発達障害グレーゾーン・不登校の子どもの「通知表ショック」を乗り越えよう。明るい未来を始めるための方法は、ズバリ〇〇に関する思い込みを捨てること!~中学生編~

 

中学生の子どもの「通知表」。評定や所見は様々であり、進学を考える発達障害グレーゾーンで不登校の親子にとっては辛いもの。親子の苦しみの軽減には、気持ちを切り替え、学びの場と進学に対する選択肢を拡げることが有効です。悩むより、まず行動です。
 

【目次】

 

1.「通知表ショック!」の正体

 
 
夏休みを心待ちにするのは不登校の生徒も同じです。「学校に行かない・行けない」ストレスから解放される夏休みを一番心待ちにしているのは、彼らかもしれません。
 
 
しかし夏休みを前に、不登校の子どもにも、気が重い「通知表」が待っています。
 
 
小学生の通知表は、斜線だらけだったり、「未」と書かれていたり…学校によっても先生によっても異なっていました。中学生の通知表は、高校受験の際の「内申書」を意識して作成されます。
 
 
不登校の中学生の通知表ですが、基準や決まった書式はありません。しかしながら、教室で授業を受けていないという理由で教科評定は極めて低いものになる可能性があります。
 
 
「評価不能」
「オール1」
「1と2のオンパレード」
 
 
「覚悟はしていたけれど・・・」でも、実際に目の前に突きつけられた現実に、親子共々動揺してしまう・・・。
 
 
高校受験のありかたは都道府県によって異なりますが、「内申書」1・2年の成績も必要な地方もあります。そのため、「不登校→進学できない→将来は?」と親子共々大きな苦しみに襲われるのです。
 
 
しかも、これまでのネガティブ経験の蓄積により、親子共々ストレスに弱くなっています。
 
 
特に、不登校でも自宅で勉強を続けプリント類は提出。教室の決められた時間では受けられなかったけれど定期試験はがんばった!そんな子どもにとっては、がんばった分だけショックも大きいというもの。
 
 
「こんなことではダメでしょう。やっぱり学校に行かないと・・・」こんな言葉は、飲み込んでください。
 
 
何らかの理由で不登校状態の子どもはすでに心が傷ついています。そこに、お母さんの感情的でネガティブな言葉は傷口に塩を塗る様なもの。
 
 
思春期の発達障害・グレーゾーンの子どもの場合、生まれつきの特性に、思春期独特の特徴が加わって劣等感に悩んだり、時には自暴自棄になってしまいます。
 
 
だからこそ、通知表を手にした時のお子さんの「通知表ショック」を軽減するために、お母さんは心の準備が必要なのです。
 
 

◆〜通知表をお子さんに見せる前に、考えてほしいこと〜

 
 
①お子さんはどう反応すると思いますか?
冷静に受け止められる or ショックを受ける
ショックを受けるのならばどの程度?
 
 
②お子さんの反応に対して、お母さんはどう対応されますか?
・落ち着いて対応できますか?
 
 
 
 

2.お母さんの「通知表ショック」を克服するには、視点を変えましょう。

 
 
「このまま不登校のままだったらどうなるの?」「受験どうなるのかしら?」 お母さんの不安は、高校受験のことに大きく占められていませんか?
 
 
しかし、一番大切なことは何でしょうか。
 
 
そう、お子さんの身体と心の健康です。これが一番大切なこと。
 
 
そのためには、お母さんがまずお子さんの「通知表」を冷静に受け止めて対応してあげてください。お母さんが動揺すると、お子さんはさらに動揺します。
 
 
そこに、お母さんのネガディブな波動が伝わると、お子さんはさらに精神的に不安定になり、そのお子さんを見てお母さんがさらに不安になる。そんなネガティブ・スパイラルは断固ストップ!
 
 
お子さんの人生はまだまだこれからです。不登校を嘆くより、この経験をお子さんの「人生の糧」と捉えてみませんか?
 
 
 
 

3.発達障害グレーゾーンで不登校のお子さんの選択肢はたくさんあります。

 
 
お母さんの知っている「高校イメージ」や思い込みを手放して、お子さんの才能や可能性に目を向けましょう。
 
 
発達特性をもつお子さんは、苦手なことがある分、素晴らしい才能と大きなパワーを秘めているのです。今の学校生活の中で、その才能はまだ花開いていないかもしれませんが、お母さんだけは信じてあげてください。
 
 
内申書がオール1でも、お子さんが学びたいという気持ちを重視して入学できる高校・専門学校が増えてきています。
 
 
自分のやりたいことをしながら学ぶスタイルもあります。例えば起業したり、eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)で活躍したり、アニメ・音楽などなど大好きなことを学びながら高校を卒業して、活躍している人はたくさんいます。
 
 
不登校の経験を生かして、精神科で活躍しているお医者さんや学校の先生もいらっしゃいます。通信制高校で学んだり、大検(現・高等学校卒業程度認定試験)を受けたりして東大に合格している人もいます。
 
 
大学・専門学校で学んだり、プロ修行したりした後に、夢を実現した人、夢に向かってがんばっている人たちも大勢いるのです。
 
 
大切なことは、お子さんの「好き!」「やってみたい!」という心のエネルギー。
 
 
お子さんの心のエネルギーが貯まるように、お母さんがまずこの通知表ショックをうまく乗り切ってくださいね。
 
 
 
 

4.お子さんの気持ちを受け止めてあげましょう。ただ、聞いてあげればいいのです。

 
 
通知表は、今通学している学校の先生が分かる狭い範囲でのお子さんの評価です。お子さん自身の評価ではありません。
 
 
だからお母さんがお子さんを信じて、そして行動しましょう。
 
 
お子さんが通知表を見たとき、お子さんのどんな反応も冷静に受け止めましょう。言葉に困ったときは「そうだね。」で切り抜けて。
 
 
「これ、何だよー。」 「そうだね。」 「こんなもの、いらない。」「そうだね。」
 
 
思春期の子どもは、自分の気持ちを素直に表現するのは苦手です。お子さんの揺れる気持ちを受け止めてあげることも、とても大切なことなのです。
 
 
「何言ってるの、このままだったら高校どこも行けないよ。」
「2学期はちゃんと学校へ行きなさいよ。」
 
 
こんな声かけはNG!お説教は不登校問題解決を長引かせるだけです。そんなこと、分かっているから苦しいのです。
 
 
「オール1なんて通知表、ちょっとやそっとで貰えないから、記念にとっておこうよ」 なんてユーモアで対応したツワモノのお母さんもいらっしゃったとか。
 
 
可能ならば、 「あなたの話、いつでも聞くよ。」「聞かせてね。」 そんな言葉を付け加えられたらいいですね。
 
 
親子の信頼関係が盤石なものならば、この不登校の経験は絶対お子さんの人生の「糧」になること間違いなしです!
 
 
経験者が語るのですから、本当です。私の息子は傷ついた分だけ自分の人生を真面目に考え、毎日がんばっています。
 
 
 
 

5.さあ、行動しましょう。できればお子さんもご一緒に。

 
 

◆①不登校中の学びの場

 
 
今、学びの場が増えていることはご存知ですか?
 
 
1992年以降、通学されている中学校の校長先生の判断で、フリースクールも出席扱いにすることができるようになりました。
 
 
塾に行かなくても、デジタルコンテンツを使えば、学年に関係なく学習することが可能です。学びの場も、学び方も、今は多くの中から選択できる時代なのです。
 
 
お子さんが、今、学習上の悩みを感じていたら、「試してみたら?」(×「やりなさい」)と、声をかけるのも悪くないかもしれませんね。
 
 
発達特性のある子どもは、最適な学び方も個性的であるように感じます。中学校だと画一的な学び方に偏りがちですが、不登校だからこそその子の特性に合わせた学び方ができるのです。
 
 

②卒業後の進路について

 
 
まず、通信制高校なども含めて資料を取り寄せられたらいかがでしょうか。一度、インターネットでお調べいただくと、驚かれると思います。
 
 
学びのスタイルもカリキュラムも個性的な学校がたくさんあります。クラブや課外活動が盛んな学校も少なくありません。海外留学のカリキュラムを持つ学校もあるほどです。
 
 
通信制であるからこそ、傷ついた経験のある生徒への配慮がある学校も多くあります。発達特性や心の問題に理解のある先生を多く配置されていることも!感覚過敏などの問題にも、全日制高校では難しい配慮をしてくれる学校もあります。
 
 
できれば資料を取り寄せ、お子さんの心の傷が外出できる程度にまで癒されているのであれば、旅行をかねて通信制高校を見学に行かれるのもオススメです。
 
 
 
 
パンフレットを取り寄せて、ご覧になるだけでも、結構楽しいですよ。
 
 
中2の2学期から不登校だったある女の子は、行きたい高校ができた途端に自宅学習を始め、高校進学後は通学型の広域制通信制高校に毎日通学しています。
 
 
親元を離れて地方の島へ進学したお子さんは、自然に囲まれた環境と温かい村の人たちとの交流の中でだんだん元気になっていったと聞いたこともあります。
 
 
大切なのはお子さんの気持ちです。お母さんがあれこれ話したいのをぐーっとこらえることが大切です。
 
 
お子さんも自分の心情を伝えることはとても難しいと思います。だから、そのときまで、優しく待ってあげてくださいね。ここにお子さんの成長があるのですから!
 
 
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執筆者:青山明生
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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