不安が強すぎて毎日を楽しめない子どもの様子に胸を痛めているママはいませんか?発達障害の子どもが抱える強い不安には、脳の特性が大きく関係しています。脳を発達させることで「不安」を「楽しい!」に変える、とっておきの方法をお伝えします!
1.不安が強すぎる子どもは、早期対応が鉄則!
「もっと気楽に、ただ楽しめばいいのに…」
いつも何かに対する不安や心配と闘っている我が子の姿に、こう思ったことはありませんか。
また、いつも「自分に完璧を求め過ぎていて、自分で自分の首を絞めているな…」と感じたことはありませんか。
そういった特性のあるお子さんは、不安やネガティブな感情を溜め込みやすく、登校しぶりや不登校、癇癪や家庭内暴力などの二次障害を起こしやすいので注意が必要です。
さらに、こういった問題は大人になるまで持ち越してしまうこともあるので、改善できるか否かが人生を大きく左右します。
「うちの子、不安が強すぎる…」
「完璧主義で生きづらそう…」
こんな風に感じたら、症状が悪化する前に対応するのが鉄則です!
「性格だから仕方ない」で済ませない!ママが今すぐすべき対応についてお伝えしていきます。

2.発達障害グレーゾーンの息子を不安だらけの日々から救ってあげられない…
我が家の発達障害グレーゾーンの息子は、とにかく不安が強く、いつも何かの心配をしていました。
幼稚園に通い出して2年以上経っていても、
・1日のスケジュールがわからないと不安になる
・自分でお着替えすることや、お弁当を食べることに対して「できるかな」と不安になる
・「自分が一番遅かったらどうしよう」と常に心配している
・自分は怒られたことがないのに、厳しい先生の存在にいつも怯えている
・新しい人(先生やお友達)が突然現れないかと不安に思っている
このように、常に不安な気持ちが離れない様子で、「大丈夫かなあ…」と「お迎え何時?」が口癖になっていました。
そんな息子にどのような対応をしてあげたらいいのかわからず、
「何にも心配することはないから大丈夫だよ」
「できなくても先生が助けてくれるからね」
と声をかけていましたが、息子の不安がなくなることはなく、むしろどんどん不安が大きくなっているようでした。
担任の先生に相談しても、
「教室に入っちゃえば、楽しそうにしていますから大丈夫ですよ」
と言われるだけだったので、「私の心配しすぎなのかな」と思い、見守るという選択をしていました。
ですが、「いつか抜けるだろう」と思っていた不安だらけの日々からは一向に抜け出せないまま、ついに小学校を考える年齢になってしまいました。

3.不安が強い発達障害の子どもが持つ特性とは
確かに、息子は少し不器用なところがあり、着替える時に上手くボタンをはずすことができなかったり、ご飯を食べるスピードがゆっくりだったりということがありました。
ですが、大人から見ると「まだ幼稚園児なんてこんなものだろう」という範囲だったので、なぜ本人がそんなに気にしてしまうのかが分かりませんでした。
実は、このような周りが見ている感覚と、本人が感じている感覚の違いに、対応に関する大きなヒントが隠されているのです!
周囲の感覚と本人の感覚にギャップができてしまう原因は、発達障害グレーゾーンの子どもの脳の特性にありました。
・白黒思考、完璧主義
発達障害グレーゾーンの子どもの特徴として、『完璧主義』というものがあります。
周りが期待しているラインよりもさらに難しいところに自らゴールを設定し、それが達成できないと不安になってしまったり、イライラしてしまうという特性があるのです。
また、発達障害グレーゾーンの子ども特有の不器用さから上手くできないことが多々あります。
しかし、物事の判断基準が「正しいか」「間違っているか」や「できる」か「できない」かの二択しかないため、
できない自分を大目に見ることができず、自分を過小評価しやすいという特徴もあります。
・できなかった経験にいつまでもとらわれてしまう
そもそも、私たちはポジティブな記憶よりもネガティブな記憶の方が残りやすいと言われています。
それは、脳の原始的な機能で、自分の身を守る危機管理能力の一つなので、本来は悪いものではないのですが、
発達障害グレーゾーンの子どもは、この機能がより一層強く働いてしまうという特徴があります。
また、一度定着してしまったネガティブな記憶はなかなか消すことができません。
その結果、自分でも不安を上手にコントロールできず、楽しむことや挑戦することが苦手になってしまうのです。
・他の人に助けを求められない
発達障害グレーゾーンの子どもは、自分の気持ちや状況を他の人に伝えるということが苦手です。
特に繊細な子は、単純に気持ちを言葉で表現する仕方がわからないということと、相手や場の空気を読みすぎてしまうということが合わさり、
どんなに困っていても、「助けて!」と声をあげることができずに一人で抱え込んでしまいます。
これらの脳の特性は生まれ持ったものが大きく関係しており、年齢が上がったからといって改善されるものではありません。
「改善しよう」とアプローチしなければ、変わらないどころか悪化してしまう可能性もあるのです。

4.「不安」が「楽しい!」へ変わる、魔法のような対応とは
では、具体的にどのように対応するのが効果的なのでしょうか。
ここでは、私が実践して特に効果的だった2つの方法をお伝えします。
①気持ちや特性を否定しない
先ほども述べたように、脳の特性は本人にもどうすることもできないものです。
それを否定されたり指摘され続けることで生まれるのは、「僕ってダメな人間なんだ」という負の感情だけ。
結果的に不安や恐怖をあおり、症状を悪化させてしまう恐れがあるので
「いちいち不安にならないの!」
「そんなことで泣かないで!」
「何がそんなに不安なの?!」
と叱ったり、問い詰めることは絶対にやめましょう。
②現状できていることをとにかく褒め称える
簡単そうに見えて、『毎日元気に前向きに生きる』ということがいかに難しいかは、私たち大人も身に染みてわかっているのではないでしょうか。
「子どもだから」という理由で、それが簡単にできるはずだという前提や思い込みを捨て、生きるためにできていること全てを褒め称えていきましょう!
「朝、しっかり起きられたね!」
「ご飯食べようとしてるのすごいじゃん!」
というように、当たり前にしている行動を「できていること」として本人に認識させることが大切です。
また、加えてオススメなのが、子どもの頑張りをその場で家族に共有し、みんなで褒めるということです。
例えば、
「見て!もうこんなに食べてる!」 → みんなで拍手する
「すごく上手に着替えられたね!パパにも見せておいで!」 → パパもしっかり褒める
「お兄ちゃん、もうこんなにできちゃったんだって!」 → 弟や妹にも頑張っているところを見せる
このような対応です。
みんなで子どもの頑張りを認めていくことで、ママだけが褒めるよりもさらに高い効果が得られます。
毎回は難しくても、家族が揃っている時間帯などで取り入れられるとよいでしょう。

5.「幼稚園って楽しいことばっかりだよ!」と言えるまでに成長した息子
毎日のように不安を口にし、楽しいよりも不安が勝ってしまっているような日々を過ごしていた息子が、
上記の対応を実践し始めてたった3週間で、「幼稚園って楽しいことばっかりだよ!」と教えてくれるまでに成長しました。
これまで「小学校どうしよう…」と悩んでいましたが、そんな息子を見て初めて、「このまま成長していけたら、小学校も楽しめるかもしれない!」と思えました。
子どもの脳は急成長し続けているので、対応が早ければ早いほど、困りごとを解消するスピードも上がっていきます。
対応と言っても特別なことをするわけではなく、日々の声かけや接し方を少し変えるだけなので、時間もお金も要りません。
あまり気負いせず、「できることをできる分だけ」という気持ちで取り組んでみてくださいね。

執筆者: 中谷 そら
発達科学コミュニケーション トレーナー