子どもが車の臭いを嫌がって、車に乗りたがらない。それ、感覚過敏の一種「嗅覚過敏」が原因かもしれません。感覚過敏の苦手克服は無理は禁物です。我が家の嗅覚過敏の娘が無理をせずに車嫌いを克服した方法をご紹介します!
【目次】
1.臭いが苦手で車に乗りたがらない
車の臭いがどうしても嫌い。芳香剤を使ったら余計に気分が悪くなる。お出かけするためには車に乗らなきゃいけないし、どうすればいいんだろう…。
お子さんのそんな状況にお困りではありませんか?我が家がそうでした。
我が家の5才の娘は、赤ちゃんの頃から車に乗ると泣いて、泣き疲れて寝ている間に目的地に着くようなことが頻繁にありました。
チャイルドシートから降りたがって抱っこをせがむので、チャイルドシートに縛りつけられるのが嫌なのかなと思っていましたが、違いました。
言葉を話せるようになってから本人が
「車のにおい、きらい!」
とはっきりと言ったのです。
原因が臭いだとわかってからは窓を全開にして走ったりしましたが、真夏や真冬、雨のときなどは娘もほかの家族も辛い。
娘のためにも、ほかの家族のためにも、なんとかしてあげたいと思っていました。
2.ほかの人にはわからない感覚を感じる「感覚過敏」
「感覚過敏」という言葉をご存知でしょうか?
外からの情報を脳が過敏に受け取ってしまい、本人にとって耐えがたいほどの苦痛と感じてしまうような特性のことです。
脳のネットワークが未熟で適正な情報をやり取りできていないことが原因のため、発達障害でこの特性を持っている人は多いです。
たとえば以下のようなものです。
聴覚過敏:特定の音(家電や時計など)、大きな音、雑音などに苦痛を感じる
視覚過敏:太陽光や照明を異常に明るく感じる
触覚過敏:洋服のタグや縫い目、人から触られることを苦痛に感じる
嗅覚過敏:ほかの人が気付かない臭い、タバコ、化粧品などに苦痛を感じる
味覚過敏:特定の味や食感を苦痛に感じる
感覚過敏とは逆に、刺激を感じる感覚が鈍い「感覚鈍麻」という特性もあります。臭いを感じない、暑さ・寒さを感じない、などの特性です。
私の娘には、換気扇の音を異常に嫌がる「聴覚過敏」もあるのですが、車の臭いも「嗅覚過敏」が原因なのだと思います。
感覚過敏の人は、周囲の人が感じているよりもかなり強い刺激を、本人が苦痛に思うほど感じています。
ですから、「何を大袈裟な」などと、無理に我慢させるようなことはしないようにしてください。
では、ずっと避け続けるしかないのかというと、苦手を軽減させながらだんだん慣れさせていくことで苦痛を和らげるという方法があります。
3.苦手克服のための2つのコツ
車の臭いが苦手で、乗った直後に泣いていた娘が、2時間半のドライブにも苦痛を感じずに行けるようになった方法をお話しします。
先ほどもお伝えしましたが、無理は禁物ですので、お子さんに合わないようだったらやめるようにしてくださいね。
娘の車嫌いを克服することに決めたきっかけは、娘の誕生日に家族みんなでディズニーランドに遊びに行くことでした。
我が家からディズニーランドまでは、車だと1時間弱、電車だと遠回りで乗りかえも何度かあるため1時間半ほどかかります。
遊び疲れて帰りに寝てしまうことを考えると、なんとか車で行きたい!と思ったのです。
一方で、苦痛を我慢しながら行っても、せっかくのディズニーランドを満喫できずにかわいそう…。
そういうわけで、苦痛を感じずにディズニーランドに行くことを目標に1~2ヶ月ほどかけて苦手克服に成功したのですが、成功の秘訣はこの2つでした。
①成功体験を積み上げる
②とびきりの楽しい体験とセットで記憶に残す
◆①成功体験を積み上げる
普段は窓を全開で走っているのですが、15分ほどで行けるショッピングモールに、窓を開けずに行けるようになることを最初のゴールに設定しました。
娘には
「ディズニーランドに行くまでに乗れるようになろう!」
と伝えて、モチベーションを高めておきます。
車に乗る時に、好きな匂いのタオルを手に持たせて、いざという時はそのタオルの匂いを嗅げば大丈夫!という安心材料も与えておきます。
そうして、何度かショッピングモールに行き来するうちに、15分のドライブなら緊張もせず、平気で乗れるようになりました。
近場のドライブで自信を付けた娘は、
「ディズニーランドにだって車で行ける!」
と言えるようにもなりました。
◆②とびきりの楽しい体験とセットで記憶に残す
そしていよいよ迎えた誕生日当日。
念のためお気に入りのタオルを持たせましたが、それを使うこともなく、すんなりとディズニーランドへ行くことができました。
まる一日たっぷりとディズニーランドを満喫して、たくさんのお土産を乗せた帰りの車では、
「楽しかったね!」
と満面の笑顔。
何が楽しかったとか、また行きたいねとか、ニコニコしながら話しているうちに、あっという間に自宅に着きました。
それ以来娘は、車に乗ることに全く抵抗がなくなって、2時間半のドライブに行った時も平気で過ごしていました。
ディズニーランドに車で行けたという成功体験が、楽しかった思い出とセットで記憶されたことで、より強く脳に刻まれたのだと思います。
このようにして、我が家の娘は車の臭いを克服して色んな楽しいところへお出かけできるようになりました。
我が家と同じような悩みを抱えている方は、ぜひ試してみてくださいね。
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執筆者:大谷聡志
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)