発達障害・ASDやADHDの特性を持つお子さんへの指示が届きにくいことでイライラしていませんか?元々聞くことが苦手な発達障害のお子さんの耳を育てるには、まずお母さんとの信頼関係を見直すことが、カギになるかも知れません。 |
【目次】
1.発達障害のお子さんとの親子の会話、本当にコミュニケーションですか?
2.指示出しばかりではASDやADHDタイプには伝わらない⁈
3.指示を出す前に、親子の信頼関係を見直そう
4.どんなコミュニケーションなら、お子さんの耳を魔法の耳に育てられるのでしょうか?
1.発達障害のお子さんとの親子の会話、本当にコミュニケーションですか?
私には、発達障害・自閉症スペクトラム(ASD)と注意欠陥多動性障害(ADHD)の2つのタイプを併せ持った小学生の娘がいます。
娘が2歳の頃から、共働きで日々時間に追われる生活を送っていました。
特に平日は、朝は保育園に行かせるための支度、夜は次の日に備えて少しでも早く寝かせるための支度、といったように、アレコレ指示ばかりのコミュニケーションになっていたように思います。
ママは口を開けば指示ばかり。できなければ叱られる。そんなコミュニケーションでは、当たり前ですが子どもの聞く耳は全く育ってはいきませんでした。
指示を理解できていないのか?
聞こえていないのか?
そもそも、聞く気すらないのか?
思うように指示が届かず、イライラしてしまうこともしばしば…
まだ発達科学コミュニケーション(発コミュ)を知る前の私は、こわ〜い顔と低〜い声で何度も指示を繰り返す、妖怪指示出しお母さんになっていました。
2.指示出しばかりではASDやADHDタイプには伝わらない⁈
そもそも、発達障害ASDやADHDの特性を持ったお子さんは視覚優位なタイプが多いと言われています。
耳から聞いた情報を理解するよりも、目で見た情報を理解することの方が得意なのです。
ですから、以前の私のように子どもが理解できていない指示を、ただ繰り返しても全く効果がありません。
それどころか、怖〜い顔の私を見て「ママ、また怒ってる」とネガティブな印象を与えてしまっていただけかもしれません。
子どもは、言葉の内容よりも、お母さんの表情や声色など非言語の情報を優位に処理する傾向もあります。
私が繰り返してきた間違ったコミュニケーションでは、ASDとADHDを併せ持った娘には何も伝わっていなかったのです。
伝わらないことで、こちらもイライラしてしまい、悪循環から抜け出せずにいました。
しかし発コミュを学び、発達障害の特性を持つ娘にも伝わるコミュニケーションを学んだ私は対応を変えました。どんな風に変えたのか、ご紹介しますね。
3.指示を出す前に、親子の信頼関係を見直そう!
子どもに自分の声を全く届けられていなかった私でしたが、こんな風に対応を変えました。
まず、指示出しの前の段階に立ち戻るということです。
指示出しの前の段階というのは、そもそもの親子間の信頼関係を修復するということです。
特にASDタイプの特性が目立った娘には、私の愛情が伝わりづらいという問題もあり、私たち親子の間には信頼関係がうまく築けていなかった可能性も考えられます。
大人でも、信頼関係の築けていない人の指示に素直に従おうという気にはなれませんよね。
ですから、指示を出す以前に親子の信頼関係を修復することが、お子さんのスムーズに聞き入れる耳を育てるカギになります。
4.どんなコミュニケーションなら、お子さんの耳を魔法の耳にできるのか?
そこで、私がしたことは、娘の行動に注目して肯定的な声かけを増やすということです。
娘のしていることに注目して、
「〇〇してるんだね〜、楽しそうだね」
「もう着替えたんだ!早いね」
などと、やっていることの実況中継+ポジティブな声かけを3週間ほど続けていくと、娘にも変化が見えてきました。
注目してもらえることと、褒めてもらえることの積み重ねで、信頼関係が徐々にでき上がってきたのです。
「いい行動を起こせば、ママは褒めてくれる」ということを学習させることができました。
「ママはいつでも自分を見てくれている」「自分のやっていることを褒めてくれる」ということに気付き、朝や夜の支度がスムーズにできるようになっていったのです。
そこで、もう一つ段階を上げて実況中継+ポジティブな声かけ+指示ということを実践しました。
「自分でトイレ行けたんだね、偉いね〜、じゃあ次はお着替えしよっか」
「食器下げてくれたんだね、ありがとう、〇〇もお願いしてもいい?」
と、何か指示を出す前に、子どもの行動の実況中継と肯定的な声かけをすると、さらにどんどん指示がスムーズに通るようになりました。
お子さんの耳を、「お母さんの優しい声、もっと聞きたい」「お母さんの私を褒めてくれる言葉、もっともっと聞きたい」と思わせる耳に育てていくことができるのです。
こんなコミュニケーションを続けていたわが家では、先日こんなことがありました。
弟が漢字の読み方がわからず、近くにいた娘に何度も聞いていたのですが、動画に夢中になっていた娘は全く聞こえていないようでした。
そこで私が「〇〇〜、漢字の読み方教えてあげて〜」と声をかけると、「いいよ〜」とすぐに動いてくれました。
どんな状況でも、大好きなママからの声だけは聞こえる、魔法の耳に育っていることを実感できました。
いかがでしたか?
発達障害・ASDやADHDの特性を持つお子さんで指示が中々届かないとお困りでしたら、指示の前に親子の信頼関係を見直すところから、ぜひ始めてみてください。
きっと3週間後には、お子さんの耳が魔法の耳に育っていきますよ。
親子のコミュニケーションがスムーズになる秘訣をたくさんご紹介しています
執筆者:永作瑛里
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)