ひといちばい敏感な子(HSC)や発達障害・グレーゾーンの子によくみられる偏食。「普通」の好き嫌いとは違い、もっと抵抗感が強くて、悩まされているお母さんは実は多いです。そんな偏食への対応のポイントは、食事中の会話です! |
【目次】
1.HSCや発達障害・グレーゾーンの子の食べ物の好き嫌い
子どもの食べ物の好き嫌いがひどくて。ママ友に相談しても「うちの子も食べないものあるよ」と言われるけれど、なんだか「普通」の偏食とは違うような…?
・食べたことのないものを異常に警戒して絶対口にしない
・食べさせよう口に入れると、噛まずに丸のみする
・特定の色のものしか食べないなど、オリジナルのこだわりがある
・無理やり食べさせるとパニックになる
「普通」の偏食とは、段違いに子どもの抵抗感が強い偏食。このような偏食が、ひといちばい敏感な子(HSC)や発達障害・グレーゾーンの子にみられることがあります。
発達障害の中でも、自閉症スペクトラム(ASD)の子は、警戒心が強い子が多いので偏食になりやすいようです。
なぜこのような偏食が起こるのか?どう対応したら良いのか?について次の章以降でお伝えします。
2.なぜ偏食が起こるのか?
発達障害の子に見られる偏食には、感覚過敏、もしくは環境が関係していることが多いといわれています。
感覚過敏と関連している偏食とは、食材の味、匂い、食感に強度の嫌悪感があるということです。敏感な感覚をもっている場合、ちょっとした違いにも反応し、抵抗を示すことがあります。
この場合、無理強いせず、調理の仕方を工夫したり、彩りを鮮やかにしたりするなど、子どもの興味関心を引くことがポイントになります。
本人の特性だけでなく、周囲の環境で偏食が起こる場合もあります。それが環境要因で起こる偏食です。
例えば、転校や転園でのストレスで食べられなくなったり、特定の苦手な子が近くにいると食欲がなくなったりすることがあります。
その場合はストレスを少なくするようなホッとできる環境を整える、苦手な子と席を離してもらうなど、環境調整をしてあげてくださいね。
状況を言葉で説明するのが不得手な子の場合、「なんで食べないのか?」と聞かれても上手く答えられません。
そのような状況で「とにかく食べなさい!」とお母さんから言われても、子どもにとってはストレスが大きくなるだけです。子どもをよく観察して、要因を把握することが重要です。
3.偏食の対応には会話を活用!
どんな要因で偏食が起きていたとしても、偏食への対応で必ず心がけてほしいのは、食事を楽しい時間にするということです。
食に関して苦手意識がある子の場合、食事の時間が罰を受けるような気の滅入る時間になりがちです。ただでさえ気が進まないのに、お母さんから苦手なものを無理やり食べさせられたとしたら、ますます食事に苦痛を感じてしまいますよね。
我が家では、子どもが食べられないものの味を「おとな味」と呼んでいます。子どもが「これ無理~!食べられない!」と言ったとき、「〇〇には、おとな味だから、まだ食べられないよね」とサラリと流します。
それよりも「今日、こんなことがあってね」といった家族で楽しくコミュニケーションをとる時間の方が何倍も大切です。
「偏食だと、栄養が偏るのでは?」と心配される方もいるかもしれません。現在の偏食への対応では、子どもが受けつける食べ物を食べさせればOKというのが、主流になってきています。
無理やり食べさせるよりも、楽しい雰囲気づくりをしたほうが、結果的に偏食が早くなおります。食事中の楽しいコミュニケーションで、お子さんの食べることへの欲求を増すようにしてみてくださいね。
執筆者:渡辺カナ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー、臨床心理士)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー、臨床心理士)