普通に話しただけなのに「怒ってるの?」と言われたり、子どもを褒めてもいまいち伝わらない…そんな経験をした方いませんか?今回は親子のコミュニケーションのすれ違いを改善し、発達障害の子どもに“もっと伝わる”ママの話し方のポイントをご紹介します。 |
【目次】
1.「ママ、怒ってるの?」と子どもから言われてしまった過去
2.親子のコミュニケーションには非言語コミュニケーションも大切!
3.発達障害の子どもに“もっと伝わる”ママの話し方ポイント
◆①口角をあげて笑顔で伝えよう!
◆②ワントーン高めの明るい・穏やかな声のトーンで話そう!
◆③子どもとの距離を縮めてから喋りはじめよう!
1.「ママ、怒ってるの?」と子どもから言われてしまった過去
ママと子どもは、毎日さまざまなコミュニケーションをとっていますよね!
よく「親子の信頼関係にはコミュニケーションが大切」といわれますが、中でも「子どもとの会話」は親子のコミュニケーションには欠かせない大切なものです。
その子どもとの会話で、ママの言葉が子どもに十分伝わっていないと感じたことはありませんか?
まさに、以前の私がそうでした。
私には、診断はついていませんが、発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向の小学生の息子がいます。
一般的に、発達障害の子どもへの声掛けとして「子どもにかける言葉は否定語ではなく肯定語にしましょう」と言われていますよね。
ですから私も、毎日息子に対してかける言葉をなるべく「肯定的な言葉」にすることを意識しながら、明るくポジティブに声掛けしていました。
けれどあるとき、何かを話していた時に突然息子にこう言われたのです。
「ママ、怒ってるの?もっと優しく言って!」
私の中で衝撃が走りました…!なぜならば、私はそのとき、息子に対して決して怒っているわけはなかったからです。
私としては、特に否定的な言葉を使ったわけでもなく、声のトーンや表情などもいつもと変わらない「普通の状態」で話しかけているつもりでした。
その時に初めて、私が本来伝えたかった気持ちとは裏腹に、受け取る側の息子にとっては「ママは怒っている」と思っていたことを知ったのでした。
その経験を通して私は、どんなに“言葉の内容”を気遣っても、話し方によっては必ずしも自分の想いがきちんと相手に伝わっていないことに気が付きました。
このように、せっかく言葉に気をつけながら声掛けしているのに伝わらないのは、ママにとっても、子どもにとっても、もったいないですよね。
でも大丈夫です!
あるポイントを意識して話すようにしたら、私は息子に「ママ怒ってるの?」「もっと優しく言って」と言われることはなくなりました。
ママが話し方をほんの少し意識するだけで、「子どもにちゃんと届く言葉」となり、親子のコミュニケーションが今よりもっとラクに楽しくなったのです!
今回は、発達障害・グレーゾーン傾向の子どもに「今よりもっと伝わる」ママの話し方のポイントをご紹介します。
2.親子のコミュニケーションには非言語コミュニケーションも大切!
そもそも、
・普通に話していただけなのに子どもに「怒ってる?」と聞かれる
・子どもを褒めたのにいまいち伝わらない
など、言葉に気をつけて伝えているはずなのに、どうして子どもには言葉の意図が伝わりきれていないのでしょうか?
その答えの1つとなる法則をお伝えしますね。
皆さんは「メラビアンの法則」をご存じでしょうか?
これは、心理学者であるアルバート・メラビアンが実験をもとに1971年に発表した研究結果を法則化したものです。
この実験では、話し手の「言葉(言語情報)」と「見た目や聴覚などから感じる態度(非言語情報)」が矛盾している状況で、受け手は何を優先して相手の感情や態度を判断するのか、が検証されました。
それによると受け取る情報を100%とすると、
視覚情報(表情・視線・ジェスチャーなど)
…55%
…55%
聴覚情報(声のトーン大きさ・話す速度や口調など)
…38%
…38%
言語情報(話す言葉や内容)
…7%
…7%
の順番で優先して相手の感情を判断するということです。
これはつまり、「視覚情報」「聴覚情報」「言語情報」の3つが一致しないと受け手が感じた場合には、言葉の中身よりも表情や声色などの非言語情報が先に処理される、ということを意味します。
では次に、この法則を親子のコミュニケーションにあてはめて考えてみましょう。
例えばママが「よく頑張ったね」とお子さんに声をかけたとします。
その時に、ママがいつもと変わらぬ表情で、淡々と平坦なトーンの声で話したとしましょう。
すると子どもは「がんばったね」というポジティブな言葉の内容とママの表情や声色が一致していないため、ママの表情や声色の情報から先にママの気持ちを推測します。
その結果、子どもは「ママは褒めてくれていない」と受け取ってしまうのです。
つまり、ママがせっかく子どもを褒めたり認めたりしようと思って素敵な言葉をかけても、話し方次第ではママの気持ちは子どもに全く伝わらない、のです。
伝えたいのに伝わっていない。それってすごくもったいないですよね!
だからこそ話をするときには、子どもに正しいメッセージが伝わるよう、表情や声色などの非言語情報も意識して話すことが大切なのです。
3.発達障害の子どもに“もっと伝わる”ママの話し方ポイント
お話してきたような
・伝えたいのに伝わらない
・意図と違う情報が受け手に伝わってしまう
といったすれ違いを解消し、親子のコミュニケーションを今よりラクに楽しく伸ばすためには、具体的に非言語情報のどこをどのように意識すればよいでしょうか?
ここからは、発達障害の子どもに今より「もっと伝わる」ママの話し方ポイントを3つご紹介します。
◆①口角をあげて笑顔で伝えよう!
まずは普段から、子どもに話しかけるときはママが笑顔で伝えることを意識しましょう!
実は、ママにとっては何の気なしにした真顔。
身長の低いお子さんが下からママを見上げた時に、子どもは「怒っている!」と感じることがよくあるのです。
ですから、子どもに話しかける時には、口角をしっかり上げて、いつもよりちょっと大げさかなと思うくらいの笑顔を向けることを意識すると、ポジティブな気持ちがより伝わりやすくなりますよ!
◆②ワントーン高めの明るい・穏やかな声のトーンで話そう!
いつもより少しだけ明るい声のトーンを出してみましょう。
例えば、お子さんが赤ちゃんだった頃を思い出してみてください。
赤ちゃんに伝わりやすいように「かわいいね~」「ミルク飲む~?」とか、少しだけ声のトーンが高くなかったでしょうか?
この際、決してハイテンションになる必要はありません!ママが無理しない程度の声のトーンで大丈夫です。
もしも難しい場合は、理想とする明るい・穏やかな声を出していそうなモデルをイメージして真似するのがおすすめです!
芸能人や女性アナウンサーなどは、仕事柄、明るく穏やかに喋っている方が多いのでイメージしやすいかもしれませんね。
毎日の生活を通じて、子どもに伝わりやすいベストな声のトーンを意識して探してみてくださいね。
◆③子どもとの距離を縮めてから喋りはじめよう!
子どもとの距離が離れていると、声が届かないかも?という気持ちから、つい声が大きくなってしまいがちです。
子どもによっては、大きな声で話しかけられると「ママは怒っているんじゃないか?」「何か機嫌が悪そう…」と捉えてしまう子どももいます。
距離が離れている時は、近づいて、子どもに話しかけましょう!
もし物理的に距離が近づけられない状態なら、子どもと、要所要所で、アイコンタクトをとって会話をしましょう。
以上、ご紹介した3つの「もっと伝わる」話し方ポイントを意識して、お子さんと会話をしてみてください。
想像以上に、ママの言葉と気持ちが子どもに伝わりやすくなり、親子のコミュニケーションが今よりもっとラクに、グーンと楽しくなりますよ!
ぜひ試してみてくださいね。
親子のコミュニケーションをグーンと楽しくするママの対応術をお伝えしています!
執筆者:なつき みき
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)