自閉症の子が「もうやめて!」と耳を塞ぐのは反抗ではなく、心のSOSかもしれません。この記事では、その行動の本当の理由と、安心を届けるママの対応方法を3つご紹介します。
【目次】
1.「もうやめて!」と耳を塞ぐ自閉症のわが子が理解できませんでした
2.自閉症の子が耳を塞ぐ本当の理由
3.ママの安心を授ける対応で耳を塞ぐサインは減る
1.「もうやめて!」と耳を塞ぐ自閉症のわが子が理解できませんでした
「もう言わないで!」と言いながら耳を塞ぐわが子を見て「なんで?」と思ったことはありませんか?
耳を塞ぐ行動は、ママの対応を変えると減っていきます。
自閉スペクトラム症で軽度知的障害の息子は、私が娘に注意している姿をみるとすぐ耳を塞いで困った顔をしていました。
他にも、外出先で他のお母さんが子どもに注意しているだけで、釘付けになり耳を塞ぐ姿を見て、息子には何も言っていないのにどうしてあなたが気になるの?とその頃の私は疑問でした。

段々、人の注意だけでなく息子本人に向けられた注意にも耳を塞ぐようになり、その姿を見ると私がいけないことをしているみたいで胸が苦しくなりました。
どうしたらいいの?とそれまでは見守ることしかできなかった私は、発達科学コミュニケーションを知り、対応を変えることをしました。
2.自閉症の子が耳を塞ぐ本当の理由
お子さんが耳を塞ぐ行動には、きちんと理由があります。
自閉スペクトラム症の特性がある子は、
・音や言葉の刺激を強く感じすぎる
・否定的な言葉や注意に強い不安を抱きやすい
という特徴があります。
そして失敗や注意された経験を記憶に残しやすい特徴も持ち合わせているので、「もう繰り返したくない!」と記憶がフラッシュバックしていて、自分を守るために耳を塞いで安心を得ているのです。

つまり、ママの声そのものが「攻撃」ではなくても、本人にとっては「刺激が強すぎる」「不安を大きくする」ものになってしまっているんです。
私自身も「うちの子は注意されるのが嫌いなんだ」と思っていました。
でも実はそうではなく、「刺激を遮断して自分を守るために耳を塞いでいた」のだと気づいたのです。
この小さなサインを見逃すと、不安は心の中でどんどん膨らんでしまいます。
だからこそ、耳を塞いだ今が、関わり方を見直すチャンスなのです。
ママの対応が変わるだけで、耳を塞ぐ姿が減り、安心して過ごせる時間が増えていきますよ。
どんな対応をしたのか詳しく事項で説明していきますね。
3.ママの安心を授ける対応で耳を塞ぐサインは減る
では、どう関われば子どもは安心できるのでしょうか?
ここからは、私が実際に効果を感じた対応を3つご紹介します。
◆① 「できていること」に注目する
つい「ダメ!」「やめて!」と注意の言葉が多くなっていませんか?
実は、子どもの不安をやわらげる一番の方法は「できたこと」を言葉にすることです。
例えば、
「朝起きられたね」
「靴を自分ではけたね」
「お箸を使えたね」「スプーンでご飯を食べているね」
「お家での〇〇遊びを楽しめたね」と、
小さな行動に「できたね!」と伝えるだけで、子どもの心は安心に包まれます。
「自分はできる」という自信も育ちますよ。
◆② 注意の声かけを減らす
命に危険があること以外は「スルー」しても大丈夫です。
命に関わらないことなら、多少の失敗は大丈夫。全てが学びのプロセスなのです。
ごみをごみ箱に捨てなかったり、お皿を片付けないなど、なかなかお着替えしないという行動に対しては、
「注意する」のではなく「課題を分解して指示だし」をしましょう。
例えば、
「〇〇君、このごみをこの箱にシュートできるかな?」と声をかけてごみを捨ててもらう。
「ご飯を全部食べてくれたね!このお皿を洗い場までお届けしてくれる?」と声をかけて片付けてもらう。
「○○君に似合うカッコイイ洋服選んできたよ!青い服か、赤い服どっちがいい?」と選択してもらい、お着替えを促す。
など、注意してもやらないことは、指示を分かりやすくするだけで、子どもは行動しやすくなり注意の回数も自然と減ります。

◆③ 空気感で安心を伝える
言葉が届かなくても、子どもはママの雰囲気を敏感に感じ取ります。
安心を伝えるキーワードは「3S」です。
3Sとは、
・SMILE (笑顔で)
・SWEET (やさしい声で)
・SLOW (ゆっくりと間をとって)
声かけで上手くいかないときは大抵、この3Sのどれかが欠けていることが多いです。
言い方を変えると、この3Sさえできていればいつでも安心感を与えることができるのです。
耳を塞いでいるなと思った時こそ、鏡で笑顔をチェックしてみてくださいね。
自閉症の子が耳を塞ぐのは、ママの声が「うるさい」のではなく、「今は刺激が強すぎるから遮断したい」という気持ちの表れです。
だからこそ、「できたね」の肯定の一言や、雰囲気で心を満たして安心感を手渡してあげましょう。
この3つの対応をしてから、わが家の息子は耳を塞ぐことがぐっと減りました。
外で他のお母さんが注意しているのを見ると、言葉で「あのママ怒ってて怖かったね」と伝えてくれるようになったんです。
耳を塞ぐサインが出たときは、ママの関わり方をほんの少し変えるだけで、子どもは安心を取り戻せますよ。
知的障害キッズの行動力と会話力を引き出す対応をお伝えしています。
執筆者:みやび 楓
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)