夏休み明けの2学期初日は辛い日かもしれません。発達障害・グレーゾーンの子どもには、夏休み後半から、特性由来の特有のSOSサインがあります。そのサインを見逃さず、お子さんのストレスを減らしてあげましょう。早期発見・早期対応が大切です。 |
【目次】
1.だから準備が必要なのです。2学期初日は「学校へ行く・行きたくない」の葛藤で子どもの心の揺れがMAXになる日
2.思春期の発達障害・グレーゾーンの子どもの場合に考慮しなくてはならないことが・・・
3.子どものSOSサインを見逃さない!発達特性のある子どものSOSのサインはコレ!
4.こんな時にもがっかりしない。「まっいいか。」で乗り切りましょう。
1.だから準備が必要なのです。2学期初日は「学校へ行く・行きたくない」の葛藤で子どもの心の揺れがMAXになる日
夏休みも残りわずか。お子さんは学校の再開を心待ちにしていますか?それとも表情が冴えず、ため息をついていますか?
今年はゴールデンウィークが長かったため、夏休みが短く、8月末から2学期が始まる学校も多いようです。
この夏休み最終日と2学期初日のこの2日間、「学校に行くのがイヤ!」な子どもにはとても辛くて長い日なのです。
ほら、昨年も「学校へ行きたくないあなたへ」等のメディアによる大々的なキャンペーンがありました。覚えていらっしゃいますか?
平年ならば、2学期が始まるのは9月1日。
この日は自ら命を絶つ子どもの数が1年で突出して多い日。つまり耐え難いほどの辛さを抱えているという「学校へ行きたくない」子ども達がたくさんいるということなのです。
最悪の選択をしないまでも、学校ストレス(学校生活に起因するストレス)でひどく心が傷ついてしまった子には「学校へ行きたくない」「行かなきゃダメ?」「もうイヤだ」の葛藤は、もがいても這い上がれない蟻地獄のようだと表現する子もいます。
かつて、不登校を経験した人が、9月1日を振り返ってこう言っていました。「夏休みも終わりに近づくと、1学期の悪夢が頭の中をぐるぐる回り、2学期にも『またこうなるんじゃないか』『こうされるんじゃないか』とあれこれ想像して苦しんでいた」と。
だからこそ、2学期初日に元気に登校できるためにも、また何らかの登校しぶりがみられた場合に、お母さんがその状況を冷静に受け止めて対応するためにも、お母さんの心の準備が必要だということになります。
2.思春期の発達障害・グレーゾーンの子どもの場合に考慮しなくてはならないことが・・・
夏休中さまざまな学校ストレスから解放されていたお子さんにとって、夏休みが終わるということは、また辛い生活が始まるということ。
夏休み前に様々な学校ストレスに耐えながら「もう少しで夏休みだから」とがんばっていたお子さんにとって、夏休みはそのストレスから解放される時間でした。
しかし、夏休みが終わるということは、そんなほっとできた毎日も終わるということ。そして、あの辛い生活が始まるのかという、不安と失望感に襲われてしまうのです。
大人からすれば「たいしたことがない。」「みんなそうだろう。」と思われることであっても、心に傷を負った子どもには耐えられないほど辛いのです。
思春期の子供の脳は大人に比べて、感情が不安定で、ストレスに弱く、不安感も強い上、我慢が苦手という特性があります。
しかも、過剰なストレスが長く続くと、いろいろなことを冷静に考えられなくなり、トラウマ化しやすいことも医学的に分かっています。
脳の発達がそうなのだから、しょうがないというしかありません。大人の客観的なものの見方と、子供自身が感じている感覚とは天と地ほどの差があるのです。自分ではどうしようもない部分なのです。
さて、発達障害・グレーゾーンの特性を思い出してみてくだい。
ストレスに弱い、不安感が強い、衝動性がある・・・などなど、「あれ、重なっている・・・」と思いませんか?
発達障害・グレーゾーンのお子さんの思考と言動を思春期の脳の特性 × 発達特性 で推し量ってあげて欲しいのです。
例えば、何気ない「夏休みの宿題終わったの?」とのお母さんの声も、2学期が始まるのが怖いお子さんにとっては、「学校が始まるぞー」という悪魔の囁きにしか聞こえないかもしれません。
独特な認知と言語表現をする自閉症傾向の子どもの場合、
「宿題を終わらせる=学校へ行く準備=学校へ行く」
「学校へいきたくないから宿題をやらない」
という論理も成り立ってしまうのです。
3.子どものSOSサインを見逃さない!発達特性のある子どものSOSのサインはコレ
不登校の初期、登校しぶりの段階では、身体の不調(頭痛・過敏性腸症候群・腹痛・吐き気・だるさ)を訴えることが多くあります。
体調不良はまず病院の診察を受け、どこも悪くないことを確認することが大切です。しかし、夏休みの終わりの時期だと、登校しぶり? 夏バテ? よく分からないことも少なくありません。
発達科学コミュニケーション(発コミュ)を学んでいるお母さんは、
×「どこも悪いところはなかったじゃない。」
○「どこも悪いところがなくてよかったね。」
とお子さんを傷つけない対応をされ、お子さんに何か心配ごとや不安など、心のストレスがないかとお考えになると思います。
ところで、発達特性のある子どもの場合、ものすごく分かりやすいSOSサインがあります。
そのサインとは、発達凸凹が強く現れ、困りごとの程度と頻度が増えること。つまり、できていたことができなくなり、こだわりや衝動的な言動が増えてくるのです。
ある注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向の男の子は、お片づけが苦手でした。夏休み前半までは、自分でお片づけが何とかできていたのに、夏休みが終わりに近づくにつれ、声をかけてもなかなかお片づけができなくなってしまいました。
感覚過敏をもつお子さんの場合には、苦手な感覚がさらに鋭敏になることがあります。お子さんが、苦痛を訴えずとも本人の仕草で分かります。
例えば眩しさが苦手な視覚過敏の子どもの場合には、ストレスがたまるとより眩しさを感じ、外出を嫌がったり、カーテンを開けることを拒んだり。こんな様子からもお子さんの心のSOSサインを推測できます。
思い出してください。
発達特性のある子どもたちの困りごとは、
発達特性 × 環境 で決まることを。
夏休み中、お子さんが適切に配慮された環境、つまりストレスが少ない自宅にいたので困りごとは減っているでしょう。
しかし、夏休みが終わりに近づくにつれて、学校が始まるというストレスが溜まってくると、精神的に不安定になり、問題行動や困りごとが増えてくるのです。
4.こんな時にもがっかりしない。「まっいいか。」で乗り切りましょう。
今までできていたことができなくなったことで、お母さんの心中は複雑でしょう。困りごとを1つ1つ克服するために、お母さんが発コミュ流の対応を学び努力されていたのですから、がっかりされるのも当然かもしれません。
感情的に叱ることは我慢できても、やっぱりお母さんの本心は悲しい。
でも、安心してください。ちゃんとお母さんの愛情は伝わっています。こんな状況も冷静に対応できるのが発コミュの学びなのですから。
そう、お子さんは今、ストレスが溜まっているので、自分のことで精一杯。自己肯定感も下がり、自信を失っている状態なのです。お子さんも心の平穏をとりもどせば、またいつものお子さんに戻ります。
この心の葛藤が、お子さんの成長を加速させるのですから、ここは温かい目で見守ってあげてくださいね。
ご自身の対応に自信を持って、お子さんとお子さんの成長を信じてください。今、一時的に増えてしまった困りごとは「まっいいか。」と笑顔で乗り越えましょう。
「まっいいか」は魔法のことば。お子さんの困った行動に対してかき乱されたお母さんの心をなだめてくれます。
こうやって、お母さんが自分の心を落ち着かせて、お子さんの複雑な感情に寄り添ってあげましょう。そうすれば、お子さんの不安は少しずつ軽減されて、いつものお子さんに戻っていきます。
執筆者:青山 明生
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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