新年の目標を立てたり、やってみようとチャレンジする気持ちが湧いてこない発達障害のある子どもが、お母さんの関わり方によって自分の未来に希望を持てるようになります。そのためのコミュニケーション法を4ステップでご紹介します。 |
【目次】
1.新年の目標にネガティブな反応をする我が子
2.発達障害やグレーゾーンの子どものネガティブ発言の理由は〇〇のなさ
3.子どもが未来に希望を持てるようになるコミュニケーション方法
◆ステップ①日常そのままを肯定
◆ステップ②子どもの「好き」を肯定
◆ステップ③人と比べない
◆ステップ④成長を信じる
1.新年の目標にネガティブな反応をする我が子
活気に包まれる一年の始まり。新しい年を、どう過ごしていこうか? 家族や親戚同士で集まった場で、目標や抱負などを話す機会があると思います。
私は家族や友人とシェアするのが好きで、自ら2020年はこう過ごします!なんて宣言したいのですが、一人っ子の我が子は大違い。
何か目標とかチャレンジしたいことがあるかどうか?質問されたとき、息子は「別に」「特にない」「目標とかどうでもいい」などと、ネガティブな返事をしていました。新年早々、どよんとした空気になり、親としては「しまった!」と思ったものです。
何か浮かぶかもしれないから、考えてみて欲しいと、と再び聞いてみたら、「どうせ何もないし、目標立てても無駄だし」と、ふてくされてしまうんです。
「自分なんて何をやったってうまくいかないから意味がない」と言われたこともあります。重たい話ですよね…。でも以前、そんな時期がありました。
このように、やりたいこと・頑張りたいことや目標がなかなか浮かばなかったり、諦めモードの発達障害やグレーゾーンのお子さん、けっこう多いのではないでしょうか?このまま夢や希望を持てないままでいいのでしょうか?
2.発達障害やグレーゾーンの子どものネガティブ発言の理由は〇〇のなさ
新年を迎えるという節目。今年はどうなりたいか?何をしたいか?目標でなくてもいいから、何かポジティブな発言を聞けたら、親としては嬉しいですよね。
でも我が子は、諦めたような、ふてくされた態度。親として不安になりませんか?
発達障害やグレーゾーンのお子さんは、失敗経験が重なっていたり叱られることが多いことから、自分のやることに対して自信を失っている場合があります。
本人は悪気は無くても、日常生活で注意されることが多かったり、常識と比べてできていないことばかりに注目されていたら、自信を失ってしまう可能性も高くなります。
すると、自分の未来について明るくイメージできないし、やってみようというチャレンジ精神も湧かなくなり、どうせまた叱られる・否定されるという思考になるかもしれません。
失敗やダメ出しを恐れると自分を守ろうとします。すると「どうせできないから…」と、チャレンジを諦めてしまいがちになり、言われるまで何もしないでおこうと、指示待ちになってしまいます。
我々、大人も同じですよね。苦手なことや分からないことを受け止めてもらえずに、注意が重なったり否定されたら…自分なら何ができるか考えるよりは、もうこれ以上怒られないようにと、守りに入らざるを得ないですよね。
もともと日本の教育や親子関係においては、ダメ出しの文化があります。
立場が上の人から下の人へと、できていないところを指摘されることが当たり前。更に、それは自分がいけなかったからなんだと反省してしまう。良いところはそのまま「できて当たり前」と捉えられる。
こういう関わり方に慣れているお母さんは、やはり我が子の欠けている部分に注目しがちです。でも、それは今までの話なんです。
慣れ親しんでいたコミュニケーションを変えるタイミングは今です!
オリンピックイヤーのチャンスイヤー、日本中がチャンス・活気に包まれる特別な一年。過去の関わり方はとっくに通用していないことに気づいているお母さんは、もうすでに子どもとの関わり方を変えています!
自分の好きなこと・得意なことをとことん好きでいて、得意を伸ばしながら生きていくのがスタンダードな時代です。
学校の勉強や、苦手な集団生活の中で見つけなくてもいいんです。子どもには、自分の興味のあること・好きなことを見つけて欲しいですね。
2020年に対して、我が子のポジティブな想いを聞きたい!という親の希望は叶います。そのためには、お母さんの関わり方をガラっと変えること。その方法をお伝えします!
3.子どもが未来に希望を持てるようになるコミュニケーション方法
◆ステップ①日常そのままを肯定
これまではダメ出しばかりで、子どものできていない部分に注目していたかもしれません。でもこれからは、できていない部分ではなくて、普段からできている、当たり前の見逃しがちな些細な部分に注目してあげてください。
注目と言っても、大げさに褒めたり、特別なことを言って喜ばせようというわけはありません。日常のそのままの我が子を肯定してあげるということです。
例えば、
・時間になったら食卓についたこと
・母の手料理を食べてくれたこと
・電気を消したこと
・玄関の鍵を閉めたこと
・何か尋ねたらどんな返事でもいいから反応してくれたこと
全て日常生活において、当たり前と思われがちなことです。
そこを「電気、消してくれていたね!」というように、できごとをそのまま、見たまま伝えてみてください。わざわざ面と向かって褒めようと伝えなくて大丈夫です。
「そういえばさっき、電気消してくれていたね!」というような感じで、会話の流れにさりげなく取り込んでみてもいいと思います。子どもが近くにいるときにふと、つぶやいてみるのもオススメです。
ポイントは、何か特別にできたとき、でなくて「そのままの我が子の存在を肯定する」ということ。「今のままの自分でいいんだ」と子どもが自分で感じられることが目的です。
◆ステップ②子どもの「好き」を肯定
先ほどお話したように、子どもを「今のままでいい」と認めてあげるということですから、子どもの好きなものもそのまま好きでいいんです。
もしかしたら、親の趣味とは違うかもしれませんし、将来何かの役に立つかも、わからないかもしれません。でもそれは関係ありません!
「もう○年生なのに、まだこれが好きなの?」とか、「そんなことに時間を使わないで勉強しなさい」などと言うのはNGです!子どもの好きなこと(もの)を否定しないでくださいね。
「今、あなたはこれが好きなのね」「この話に興味あるのね」というようにお母さんは受け止めてあげてください。
ゲームでもキャラクターでも、お笑いでもドラマでも、何でもいいです。お野菜は苦手、ファーストフードのポテトが好きでいい。
「これが好きな自分でいいんだ」と、子ども自身が思えることが自信につながっていきます。
◆ステップ③人と比べない
子どものうちは、毎日が新しい刺激ばかり。今の子どものできることは、ほとんどが教わって練習してできるようになったことだと思います。
コップでお水を飲むことも、お箸で食事をすることも、リモコンの操作も。学年が上がると計算も漢字も難しくなりましたよね。
このように、子どもの周りはできるようになったことで溢れているんです。大切な我が子は、いつも本当に頑張ってきているんです。
1週間前と比べても進歩はたくさんありますよね。半年前、一年前と比べたらものすごいことに!子どもの成長を洗い出してみて、「いつも、よく頑張っているよね」って伝えてみてください。
本人にとっては、もう○年生なんだからできて当たり前、と思っている年齢の場合は、大げさに「すごいねー」「かっこよくなったねー」と言うと引かれるかもしれません。
そんなときは、お母さんは「いつも頑張っているのは、わかっているよ!」という姿勢を示してあげてください。
自分の成長をお母さんが知っていてくれることに慣れてきたら、自分で自分の成長に気づけるようになります。
ここまでくると、次はこんなことができるかもしれない、これなら頑張れるかもしれない、と未来思考に切り替えられるはず。きっと日常の行動が変わってきますよ!
もしお子さんが、「こんなことやってみたいんだよね」「これカッコいいと思う」などとお母さんに打ち明けてくれたタイミングがあったなら、そのときは思い切り話を聞いてあげてくださいね!
◆ステップ④成長を信じる
どうせダメだから…という状況は今だけ。「一生このまま続くのかも?」と不安になってしまうのもあくまでも思考の癖です。
大丈夫です!お子さんは成長したい!チャレンジしたい!と、きっと心の奥では思っているはず!そのときはきっとやってきますから、どうかお母さんが子どもの未来を信じて、日頃からのコミュニケーションを変えてみてください。
お母さんの関わり方によって、自己肯定感と自己効力感が育まれ、脳は発達します。自分はできるんだ!チャレンジしてみよう!という「未来」に自信が持てるようになります。
今までの関わり方を急に変えるのは難しいかもしれません。でも信じて取り組んでみてください!応援しています!
執筆者:秋村若菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
ネガティブだったり、不機嫌だったりする子どもへの対応を配信中!
▼ご登録はこちらから
▼病院・療育センターで聞けなかったWISCのアレコレを1冊にまとめました▼