受験生なのに、
なかなか机に向かわない。
やっと始めたと思ったら、
すぐ別のことに気を取られる。
何度声をかけても動かない。
最初は、
「そろそろ勉強したら?」
くらいだったはずなのに、
何回言っても動かない姿を見ているうちに、
「受験生でしょ!」
「何回言ったら分かるの?」
「このままで大丈夫なの?」
だんだん声が強くなってしまう。
そして怒ったあと、
また言いすぎた。
こんな毎日、
もう嫌だな。
この子とどう向き合えばいいのか、
分からなくなってきた。
そんなふうに感じているママへ
まず知ってほしいことがあります。
怒っても響かないのは、
この子が何も考えていないからとは限りません。
発達に凸凹がある子の中には、
分かっているのに動き出せない。
やろうと思っているのに続かない。
目の前の刺激に、
注意がどんどん持っていかれる。
人の話を聞くより先に、
自分の考えが口から出てしまう。
そんな脳の特性がある子がいます。
だから、
「ちゃんと聞いて」
「集中して」
「早くやって」
「受験生なんだから」
と何度伝えても、
本人の中では
うまく行動につながらないことがあります。
ここで必要なのは、
もっと強く言うことではありません。
むしろ私は、
「どうしたら勉強させられますか?」
と相談されたときほど、
最初に、一旦
勉強をさせようとすることをやめます。
なぜなら私は、
塾長をしていた頃、
その先で苦しくなっていく子どもたちを
たくさん見てきたからです。
小学生の頃は成績優秀。
ママの言うことをちゃんと聞く。
言われた課題をこなし、
ママが作ったスケジュール通りに
毎日勉強する。
そして、
難関校にも合格する。
ここまでは、
何の問題もないように見えます。
ところが、
合格したからと
ママが手を離した途端、
成績がどんどん落ちていく子がいました。
中学、高校になると、
学習範囲は一気に広がり、
内容も深くなります。
小学生の頃のように、
ママが全部を把握して、
「今日はこれ」
「次はこれ」
「ここまでやって」
と管理するだけでは
追いつかなくなっていく。
そのとき初めて、
自分で計画する。
うまくいかなかったら考え直す。
分からないことに気づく。
助けを求める。
そんな力が必要になります。
ところが、
ずっと誰かの正解通りに進んできた子は、
自分で失敗して、
自分で立て直す経験が少ない。
そこで初めて大きくつまずく。
しかも、
ちょうど思春期です。
周りはできている。
自分だけできない。
「あんなにできていた自分」が
通用しなくなる。
そこで自信をなくし、
学校へ行けなくなったり、
行き場のない怒りが
家族に向かったりする子もいました。
私は、
そんな子どもたちを
塾長時代に何人も見てきました。
だから、
受験に合格させることだけを
ゴールにはしたくありません。
今、目の前の勉強を
何とかやらせること以上に、
この子がこの先、
親が横にいなくても、
自分で考え、
自分で選び、
失敗したらやり直し、
自分の人生を進める力を
育てたいと思っています。
だからこそ、
先に整えたいのは、
ママの言葉が届く親子関係と、
子どもの脳が動きやすくなる土台。
ここが変わると、
何度も言わなくても動ける場面が増えたり、
自分から考える時間が増えたり、
今まで聞けなかったママの話が
入るようになっていきます。
中学生になれば、
親がずっと横について
「宿題は?」
「明日の準備は?」
「テスト勉強したの?」
と言い続けることはできません。
私が本当に育てたいのは、
言われたから勉強する子ではなく、
自分で考えて、
自分で選んで、
自分から動ける子です。
私が発達科学コミュニケーションで
ママたちにお伝えしているのは、
子どもを言うことを聞く子にする方法ではありません。
この子の脳に合う伝え方を知り、
親子のコミュニケーションを整え、
自分から動ける脳を育てていく方法です。
今、
「毎日怒りたくない」
「暴言を吐く自分をやめたい」
「この子を信じたいのに、
どうしたらいいのか分からない」
そう思っているなら、
変えるべきなのは、
関わり方です。
何度言っても動かなかった子だからこそ、
同じ声かけをもっと頑張るのではなく、
この子の脳に届く方法を知ってほしい。
この先、たくさんの選択があります。
受験を、
親子で怒り合った記憶にするのか。
それとも、
「自分にもできるかもしれない」
と子どもが自分の力を知る経験に変えるのか。
私は後者に変えていけるママを
増やしたいと思っています。
「もう何を言ったらいいか分からない」
そんなところからでも大丈夫です。
発コミュは、
そこから親子の関係を
ひとつずつつくり直していく学びです。
「勉強しなさい」と言わなくても、
この子はこの子なりに
考えて動けるんだ。
そんなふうに
ママが子どもを見られるようになる。
受験のその先まで、
自分の人生を自分で歩ける子に育てる。
私はそこまで、
ママと一緒に育てていきたいと思っています。


