褒めても共感しても逆効果? 繊細な子の登園しぶりの理由とは

 

 繊細な子の登園しぶりは、わがままでも声かけ不足でもありません。 朝の不安でいっぱいになった脳が、動けなくなっている状態です。 この記事では、褒めても・励ましても・共感しても動けなかった理由を、脳の仕組みと朝の関わり方から解説します。
 
 

【目次】

1.繊細な子の登園しぶりに悩むママが陥りやすい落とし穴
2.なぜ繊細な子には「正しい声かけ」が逆効果になるの?
3.不安が一番強まるのは、朝の時間でした
4.朝の登園前に手放した2つの関わり方
①「動かそう」とする声かけを手放す
②ママの纏う空気を変える

 
 

1.繊細な子の登園しぶりに悩むママが陥りやすい落とし穴

 
 
毎朝、登園しぶりで動けないわが子。
 
 
朝は時間にも気持ちにも余裕がなく、どうしたら行く気になるのかを必死に考えていました。
 
 
「大丈夫だよ」
「今日は〇〇があるよ」
「先生、昨日すごく褒めてたよ」
 
 
何とか保育園に連れて行こうと、励したり、褒めたりしていたのに、返ってくるのは
 
 
「行きたくない!」
「できない!」
 
 
という言葉ばかりでした。
 
 
「行きたくないんだね」
「そんなにイヤだったんだね」
 
 
そうやって気持ちに寄り添えば、少しは安心して動けるんじゃないかと思っていました。
 
 
でも実際は、共感すればするほど、
 
 
「やっぱり行けない」
「できない」
 
 
と動けなくなっていったのです。
 
 
 
 
できることはやっているつもりでした。
 
 
・褒める
・励ます
・気持ちに寄り添う
 
 
私がちゃんと関われたら、この子は動けるようになるはずだと信じて、毎朝、言葉を探していました。
 
 
それでも状況は変わらず、毎朝、同じやり取りを繰り返していました。
 
 
「ちゃんと関わっているのに」
「間違ったことは言っていないはずなのに」
 
 
どう関わればいいのか、分からなくなっていきました。
 
 
こんなに考えて関わっているのに、どうして上手くいかないんだろう。次第に私は、自分を責めるようになっていきました。
 
 
「私の育て方が悪かったのかな」
「もっと上手に声をかけられたら違った?」
 
 
気づけば、子どもの登園しぶり以上に、どう関われば動けるようになるのか”がわからない自分が 苦しくなっていたのです。
 
 
振り返ってみると私は、
 
 
「どうすれば行けるか」
「どう声をかけたら前向きになるか」
 
 
ばかりを考えていました。
 
 
子どもの不安を理解しようとしているつもりで、実際には、“不安をどうにかしよう”とすること(=動かすこと)を優先していたのかもしれません。
 
 
この記事では、褒めても・励ましても・共感しても動けなかった理由を、繊細な子の脳の仕組みと、朝の登園前というタイミングの視点から紐解いていきます。
 
 
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 2.なぜ繊細な子には「正しい声かけ」が逆効果になるの?

 
 
こんなに考えて関わっているのに、どうして伝わらないんだろう。そう感じてしまうのは、ごく自然な流れでした。
 
 
なぜなら、繊細な子の「できない」「やらない」は、声かけの内容や、ママの頑張りの量で決まるものではないからです。
 
 
実はそこには、大人からは見えにくい繊細な子の脳の受け取り方のクセが関係しています。
 
 
繊細な子は、大人が思っている以上に、言葉の意味だけでなく、その奥にある空気や期待まで受け取っています。
 
 
たとえば朝、
 
 
「大丈夫だよ」
「できてたって先生が言ってたよ」
「行けば楽しいよ」
 
 
など、ママは応援のつもりで声をかけていても、繊細な子の脳には、
 
 
「次も同じようにできるよね」
「また頑張らなきゃいけない」
 
 
という期待やプレッシャーとして届いてしまうことがあります。
 
 
「行きたくないんだね」
「そんなに嫌だったんだね」
 
 
と共感したときも同じです。
 
 
気持ちをわかってあげたい、安心させたいという思いとは裏腹に、繊細な子の脳は、
 
 
「やっぱりこれは避けたほうがいい出来事なんだ」
 
 
と、不安な記憶として残りやすくなることがあります。
 
 
 
 
不安を感じたとき、脳は「どうしたらうまくできるか」を考える前に、まず自分を守るスイッチを入れます。
 
 
このとき働くのが、不安や危険をキャッチする扁桃体(へんとうたい)です。
 
 
繊細な子は、この扁桃体がとても敏感で、ママの言葉や表情、声のトーンから「これは安心?それとも危険?」を瞬時に判断しています。
 
 
不安が高まった脳は、考える余裕がなくなってしまうので、これ以上追い込まれないように、「できない」「やらない」と先に宣言して、自分を守ろうとします。
 
 
それはわがままでも、甘えでもありません。
 
 
不安でいっぱいになった脳の、ごく自然な防衛反応なのです。
 
 
つまり、声かけの内容が悪かったのではなく、声をかけるタイミングと脳の状態が合っていなかっただけなのです。
 
 
それが、褒めても・励ましても・共感しても動けなかった理由でした。
 
 

 3.不安が一番強まるのは、朝の時間でした

 
 
朝の登園前は、子どもの脳にとって 一日の中でいちばん余裕が少ない時間です。
 
 
まだ気持ちの切り替えができておらず、これから始まる一日を想像するだけで、不安が膨らみやすい状態でもあります。
 
 
わが家の息子も、私が焦っていたり、 時間に追われて切羽詰まった雰囲気を出してしまうと、 一気に不安そうな表情になっていました。
 
 
そんな空気の中で、「行けば楽しいよ」と励ましても、「行きたくない」と返ってきていました。
 
 
繊細な子の脳は、 言葉の意味より先に、 その場の空気や言葉の重さを受け取ります。
 
 
朝のタイミングでは、 励ましも共感も、 子どもにとっては「考えなきゃ」「感じなきゃ」と脳の負荷を増やすだけで、 安心材料にはなりませんでした。
 
 
 
 
私自身も、「何を言っても逆効果な気がする」「この不安、いつまで続くんだろう」そんな気持ちを、毎朝のように抱えていました。
 
 
このまま同じ関わりを続けていても、 子どもがラクになる未来が見えず、 それ以上に、私自身が限界に近づいているのを感じていました。
 
 
だからこそ、朝に必要だったのは、声かけを変えることではなく、子どもの脳が安心できる状を先につくることでした。
 
 

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 4.朝の登園前に手放した2つの関わり方

 
 
繊細な子の登園しぶりは、声かけや関わり方が足りないから起きるのではありません。朝の不安でいっぱいになった脳が、動けなくなっている状態なのです。
 
 
だからこそ大切なのは、子どもの行動を変えることでも、ママが言葉を選ぶことでもありません。
 
 
朝の不安でいっぱいになった脳を、まずは安心させることです。
 
 

◆①「動かそう」とする声かけを手放す

 
 
朝の登園前、繊細な子が動けなくなっているときに必要なのは、前向きな言葉でも、気持ちを言語化することでもありません。
 
 
・「大丈夫だよ」「行けば楽しいよ」と動かそうとすること
・「そうだよね、イヤだよね」と気持ちを深掘りすること
・理由を聞いたり、選択を迫ったりすること
 
 
この関わりを手放すだけで、子どもの脳は「追い込まれていない」と感じられるようになります。
 
 
行きたくないと言われたときは、肯定も否定もせず、
 
 
「そうなんだね」
「今はそんなふうに感じているんだね」
 
 
と、一度その気持ちをお預かりしてあげます。
 
 
それだけで、不安でいっぱいだった脳は、「もうこれ以上、頑張らなくていいのかもしれない」 と、少しずつ警戒をゆるめていきます。
 
 
朝に必要なのは、動かすための言葉ではなく、考えなくていい時間、穏やかな空気です。
 
 
まず必要だったのは、脳が安心できる状態をつくることでした。
 
 
 
 

◆②ママの纏う空気を変える

 
 
朝はどうしても時間に追われ、気が付けばイライラしていませんか?
 
 
朝の登園前、繊細な子どもの脳がいちばん先に感じ取っているのが、ママの空気です。
 
 
焦った足音、早口な声、せわしない動き、間に合わないかもしれないという表情。言葉を交わす前に、そうした空気から不安を感じ取ってしまいます。
 
 
息子も、私が焦っていた朝ほど、不安そうな表情になり、動けなくなっていました。
 
 
そこで私は、声かけを変えるのではなく、自分の行動を変えることにしました。
 
 
・バタバタ動かない
・先回りして準備しすぎない
・静かなテンポで家事をする
・表情をゆるめる
 
 
するとだんだんと、声をかけなくても、急かさなくても、自分のタイミングで動き出す瞬間が増えていきました。
 
 
登園しぶりが続くと、「どう声をかければいいんだろう」「何を間違えたんだろう」と、ママは答え探しを続けてしまいます。
 
 
でも、繊細な子の朝に必要だったのは、正しい言葉でも、気の利いた共感でもありません。
 
 
不安でいっぱいになった脳が、もうこれ以上、頑張らなくていいと感じられること。
 
 
ママがゆったり落ち着いて楽しそうに準備をしているだけで、子どもの不安は少しずつ落ち着いていきます。
 
 
朝は、子どもを動かす時間ではなく、脳を安心させる時間です。
 
 
その土台が整ったとき、子どもは自分のタイミングで動き始めます。
 
 
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登園しぶりに関するよくある質問(FAQ)

 
 

Q1:登園しぶりは、甘えやわがままですか?

 
A1:いいえ。 繊細な子の登園しぶりは、甘えやわがままではありません。朝の不安でいっぱいになった脳が、動く余裕を失っている状態です。「行きたくない」「できない」という言葉は、気持ちの問題ではなく、これ以上頑張れない脳からのSOSとして出ていることがあります。
 
 

Q2:気持ちに寄り添っているのに、なぜ動けないのですか?

 
A2:寄り添いが足りないからではありません。順番が逆になっていることがあります。朝の不安が強い状態では、共感や気持ちの言語化そのものが、刺激になることがあります。まず必要なのは、理解よりも、行動よりも、脳を安心させることです。
 
 

Q3:朝の登園前、いちばん大切な関わりは何ですか?

 
A3:「行かせること」や「前向きにさせること」ではありません。これ以上、不安を増やさないことです。声かけを工夫する前に、評価されない・求められない・急かされない空気をつくることが、繊細な子の脳を落ち着かせる助けになります。安心が先、動き出すのはそのあとです。
 
 
繊細な子が動き出すために必要なのは、声かけの工夫ではありませんでした。朝の不安な脳を安心させる関わり方を、メルマガで詳しくお伝えしています。

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執筆者:有須みさと
(発達科学コミュニケーションアンバサダー)
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