発達障害の子は強いこだわりを持っている子が多いですね。こだわりが目立たない子の場合でもマイルールが障害となって困っている子もいます。今回は個性的な目立たないこだわりから抜け出せない発達障害の子への対応法をお伝えします。 |
【目次】
1.子どものこだわりに気づいていますか?
○○しなきゃいけない、やらなきゃ気が済まない!と、発達障害、特に自閉症スペクトラム(ASD)傾向の子どもの多くは、子どもなりの変えられないこだわりをもっていることがあります。
しかし、時にはそのこだわりがあるにもかかわらず、周りから見えにくい、分かりにくいこだわりのある子もいます。
大人からすると、どっちだっていいと思うようなことに実はこだわっていて、1人嫌な気分になっていたり、イライラしていたりすることもあるのです。

わが家の娘もASD傾向がありますが、一般的に言われるような勝ち負けに執着するといった目立ったこだわりはなく、こだわりによって癇癪を起したり、八つ当たりするという行動もみられませんでした。
そのため、私も娘のこだわりがあることをそれほど気にも留めていませんでした。しかし、実際に娘独自の個性的なこだわりを持っていたのです。
・寝る前には家中の戸締りを一通り確認しないと寝られない
・出された宿題はどんなことがあってもやる
・学校で正しいと言われたことは絶対に守らないといけない
一見、そのこだわりを実行していたとしても、周りが困ることは何もありません。
しかし、子どもはそのルーティンが守られない状況が起きると、イライラしたり、落ち着かなかったり嫌な気分がするという日常生活がうまく進まないという障害になることもあるようです。
2.なぜ発達障害の子はこだわりが強くなるの?
そもそも、なぜ発達障害の子どもは強いこだわりをもっているのでしょうか?
発達障害ASDの子は先の見通しが立たないことが苦手です。 この先何が起こるかが分からないことで不安になってしまうのです。
これは逆に返すと毎日繰り返される当たり前のこと、ルーティンだと安心できるということになります。
したがって、普段の自分の当たり前をくずさないようにすることにこだわりを持ってしまうのです。
また、失敗することも発達障害の子にとっては大きな不安の1つです。
○○して失敗したらどうしよう、うまくいかなかったらどうしようと先に心配するあまり、挑戦しない方法をとるのです。
そのため挑戦をしないでルーティンをこなす事には安心して行動することはできますが、ちょっとした変化に違和感をもってしまうのです。
そうした不安を収めるために儀式としてやるということもあるこだわり。 これをやらなきゃいけない!という思いが強すぎてしまうと、そのことにとらわれてしまい日常生活に障害となることも心配です。
子どもにとって、ママや周りの家族はどうしてあげることがよいのでしょうか?
3.こだわりが日々の障害とならないためにお家でできる簡単な対応
私としては、そんなことどうでもいい、という考え方もあるということを知ってもらえたらと思っています。
もちろん、子どもが大事にしているルーティンは周りや本人に困ったことがなければ、個性の一つとして無理にやめさせることもないかとは思います。
けれども、こだわりから、これだけはやらないと気が済まない!という脅迫観念になってしまったり、不安を増幅させたりすることだけは避けたい。
そんな気持ちで私がとった行動は、ママが失敗や適当さをじゃんじゃん見せることです。
今日はカレーを作ると宣言しておいて、カレールーを買うのを忘れてしまう。それで今日は肉じゃがにしました~と開き直る。
いつもの朝はパンにコーヒーだけど、パンを買い忘れちゃったから今朝は卵かけごはんにしよっかな~といつものルーティンを平気な顔をしてやめる。
そうして、
「まあ、いいじゃん。失敗しても死なないし」
「いちいち気にしてると時間がもったいないじゃん、さあ、切り替え、切り替え!」
とあっけらかんとする様子を見せつけるのです。

子どもは拍子抜けしてしまうでしょうし、最初はこだわりから居心地の悪さのようなものも感じるでしょう。
けれども、普段からママがこの調子でいることで、「ま、いいか」「仕方ないよね」ということが子どもの中で選択肢として追加されます。
とにかく、まわりがこだわらない。 わが家では「ま、いいか」そして「失敗しても死ぬわけじゃあるまいし」をよく使うようになりました。
そのせいか、子どももうっかり宿題のノートを忘れて帰ってもイライラすることなく、「ま、いいか、しょうがないね」と言えることが増えました。
さらに、忘れた宿題の代わりに違う課題を提出するという代替案も自分から考えられるようになってきたのです。
子どもは周りの環境に影響を受けて育っていきます。
家庭のルールはもちろん大切ですが、ママや周りの大人がそのルールをきっちり守ることに必死になってしまうと、子どもはその影響を受けてルールは絶対になってしまう可能性もあります。
こだわりのある子にはあえて、「ま、いいか」という選択もできるということを普段の生活で伝え、気持ちを楽にしていってもらえたらいいですね。
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執筆者:井上喜美子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)