「ママ、怒ってるの?」と言われてしまうことはありませんか?その原因と、家族全員が安心してコミュニケーションできるためのポイントを紹介します。発達障害の特性を理解し、ポイントを意識して会話すれば、家族の雰囲気を改善しますよ。
【目次】
1.怒ってないのに「ママ、怒ってるの?」って言われることありませんか?
毎日家事に、育児に、仕事に忙しいお母さんたち。
こちらは全然怒っていないのに、「ママ、怒ってるの?」って聞かれた経験はありませんか?
例えば、「ご飯だよー」って普通に言っただけなのに、なぜか「ママ、怒ってるの?」と言われる。
何か聞かれて、「いいよ」って言ってるのに、「ママ怒ってそうだからやっぱりいい」って返される。
普段の顔でいるはずなのに、夫から「何か怒ってる?」って聞かれて、ふと映った自分の顔を見るとぎょっとするくらい険しい顔をしている。
実は私は、何度も経験しました。
「怒ってないのにな」
「そう言われるとちょっとイラっとしちゃうな」
なんて思ってしまって、結局「怒ってないよ!」って強く返してしまうことが度々。
これでは、私自身も損ですし、家族の雰囲気も悪くなってしまいます。
そこで、何で「怒ってるの?」って言われてしまうのかの原因と、無駄に言われないための対策についてお伝えします!
2.「怒ってるの?」って言われる2つの要因
なぜ怒ってないのにも関わらず、「怒ってるの?」って言われてしまい、結局怒ってしまうのか。
それには2つの要因があります。
1つは自分自身のこと、もう1つは受け取る相手の特性です。
1つずつ見ていきましょう。
◆自分自身のこと
「ママ怒ってるの?」って言われるときっていつだろうと考えてみましょう。
毎度毎度言われるわけではありませんし、言われない時もあるなら、言われるときの特徴があるはず。
すると、大抵が、
・家事や仕事が忙しくて自分自身の余裕がないとき
・疲れているとき
・思い通りに事が進んでいないとき
に当てはまるのではないかと言えます。
そんな時に、家族が矢継ぎ早に話してきたり、子どもが「○○が欲しい」とか「これ食べて良い?」って聞いて来たりして、
「いいってば」
って答えれば、子どもからしたら「ママ怒ってるの?」って言われても当然な気がしますよね。
夫からも「○○どこ行った〜?」って忙しい時に聞かれたりすることも同様に、「私は今忙しいんだから、聞かずに自分でやってくれ」っていう感情になりますよね。
実は、コミュニケーションに関わる心理学の法則に「メラビアンの法則」があります。
これは、「コミュニケーションにおいて話し手の持つ情報のうち、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%のウェイトで聞き手の印象に影響する」と提唱されています。
この実験では、「好き」「嫌い」などの態度や感情を伝えたいときの優先度を表したものです。
そのため、言葉よりも相手の感情の方を先に受け取るということでもあります。
ママが発する「言葉」の意味よりも、ママが言葉を発した時の「気持ち」が相手には伝わっているということです。
◆受け取り側の相手の特性
私の家族には、発達障害の夫と小学2年生の息子がいます。
2人とも自閉スペクトラム症(ASD)で、夫は注意欠陥多動症(ADHD)も併せ持っています。
発達障害の3つの特性が要因だといえます。
・1つ目は感覚過敏
感覚過敏とは、音や光、触覚などに対して非常に敏感に反応することです。
夫と息子は耳が非常に敏感で、私が何気なく発する声のトーンや音量が、彼らにとっては非常に大きな変化として感じられることがあります。
・2つめはネガティブ記憶を残しやすいこと
発達障害の特性を持つ人々は、過去のネガティブな経験を強く記憶に残しやすいことがあります。
そのため、一度「ママが怒っている」と感じた経験があると、それが記憶に残り、似たような状況で再び不安を感じることがあるのです。
・3つめは不安がつのりやすいこと
通常よりも強く不安を感じやすく、不安が高まると、些細なことでも「ママが怒っている」と感じやすくなるのです。
3.家族が安心できるコミュニケーションのコツは3つ
このような特性を理解し、家族全員が安心できるコミュニケーションを目指しましょう。
そこでママに気を付けてほしいのは3つです。
◆①Smile(笑顔)
話始めは作り笑顔でもいいので、口角をあげて笑顔で話すこと。
笑顔は安心感を与え、相手にリラックスした気持ちをもたらします。
私自身も笑顔を心がけることで、家族全員の雰囲気が柔らかくなったと感じます。
◆②Slow(ゆっくり)
これは、矢継ぎ早に話さず、ゆっくりと間を取ること。
急いで話すと、相手が焦りや不安を感じやすくなります。
話すスピードを意識して、ゆっくりと話すことで、相手が話の内容を理解しやすくなります。
◆③Sweet(優しい声色)
優しい声を使うこと。
声のトーンを少し上げ、優しい声で話すことで、相手に安心感を与えることができます。
実践するときは、一気にすべてをやろうとせず、まずは一つずつ取り組むことが大切です。
私は耳の良い家族がいるので、まず声のトーンに注意を払うことから始めました。
普段から意識して、身につくまで続けることがポイントです。
声の音量にも注意し、近くで話すことで大きな声を出さずに済みます。
また、息を吐いてから話すことで、声のトーンを安定させることができます。
声のトーンを少しワントーン、ツートーンアップさせるだけでも、相手に優しい気持ちが伝わりますよ。
このようにして、私は家族が安心できる環境を整えることに成功しました。
子どもたちも「ママ、怒ってるの?」と言わなくなり、夫も私の機嫌を気にすることが減りました。
もしまた「ママ、怒ってるの?」と言われたとしても、その場で「ごめんね」と言えば大丈夫。
大切なのは、家族全員が安心してコミュニケーションを取れる環境を作ることです。
以上の「3つのS」に注意して実践することで、家族全員がより安心してコミュニケーションを取れるようになります。
是非、試してみてくださいね!
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執筆者:林 花寿美
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)