自分の気持ちが言えないという特性、実は、自閉症の子の癇癪の原因につながっているんです!けれども自閉症の子にとって、気持ちを言うってハードルが高いんです。ここでは、自閉症の子の癇癪をスッとおさめるための気持ちの引き出し方をご紹介しますね!
【目次】
1.学校ではいい子、お家では激しい癇癪を起こす息子に疲弊する毎日
2.自閉症の子がお家で激しい癇癪を起こすワケ
3.自分の気持ちが言えるようになると癇癪を起こしにくくなる
4.自閉症の子の気持ちが言えるようになるためのママの対応2ステップ
1.学校ではいい子、お家では激しい癇癪を起こす息子に疲弊する毎日
学校では普通に過ごしていて、先生からも「問題ないですよ」と言われているのに、お家では毎日激しい癇癪を起こしている、そんなお悩みありませんか?
わが家の自閉症の息子がそうでした。
学校には頑張って行っている、先生からも「よく頑張っていますよ!」と声をかけてもらっている一方で、お家では4~5時間も癇癪を起こしていました。
・家事ができない
・ごはんが作れないし食べられない
・お風呂入れない
・寝られない
そんな毎日にわたしは疲弊していました。
学校での顔と家での顔のあまりのギャップにとまどい、どうしたらいいのかと途方にくれていました。
けれども、学校での息子の顔は、周りと同じようにふるまおうと、自分の力を超えて無理をしている姿だったのです。
2.自閉症の子がお家で激しい癇癪を起こすワケ
癇癪と聞くと、衝動性からくるものでしょ?って思っているお母さんが多いのではないでしょうか?
確かにそういった面もありますが、自閉症の子の癇癪は、衝動性よりも、特性からくる社会性の苦手さや、不安の強さからくることが多いのです。
◆①感覚過敏
教室のざわざわした雰囲気、お友達や先生の大きな声に過敏に反応してしまい、ストレスにつながります。
また、気圧の変化や雨天のときの不快感なども、自閉症の子にとっては大きな負担になります。
◆②不安の強さ
自閉症の子は見通しを立てることが苦手です。
学校生活では頻繁に予想外のことが起こります。また、天候によっては、登下校もいつもとは違うダンドリが増え、気持ちがついていかずストレスにつながります。
◆③空気が読めない・読み過ぎる
相手の意図を理解できず、ペースを合わせるのが苦手です。
けれども、頑張って理解しよう、合わせようとするので、ものすごいストレスで脳に負荷がかかります。
こういったネガティブなストレスを抱えながら、自分の力を超えて無理をした結果が脳の疲れを引き起こし、癇癪につながっているのです。
3.自分の気持ちが言えるようになると癇癪を起こしにくくなる
癇癪を起こしている子に対して、多くのママは、「落ち着いて!」と言い聞かせたり、子どもの感情に巻き込まれてイライラ叱ったりしてしまいがちです。
けれども、叱るのは逆効果!
自閉症の子は、ネガティブ記憶をためやすいという特性があります。
癇癪に対して叱ってしまうと、戦隊ヒーローに出てくる悪役のように、ネガティブ記憶が大きくなってしまいます(悪役って攻撃されたら大きくなりますよね!)。
だから叱るのではなく、ネガティブ記憶をためない対応が必要なのです。
じゃあどうしたらいいのか?というと、ネガティブな気持ちを言葉にして吐き出すといいんです!
みなさんにも経験がないでしょうか?イヤなことがあったとき、人に聞いてもらったらスッキリしたこと。
脳の不安や不快な気持ちが言えるようになると、ストレスがたまらなくなるので、癇癪も減るんです。
けれども、自閉症の子は自分の気持ちを言うのが苦手です。
どうしたら言えるようになるのでしょうか?
4.自閉症の子の気持ちが言えるようになるためのママの対応2ステップ
自閉症の子の自分の気持ちが言えるようになるためのポイントは、「脳のキャパシティ」
自閉症の子にはストレスに弱い、つまり、ストレスを受け取る脳のキャパシティが少ないため、少しのストレスでもキャパオーバーになるのです。
そんな自閉症の子の脳のキャパシティを増やし、気持ちが言えるようになるための2つのステップをご紹介します!
◆ステップ1:子どもが話す準備をしているときには話しかけずに待つ
自閉症の子は、自分が話す内容を頭の中で整理してアウトプットするという脳の発達がゆっくりです。
そのため、まだ頭の中で考えている最中に、お母さんが矢継ぎ早に次のお話しをしてしまうと、新たな負荷を与えることになり、脳が処理しきれず、言葉に詰まってしまいます。
脳は話す準備をするときに大きな負荷がかかりますので、準備をしているときには新たな刺激を与えずに待ってあげることが大切です。
◆ステップ2:子どもの言葉の量に合わせる
会話をするときに、子どもがひとこと言ったことに対して、お母さんが何倍もの言葉をかぶせていませんか?
お母さんがかぶせた言葉を受け取るために子どもの脳に負荷がかかり、脳のキャパシティが減ってしまいます。
子どもがひとこと言ったらお母さんもひとこと、さらに子どもがひとこと言ったらお母さんがひとこと。
このように子どもの言葉の量に合わせましょう。
この2ステップによって、自閉症の子の脳の負荷を整えることができるため、脳のキャパシティが増えていきます。
脳のキャパシティを増やす対応で、自分の気持ちをゆっくり整理して言うことができるようになります。
するとストレスが減り、脳に考える余裕ができるため、感情コントロール力が育ち、癇癪がスッとおさまります。
わが家の自閉症の息子も、この2ステップを意識した対応で気持ちが言えるようになったことで、ストレスがたまりにくくなり、お家で癇癪を起こすことがなくなりました。
話すタイミングと言葉の量、ぜひ意識してみてくださいね!
自閉症キッズの脳のストレスをゼロにする方法をお伝えしています。
執筆者:宮千晶
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)