東京都西東京市の公立小学校では、発達障害・グレーゾーンの子どもの困りごとに合わせ普通級に通いながら支援を受けることのできる特別支援教室を設置しています。今回は、この特別支援教室についてお話しをしていきたいと思います。 |
【目次】
1.東京都西東京市の公立小学校に設置されている特別支援教室とは?
2.発達障害・グレーゾーンの子どもが特別支援教室において受けられる支援内容とは?
◆学習面での苦手を支援するL教室について(ラーニングのL)
◆集団やコミュニケーションの苦手を支援するS教室について(ソーシャルのS)
3.どのようにして申し込みを行うのか?
4.特別支援教室の説明会を受けての想い
1.東京都西東京市の公立小学校に設置されている特別支援教室とは?
近年、西東京市内でもうなぎ登りに増えている発達支援を必要とする子どもたち。
今回は、私が先日、西東京市内の公立小学校における特別支援教室の説明会に行った時のお話しをします。
西東京市においては、特別支援教室はL(エル)教室・S(エス)教室の2つがあります。L・Sどちらの教室も共に子どもの困りごとの一部を支援することを目的としています。
普段は普通級に在籍しながら、週の1単位や、1日を特別支援教室で過ごすというものです。
今回はこの「特別支援教室」について解説していきます。
2.発達障害・グレーゾーンの子どもが特別支援教室において受けられる支援内容とは?
西東京市の公立小学校における、L・S教室それぞれについて説明していきます。
◆学習面での苦手を支援するL教室について(ラーニングのL)
L教室は、学習面についての指導を目的としており、一人ひとりの子どもに合わせて、集団ではない落ち着いた環境の中で教員と学習することができます。
例えば、計算は得意だけど文章問題が理解しにくい。手先を使う作業が苦手。など、子どもの特性に応じた内容の課題でやり方を身に着けていくことができます。
勉強を教えるというよりは、学習の考え方や、進め方を身に着けるための指導ととらえたほうが良いと思います。
支援を受けるためには、西東京市の教育委員会の審査があり、申し込みはいつでも可能ですが、審査にはかなりの時間が要するとも言われています。
受け入れは年に2回となるため、早めに動くのがよいかと思います。
L教室の指導においては基本1年、長くても2年を目安としています。
指導時間は週に1回、1単位45分となり、特別支援教室の先生方が各小学校を巡回して指導します。
1回の流れですが、初めに1単位45分間の見通しを立てることから始まります。その後は子どもの苦手や特性に合わせた個別課題を取り組み、最後に課題に対する子どもが身に着けたい力の振り返りの時間を持ち終了となります。
西東京市は教師の巡回制度をとっているので、普段学んでいる自分の小学校で支援を受けることが可能になります。
◆集団やコミュニケーションの苦手を支援するS教室について(ソーシャルのS)
S教室は、自分の気持ちを言葉にしたり、表現力を育てたりする社会性や、他者とのコミュニケーションを学ぶことを目的としています。
基本的には、小学校卒業まで通うこととなり、俗にいう『通級』と呼ばれるものです。
在籍校は自分の住んでいる学区域の小学校になりますが、週に1日を西東京市内の何校かに設置されているS教室に子どもが通学します。
教員2、3名に対し、生徒が6名から13名くらいで1日を過ごします。
この際、小学校1年生から6年生までが混在し縦割りで行われます。
週に1日を学区域の子どもが設置校に通学するという制度は西東京市が独自で行っているスタイルとなり、小集団(5名から10名前後)で指導を行うことで空間認識や、聴覚過敏に配慮しています。
S教室もL教室と同様に、支援を受けるためには事前の審査が必要となります。こちらも申し込みについてはいつでも可能ではありますが、審査に時間を要するため早めに行動することが良いかと思います。
S教室の1日は朝の通学から4単位時間と給食後までの指導時間になります。
S教室で学んだ日は給食まで終えたら、現時点では在籍校に戻って5時限目からの授業を受けるか、帰宅するかの選択が可能です。
ただし、どちらも親の送迎が必要となります。
大人数の集団ではないですが、実際の学校生活に近い形で学ぶことができ、なおかつ子どもの苦手に配慮された中で過ごすことができます。
こちらのS教室では、人間の基本としてまず健やかな5感を育てることが大切に考えられており、その育った5感の上にもっと高度な感覚を積み上げていくことを重要視しています。
S教室で過ごす1日の流れですが、朝の支度の表を見て自分で全て行うことから始まります。
大体、1時限目は体育でスタートすることが主です。この体育は普通の小学校の体育とは異なり、体を動かすことを目的としています。
例えば、体操やサーキットという内容になります。
2時限目からはコミュニケーションやスキル、言語を学び、4時限目は子どもの特性に合わせた課題別学習の時間となります。
この課題別学習は大体生徒が2名前後でスキルの習得や自己理解等を学ぶ時間になります。
その後は給食の時間となり、ここでも自分が受け取る給食の量を自分で決め、給食係の人に言葉で伝える練習が行われています。
下校の会では、自分と他人とを振り返る時間が設けられており、周りのことも見られるような視野を育てることが目的とされています。
S教室に通う子どもは普段、学区域の普通級に在籍しています。
S教室に通うため普通級の抜けた1日に関しては、出席しなくても、さほど支障のない授業を普通級で行うような配慮がされています。例えば、週に1回程度しかない専科(図工・音楽・家庭科等)の授業は行わないなど。
抜けた時間に関する普通級のフォローについては、残念ながら決まりはなく、在籍校の普通級の担任の先生の考え方によるとの見解です。
3.どのようにして申し込みを行うのか?
L教室に関しては、担当教員や特別支援教育コーディネーターに相談します。
S教室に関しては、入学前より申し込みが可能です。その際も担当教員や特別支援教室コーディネーターに相談し、就学相談員に申し込む形となります。
但し、前にもお話しをしたように、支援を受けられるかの審査があります。
そして、審査には時間がかかること、審査が通らない場合には支援がない状態での普通級で学ぶことになる可能性があります。
少しでも子どもに気になることがある場合には早めに相談することをお勧めします。
4.特別支援教室の説明会を受けて
発達障害・グレーゾーンの子どもがいるお母さんにとっては、就学に関しては大問題ですよね。
幼稚園の頃には、苦手なことがあっても手厚い指導で先生方がフォローしてくださっていたかと思います。
しかし、小学校は違います。自分で行動しなくてはならない場面も多く、先生が教室に居ない時間もあります。
そういったときに、我が子の苦手なこと、特性をどのように補ってあげるかが重要になってきますよね。
発達支援というのは、低年齢であればあるほど定着がスムーズであり、早くから必要な支援を受けた子どもの伸び幅も変わってきます。
また、高学年になればなるほど友達関係も複雑になってくるので、友達と別の環境に身を置くことを嫌がる子どもも増えてくるのも事実です。
まずは、我が子をしっかり観察し、苦手や特性を把握することから始めませんか?
心配事があれば後回しにせず、早めに支援の見極め対応をしてあげることが大切です。
適切な支援を受けることができれば、子どもは快適な学校生活を送ることができます。
東京都西東京市のこの情報が一人でも多くの方のお役に立てることができたら幸いです。
お子さんの快適な小学校生活を心より応援しています!
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執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)