発達障害で不器用な子どもは細かい作業が苦手で行動が遅いため、グズグズしているように見えてしまいます。「ノートのマスの中に文字を書く」「ハサミを上手に使う」などは、お母さんが手指の使い方を直接伝えてあげると、上手にできるようになります。 |
【目次】
1.発達障害の子どもは、手先が不器用な子がたくさんいます
発達障害があってもなくても、手先が不器用だととても不便です。
ぬりえが上手に塗れなくて、うつむいている子どもがいました。きれいに塗りたくても、どうしてもはみ出してしまいます。
ぬりえをしている間に何本も色鉛筆やクレヨンが折れてしまい、とても悲しそうでした。
授業中に一生懸命に黒板を写しているのですが、字が汚くてとても読みにくいノートの子どももいました。
算数は、桁がずれると計算が狂ってしまいます。それで、「算数は苦手」になってしまいました。
小さい文字が書けないので、テスト用紙の枠から文字がはみ出てしまったり、表の中に文字が書ききれなくなったりして困っていました。
図工の時間にカッターで細かい部分を切るという課題がありましたが、上手に切ることができず、ため息をついてそのまま止まってしまいます。
そのような子どもは、お昼休みを返上して作品を仕上げなくてはなりません。
給食の当番の子どもで手先の不器用な子は、白衣のボタンがとめられません。行動が遅いと準備が間に合わず、楽しいはずの当番の仕事もあせって やらなくてはならないのです。
これは全て、私が勤務している小学校での、3年生のクラスであった出来事です。
発達障害の子どもは、友だちよりも行動が遅いことが苦しくなって、自信をなくしていきます。
一生懸命に頑張っているのですが……。
2.手指の関節の動かし方がわかると子どもの行動が変わります
どうして発達障害の子どもは手先が不器用なことが多いのでしょうか?それにはいろいろな理由が考えられます。
たとえば、目と手の協調運動ができない場合です。見た通り、思い通りに手を動かすことができません。そのため、上手にぬりえをしたり絵の輪郭を描いたりすることが苦手です。
また、注意欠陥多動性障害(ADHD)で集中力が続かない子どもは、不器用で作業が思うように進みません。
そうすると、だんだんイライラしてきてやる気をなくし、仕上がりも雑になってしまうことがあります。
感覚過敏とは反対に、指先の感覚が鈍い子どももいます。そのため、指先を使った細かい作業ができません。
このようなことがあると、だんだん手指を使って何かをする行動をしなくなるので、経験不足になりがちです。
では、発達障害で行動が遅い子どもたちに、私がどのようなサポートをしたら子どもたちが動き出したか……。
私は、子どもたちの後ろに立って支援をしたのです。
私の右手は、子どもの右手。私の左手は、子どもの左手。こうして、手指の関節の動かし方や力加減を直接伝えました。
「指の関節に注目してね!」と声をかけてポイントを言葉で伝えたのです。
そうして、ちょっとでもできたら、いっぱいいっぱいほめたり驚いたりしました。
私の腕にアゴや頭を乗せて甘えてくる子どももいましたがそれもOK。
もちろん完璧ではありません。でも、一人でだいぶ上手にできるようになりました。子どもたちの困りごとがどんどん解消されていきました。
3.お母さんの手が一番!「遅い〜」のお悩みは解決に向かいます
お母さんがおうちで簡単にできるサポート方法をご紹介します。
お子さんが手先を使った作業をするとき、お母さんはお子さんの背後に立ってください。そして、お母さんは、お子さんの右手を自分の右手で包み込むようにします。
それで、自分が持つのと同じように、子どもに道具を持たせます。左手も同じです。
そして、お子さんとお母さんの手指の動きが連動するように作業をするのです。
お母さんの手指の動かし方や力加減がお子さんの手指に直接伝わります。あたかもお子さんが作業をしているように、お母さんが作業をします。
ぬりえをしたり、小さな文字を書いたり、ハサミで紙を切ったり、紙を破いたり。ボタンを上手にとめることだって、お子さんはお母さんと一緒に体験できるのです。
これを何回も繰り返すうちに、お子さんは、手指の上手な使い方を体で覚えることができます。
自分の目で、自分がするのと同じ角度から作業の様子を見ることもできます。
道具を正しく持つこともできるようになります。
お母さんが楽しくおしゃべりをしながら、「指の関節に注目してね」とコツを言葉で説明してあげましょう。
無理やり厳しく「練習するよー!」ではなく、日常生活の中で、ゆっくりのんびりやってくださいね。
ちょっとでもできたら、いっぱいほめてあげましょう。
このように上手にできたという成功体験を積み上げていくことができます。
そして、発達障害の子どもの「行動が遅い」の困りごとがだんだんと解消されていきます。
お母さんが後ろからお子さんを抱っこするかっこうになるので、お子さんも安心します。とても簡単ですぐにでもできるサポートです。
ぜひ、楽しく挑戦してくださいね。
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執筆者: ここのひなた
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)