失敗してしまったとき、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもが「人のせい」にしていませんか?親も子どもの失敗をせめてしまいがちですが、この声かけは今日からNGです!この記事ではASDの子どもが「人のせい」にしない、ベストな声かけをお伝えします!
1.「人のせい」にするASDの子ども、このままでいいの?と悩むお母さんへ
「〇〇のせいでぼくはこうなった」
「ジュースをこぼしたのは〇〇のせい」
このように、失敗したり、なにか良くないことが起こった時に、自分は悪くない!と「人のせい」にしてしまう子どもがいます。
親としては正直に言ってほしいし、「人のせい」にすることは良くない。
このまま大きくなって大丈夫かな?と不安に思ってしまいますよね。
特にコミュニケーションがあまり得意ではない発達障害の特性がある子どもを持つお母さんなら、なおさらそう思うのではないでしょうか。

2.自分は悪くない!すぐ「人のせい」にしていまう息子
我が家の息子は診断を受けてはいませんが、自閉スペクトラム症(ASD)の特性をもつ発達障害グレーゾーン傾向の6歳の年長です。
下に3歳の弟がいてきょうだい仲良く遊んでいることが多いです。
お兄ちゃんは面倒見がよく、正義感も強く私もとても頼りにしています。
しかし、弟が泣いたり、物が壊れてしまった、ジュースがこぼれてしまった、という時の「何かトラブルがあったとき」は全て弟のせいにしてしまいます。
「〇〇が泣いているのは〇〇が悪い」「〇〇のせいで、おもちゃが壊れた」 そういうことが増えました。
「どうしてこぼしたの?」「ここに置いておくから悪いんだよ」とついつい親として注意してしまうことがあったので、自分が責められたくないからそういうことを言うのかな?と思うのですが、何でもかんでも人のせいにしてしまうのは、褒められたことではありません。
子どもがこのように言ってしまうのには、どんな理由があるのでしょうか?次で解説します。

3.なぜ「人のせい」にするの?理解したい3つの要因
大人でも子どもでも、発達障害があるなしに関わらず、失敗は誰にでもあることです。
もし、失敗してしまっても、「ここが悪かったから失敗してしまった」「次は失敗しないように」という経験を繰り返して成長していく過程は普通ではないでしょうか。
親としては、子どもが失敗してしまった時に人のせいにするのではなく、「自分のここが悪かった」と学習して欲しいものですよね。
では、子どもが人のせいにしてしまうのはなぜでしょうか?
その要因は3つあります。
・自己防衛
・ネガティブな記憶
・完璧主義
失敗してしまった時に「自分は悪くない」と思うのは「自分を守る=自己防衛」という気持ちが働いているからです。
そして、過去に子どもが失敗した時に、「何してるの!!」とすごく怒ってしまった。
あるいは「だから言ったじゃない」ということをくり返してしまったことはなかったでしょうか?
特に発達障害の子どもはネガティブなことを記憶しやすい特性があります。
そのため、「また怒られるかも」「怒られたくない」と考え、とっさに「自分は悪くない!〇〇のせいだ!」と言ってしまうということもあります。
さらに自分の置かれている立場から、「お兄ちゃんだからしっかりしなければ!弟を泣かせてはいけない!」というプライドや責任感が強いことも、自分を守るために人のせいにしてしまう理由かもしれません。
失敗は許されない!というこだわりが強いことも、発達障害の子どもの特性です。
では子どもが失敗してしまったら、もし人のせいにしてしまったら、親としてどのように声をかけてあげることがベストなのでしょうか?

4.ASDの子どもが「人のせい」にしないためのお母さんのベストな声かけ
子どもがジュースをこぼしてしまったら、お母さんはどのように声をかけてあげますか?
「だからそこに置いたらこぼすよって言ったじゃない!」
「あーあ!またこぼした!」とため息をついていませんか?
そのような対応はもちろんNGです!
ジュースをこぼしてしまったら、叱ったり、注意したりするのではなく、子どもに共感して受け止めてあげる対応をしましょう。
「ジュースをここに置いたお母さんが悪い!」と子どもが言ったとしても 「そっかぁ〜」とそこは受け流します。
ただ、子どもの思うことを聞いてあげて、受け止めるだけでOKなんです!
きっとこぼしてしまった時はパニックになって、人のせいにしたり、自分は悪くない!ということを言いますが、「そっか、そっか」とひととおり聞いてあげます。
お母さんが聞いてあげると子どもは落ち着いてきます。
お母さんが聞いてくれた、受け止めてくれたと感じると、子どもは安心してお母さんの言葉も聞くことができます。
そこで「腕がコップに当たって倒れちゃった」とポロッと言ってくれるかもしれません。
もし正直に話してくれたら、「話してくれてありがとう」「正直に言ってくれてよかった」 と正直に話してくれたことを褒めてあげます。
そうすることで、「正直に話したらお母さんが褒めてくれた」「人のせいにしなくてもいいんだ」と理解することができます。

5.お母さんに身につけて欲しい子どもへの対応
子どもは失敗することが多いですよね。そのたびに、お母さんが怒っていたらお母さんも疲れてしまいます。
つい条件反射で「もー何やってんの!!」と言ってしまうことがあるかもしれませんが、グッとこらえて「こぼしちゃったんだ」「そっか、そっか」と見たまま言ってあげるだけで、まずはお母さん自身の心が落ち着きます。
そのグッとこらえる対応をくりかえすことで、お母さん自身も普段から「すぐに叱らない」「共感する」ということが身についていきます。
私はグッとこらえる時に、「ま、いっか〜、仕方ない」と思うことで、「そっかそっか」という言葉が自然と出てくるようになりました。
お母さんが子どもに共感してあげることが身についたら、子どもも失敗した時に「人のせいにする」ことはなくなるでしょう。
初めはお母さんも大変かもしれませんが、ぜひ意識してやってみてくださいね!

執筆者:豊泉 えま
発達科学コミュニケーション トレーナー