。
執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)